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先ごろ行われた４者会談で議事進行役を務める松井市長、手前は湯崎知事

 

広島市の松井市長が、広島市のサッカースタジアム建設場所について、スタジアム建設へ向け中心的役割を果たしていた関係者に、旧広島市民球場跡地をその候補地からすでに外し広島市南区の「広島みなと公園」１本に絞り込んでいることを伝えていたことが「ひろスポ!」の取材で分かった。

広島市の新サッカースタジアムの建設場所についてはもう２０年以上に渡り紆余曲折を経てきた。さらに昨年末まで１年半に渡って話し合いを続けたサッカースタジアム検討協議会においても、広島市中区の中央公園、中区の旧広島市民球場跡地、西区の広島西飛行場跡地、安佐南区のエディオンスタジアム広島がある広島広域公園、そして広島みなと公園の５カ所まで絞り込んだあと、最終的には１カ所には絞り込まず、旧広島市民球場跡地と広島みなと公園の２カ所を併記した形の「結論」が松井市長、広島県の湯崎知事、広島商工会議所・深山会頭、広島県サッカー協会・小城会長の４者に提出されていた。

１月１３日、この４者による会談が広島市役所で行われた際には同協議会の「提言書」を受け、建設場所も含む多くの検討課題について来年度中に「事務レベルの作業部会」を設置して詰めていくことが申し合わされた。

ところがこの申し合わせからわずかの間に松井市長の口から関係者に向け建設候補地は”宇品１本”にすでに絞り込まれたことが伝えられた。

さらに４者会談終了後の取材では、各人のコメントから小城会長の”話し合いからの一時脱退”は県サッカー協会の方から申し出たもの、と「ひろスポ!」でも報じたが、その後の取材の中で”県サッカー協会の意思ではない”ことも明らかになった。

これらの事実を総合すれば、４者会談（３者会談）では最初から”宇品ありき”の結論を持ってあの会合をマスコミにオープンにした、という可能性すら考えられる。

なお、先の４者会談について「ひろスポ!」が報じた記事は次のとおりだが、その場の雰囲気から記事の冒頭、「”阿吽の呼吸”で話し合いを進める広島市松井市長と広島県湯崎知事」と明記した。

hirospo.com/pickup/13015.html

実は旧広島市民球場跡地の活用策についてはすでに２１０２年の時点で広島県と広島市が「ヨーロッパやアメリカで非常に人気の高い美術館とのコラボで、何らかの美術館的箱もの誘致の相談の動きを見せている」ことが関係者の証言で明らかになっている。

松井市長も常々、旧広島市民球場跡地へのサッカースタジアム建設については否定的な見方をさまざまな場で示しており、それらを総合すれば”宇品１本”ありきも合点がいく。

そうなればサッカースタジアム建設協議会は「ポーズに過ぎなかった」（複数の関係者）ことになる。

この松井市長の動きとは”別次元”であったとしても、先ごろ、４月の広島市長選への立候補を表明したサンフレッチェ広島社長の小谷野薫氏とは、今回のことでその対決色が鮮明になったことになる。

松井市長は「サンフレッチェが３度優勝したらスタジアム建設を…」と公言していたため、２０１３年１２月に公の場で「サンフレッチェ広島は２位でいい」と発言した。その事実がツイッターなどで瞬く間に全国に広がると翌日、緊急会見を開きその発言の事実を認めた腕で「優勝を望んでいると言ったうえで、新スタジアム建設の検討に時間が取れるといいという意味で言った。誤解を受けたことは心からおわび申し上げます」と話した経緯がある。

一方の小谷野氏は「２位でいい」と言われた側になるが、逆風を跳ね返し「２位でいい」発言の４日後に奇跡的なＪ１連覇を遂げ、サポーター、市民とともにその喜びを分かち合った、という”オチ”がついている。

小谷野氏は当然ながらサンフレッチェ広島の存在はサポーターの支援なしにはありえない、という立場にある。そのサポーター、市民に支えられてクラブ誕生から早や２０年以上…。そうした熱い声援を送り続けてくれるサポーター、市民への”恩返し”としてできること…、それが市長選への立候補だった、ということになるだろう。事実、小谷野氏は「サポーターたちの声を受けて立候補を決めた」とコメントしている。

小谷野氏がこれまでもことあるごとに繰り返してきた「スタジアムづくりは街づくり」の考え方は”スタジアムだけを市長選の争点にするのはふさわしくない」とする声とは真逆の立ち位置にあることも有権者は理解すべきだろう。

事実、１月２５日に広島市内であった「２０１５サンフレッチェ広島キックオフイベント」でサポーターに「小谷野氏の立候補」について尋ねたところ「街づくり」を念頭にした答えが異なる世代から複数返ってきた。

しかも、サンプル数は少ないながらも呉市、安芸郡熊野町、廿日市市など広島市街のサポーターの声として”宇品地区へのスタジアム建設支持率”が０パーセントだったこともはっきりした。

hirospo.com/pickup/13541.html

また、その場で聞いた話の中には「サンフレッチェ広島も小谷野社長でガラっと変わったんで、広島市も変えることができると思います」というサンフレ女子の声もあった。

旧広島市民球場跡地が単なる”空地”とは異なることが誰もが理解し、それぞれがあの空間に対して理想の”画”を思い描いている。

そして球場跡地を新たな広島市の”核”として平和への祈りや賑わいの創出、交流、スポーツや文化的行事の展開…文字通り「複合型」「多機能」な空間の誕生を願う市民は非常に多い。

あとはその”手法”と”具体的な舞台装置”をどうするか？

かつて戦後復興のシンボルと言われた旧広島市民球場は「奇跡の器」とも呼ばれていた。これから未来の子どもたちの財産になる「希望の器」に向けた取り組みもまた市長選の大きな争点ひとつ、になる。

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新サッカースタジアム取材班