サンフレッチェ広島、佐藤寿人の名古屋移籍で、スタジアム問題も併せて”寿人ロス”深刻化か？それとも「変革」か？

2016年11月20日: 編集部

２０１５年１２月、チャンピオンシップ第２戦の大一番を前に、サッカースタジアム問題に言及する佐藤寿人

サンフレッチェ広島、佐藤寿人の名古屋グランパス移籍が１１月１９日、事実上決まった。佐藤寿人の意思を確認したサンフレッチェ広島の織田秀和社長は「戦力的にはもちろん、クラブの顔になる選手で非常に痛い」とコメントした。

織田社長が強化部長だった２００５年、Ｊ２のベガルタ仙台からサンフレッチェ広島に移籍した佐藤寿人はＪ２陥落からのクラブ復活と３度のＪ１制覇というクラブの歴史的局面で常にその先頭を走ってきた。

その人気は絶大で、Ｊリーグの顔としての存在感は、「男気」で日本中にその名を知らしめた黒田博樹投手にも匹敵する。ゆえに「寿人ロス」の影響は計り知れない。

例えば遅々として進まぬ新サッカースタジアム問題でも佐藤寿人は存在感を発揮してきた。

昨年、チャンピオンシップを迎える直前の大事な時にでさえ、新サッカースタジアムの意義やそのあるべき姿について訴えるという徹底ぶり。ピッチの内外におけるその言動が多大な影響をもたらしてきたことを否定する者はいないだろう。

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サンフレッチェ広島の集客数は今季、Ｊ１の１８チーム中１１位。経営面から見れば例年と代わり映えのしない結果に終わった。

森保監督の下で３度もＪ１王者となりながら、「スタジアム問題」が大きな足かせとなり、クラブの経営は「苦戦続き」（サンフレッチェ広島クラブ関係者）だ。

今季のＪ１クラブのリーグ戦ホームゲーム１試合平均集客数ランキング

１位　浦和レッズ 37110人
２位　ガンバ大阪 25277人
３位　 FC東京 24141人
４位　横浜F・マリノス 23897人
５位　川崎フロンターレ 22143人
６位　アルビレックス新潟 21091人
７位　鹿島アントラーズ 19170人
８位　ヴィッセル神戸 18372人
９位　名古屋グランパス 17891人
10位　ベガルタ仙台 15444人
11位　サンフレッチェ広島 15420人

※フットボールＷＥＢマガジンQolyより引用
qoly.jp/2016/11/07/j1-attendance-2016-ranking-ksn-1?part=2

以上の１１クラブのうち浦和レッズ、ガンバ大阪、横浜Ｆ・マリノス、鹿島アントラーズ、ヴィッセル神戸、ベガルタ仙台や、２部陥落の名古屋グランパスは陸上トラックのないスタジアムを有している。

２０１２年、シーズン初制覇を遂げたサンフレッチェ広島は、Ｊリーグバブルの１９９５年以来となるＪ１リーグ戦の集客数３０万人突破に成功したが、その後は、２５万人台から２７万人台で推移し、今季も２６万人台に止まった。カップ戦などもも含めて「３０万人動員」がクラブ側が自身に課したノルマだが、その数字をクリアすることは簡単ではない。

クラブ側では経営安定化に向け、シーズンパスの販売促進やクラブ会員数アップに力を入れているが、その「商品」の魅力がアップしない限り、購買者の層も広がってはいかないだろう。

来季に向けて確たる「起爆剤」が今のところ見当たらない中、「広島の顔」だった佐藤寿人が抜けるとなるとその”補てん”は容易ではない。

それでも「いる者で戦う」と宣言し、実際に現有戦力で結果を残してきた森保監督の契約が２年延長されたことで、ピッチ上では腰を据えた戦いが期待できる。

佐藤寿人を送り出したあと、新たな顔として名乗りを上げる選手が続々と出てくるような状況をサポーターとともに創り出すことができるか、どうか？

サンフレッチェ広島はピッチの内外で「変革」の時を迎えようとしている。

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