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【ひろスポ!】広島スポーツニュースメディア > ピックアップ > (差し替え版)入替戦でB1の壁、広島ドラゴンフライズ、一発勝負の大舞台で自分たちのバスケできず…来季もB2
2017年05月28日
編集部

(差し替え版)入替戦でB1の壁、広島ドラゴンフライズ、一発勝負の大舞台で自分たちのバスケできず…来季もB2

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代々木
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    飛翔会

  • 2

    ダグ

  • レッドヘルメット

勝利を勝ち取り喜びを爆発させる横浜ビー・コルセアーズブースター(トップ画像説明)

 

広島ドラゴンフライズは5月28日、東京の国立代々木競技場第一体育館でB1B2入替戦に臨み、53-74のスコアで完敗した。一発勝負の入替戦に敗れた広島ドラゴンフライズは来季もB2の舞台からB1を目指すことになる。

代々木

さあ、いよいよ試合開始…だったが…

 

試合後、佐古賢一ヘッドコーチはこう切り出した。

「選手のポテンシャルを引き出してあげることができなかった。きょうのゲームは、出だしで我々がコントロールできなかった」

第1クォーター、朝山正悟、山田大治、北川弘、コナー・ラマートとともにスターターに名を連ねた田中成也は試合後、言った。

「横浜は当たり前のことができて、こっちはできなかった。その差。課題だったことがああいう試合で出てしまった。ワイルドカードでB2を背負って出たのに、B2のみんなに申し訳ない。向こうは川村さんでも得点…ゼロですよね。一発勝負の共通意識…。向こうの方が持っていたのかなと…」

さらに北川弘はミックスゾーンでこう話して視線を落とした。

「1クォーターと3クォーター。出だしでアップアップになって…。20点ちょっと空いた展開ほどの差はないと思うのでとても悔しいです。この日に向けて僕らはいい準備をしてきたと思いますが、そのやる気の部分がゲームではちょっと違ったものになっていったかもしれません」

戦前のイメージ、ゲームプランは40分、広島ドラゴンフライズのバスケを続け、相手のスキを見て逆襲に転じる、というものだった。

それなのに最初の10分間で8-19の”入り”を強いられた。そこで完全に空回りした。このことがB1昇格の夢を今回、夢のまま終わらせる残念な結果に直結した。

開始10秒でジェイソン・ウォッシュバーンに2Pを許すとそのあと山田大治が決めて追いついた。だが、この試合、同点になったのはこれが最初で最後だった。

代々木

このあと2分近く、互いにシュートが決まらず残り6分48秒で、先に横浜ビー・コルセアーズが2点を加えた。今なら誰でも言えることではあるが、ここで広島ドラゴンフライズが踏ん張っていれば「逆襲」のチャンスをうかがうこともできただろう。

第1クォーター、広島ドラゴンフライズは2Pシュート10本で成功は鵤誠司を加えた2本だけ、3Pは6本全てを外した。

横浜ビー・コルセアーズ戦は同じく12本で6本、6本で2本を沈めた。

成功率は18.8パーセント対44.4パーセント。言葉は悪いが自滅した。

代々木
第1クォーター開始3分40秒過ぎ、竹田譲のアウトサイドからのシュートが決まって広島ドラゴンフライズ2-7とリードを広げられる

代々木
前半5分で2-10となり広島ドラゴンフライズ、タイムアウト

代々木
広島ドラゴンフライズへの声援の声も大きくなった

第2クォーター終了間際、諦めない姿勢を見せ、ダニエル・ディロン、山田大治の連続得点で26-30、4点差まで迫ることに成功した。

代々木
前半終了間際の山田のショット成功に沸き上がるスタンド

尺野 代々木
戦況を見守る横浜ビー・コルセアーズの尺野ヘッドコーチ

代々木

そう、外から見るぶんには、いよいよ面白くなってきた、という風にも受け取れた。しかし、実際はそうではなかった。

横浜ビー・コルセアーズは前半の間に広島ドラゴンフライズとの”間合い”をしっかりつかんでいた。だから第3クォーターに入ると、ジェフリー・パーマーの3Pや武田譲の速攻などで瞬く間にリードを10点に広げてその動きを加速させた。

代々木
タイムアウトで「B1」の文字を広島ドラゴンフライズベンチに掲げるファン

代々木

たまらず広島ドラゴンフライズはタイムアウト。残り5分29秒。だが、流れが変わることはもうなかった。広島ドラゴンフライズ誕生時のメンバーだったファイ パプ 月瑠にもゴール下の肉弾戦で押し切られた。

代々木

アジーズ・エンダイとのマッチアップでバトルを繰り広げた、かつての広島ドラゴンフライズメンバー、#10ファイ パプ 月瑠

代々木
広島ドラゴンフライズのタイムアウトからおよそ1分15秒後、横浜ビー・コルセアーズのジェイソン・ウォッシュバーンにフリースロー2本を沈められて32-43、横浜ブースターの歓声が聞こえてくるようだ…

代々木
点差が開き、言い知れぬ重圧が…

注目すべきは田中成也が試合後、口にした元日本代表SG、川村卓也である。

第3クォーター残り2分44秒フリースロー2本を決めたが、けっきょく大事な入替戦でこの2点だけ。レギュラーシーズン、チームナンバー2の得点力を誇るベテランが臨機応変に黒子に回った様子がうかがえる。一発勝負の何たるかを熟知していれば、自分の得点の多い少ないとは別次元の動きが最優先される。

代々木
#1川村は3P3本を放っただけ、でもチームの勝利に貢献した

佐古賢一ヘッドコーチ 代々木
選手交代を指示したあと、ベンチで水を口にする佐古ヘッドコーチ

全ての関係者の努力と応援する人々の熱意によって大きな足跡を残したBリーグ元年。その全体像を「中継担当者」の目で把握している関係者のひとりが、シーズンラスト2日間についてこの日のゲーム前にこんな見解を示した。

「初代王者は栃木ブレックス。ただ、川崎ブレイブサンダースと栃木が10回やれば6、7回は川崎が勝つはず。ところが栃木には田臥がいるしここ一番で勝てる要素を持っていた。広島と横浜もそう。10回やれば7-3、もしかしたら8-2で横浜。だけど、きょう、その”3”を引っ張ってくればいいんですよ」

代々木

代々木

代々木
全て終わった、そして互いの健闘を称え合う

代々木

北山の掛け声で挨拶した広島ドラゴンフライズの選手たちはこのあと会場をあとにした

ゲーム終了のブザーが鳴り、スタンドが揺れて、広島ドラゴンフライズの選手たちが引き上げたあと、横浜ビー・コルセアーズ、尺野将太ヘッドコーチの勝利者インタビューがアリーナに響いた。

「B1だから、B2だからではなく、強いチームと残留を懸けて争う。第1クォーターから自分たちが挑戦者のつもりで、出だしから今シーズン一番いいプレーをしようと…」

その「強いチーム」広島ドラゴンフライズは、レギュラーシーズン終盤で、熊本ヴォルターズ、島根スサノオマジックと死闘を展開。5・14B2プレーオフ準決勝では島根スサノオマジックとの第3戦でわずかに及ばず、そのあと群馬クレインサンダーズとの3位決定戦に勝ちこの舞台に乗り込んだ。

広島ドラゴンフライズの積み重ねてきたものが正しかったことは証明した。

ただ、けっきょくB2初代王者の座も、B1昇格という最大目標も、どちらも掴むことはできなかったし、島根スサノオマジックや勝久マイケルヘッドコーチとの約束を果たすこともできなかった。

もっと言えば、一番それに近づいたのは5・14でのプレーオフ第2戦で、一度は島根スサノオマジックをコートに沈めた時だった。

ところがわずかのインターバルで相手はまた蘇ってきた。そしてギアを2段ぐらい上げてきた。あの時も前半開始早々、2-2同点に追いついたあと引き離された。やっとの思いで1点差に詰め寄ったものの、一度もリードできなまま、あっと言う間にゲーム終了となった。

この事実は、重たい。

時が経てば、どうしても記憶から抜け落ちる部分が出てくるだろう。

だから、この事実を記してから、B.LEAGUEとB2、B1の歴史的なシーズン終了、とする。

来年の今ごろ、あの時はほんと、そうだったね、と笑って言えるようにするためにも…。

代々木 フライガールズ
大舞台に乗り込んだフライガールズ

B.LEAGUE B1・B2 PROMOTION PLAYOFFS 2016-17 GAME
広島ドラゴンフライズ53-74横浜ビー・コルセアーズ
1Q:8-19
2Q:18-11
3Q:13-25
4Q:14-19
会場:国立代々木競技場第一体育館
入場者数:5014人

【スターター】
広島:#0アジーズ・エンダイ、#2朝山正悟、#5山田大治、#18鵤誠司、#24田中成也

横浜:#0細谷将司、#1川村卓也、#4ジェフリー・パーマー、#25竹田 謙、#42ジェイソン・ウォッシュバーン

試合レポート
第1Q
Bリーグの大トリを務めるB1・B2入替戦。会場は前日に開催されたBリーグファイナルと同じ代々木競技場第一体育館。熱戦の余韻が残る素晴らしいコートだ。この決戦の地で、広島がB1クラブの横浜ビー・コルセアーズに挑む。

このゲームではB1オンザコートルールが適用され、広島はオンザコート1-2-1-2とシーズンと同じ、横浜は2-1-1-2と立ち上がりを重視する形。ゲームはこの入りで明暗を分けた。開始早々に横浜#42ウォッシュバーンが得点すると、#4パーマーも3Pを決め一気にペースをつかむ。広島も反撃をしかけたいところだったが、シュートはペリメーター、3Pともに精度を欠く。大量リードで気持ちが楽になったか横浜はのびのびとプレイし始め、リズムが出る。広島はインサイドで勝負できず、外から狙うがフリーで打つシュートも外れ8-19と大きくビハインドとなる。

第2Q
流れを変えたい広島はディロンがプッシュして局面を打開する。仲摩もディフェンスで奮戦し、3Pも決めて追い上げをみせる。さらにディロンがファストブレイクを出し、田中と朝山の連携からの3Pなど広島にも固さが取れ本来のプレイが出始める。

しかしここで立ちふさがるベテラン横浜#25竹田、ターンオーバーから落ち着いてミドルシュートを決めてくる。これ以上点差を広げられると厳しくなる広島も意地を見せ、ディロン、山田の連続得点で4点差まで点差を詰めて後半に入る。26-30。

第3Q
追い上げムードで終えた前半の勢いで畳み掛けたい後半の立ち上がり、ここが結果的に勝敗を分けることになった。朝山の3P、スティールからのレイアップとチャンスを作るも得点できないと、そのすきに逆に横浜の3Pとレイアップで先行され得点差が広がる。完全に広島は勝負どころで流れを掴み損ね劣勢に。

さらに横浜#25竹田の連続得点、インサイドを横浜#42ウォッシュバーンに 突かれ点差は18点に。意地を見せたい広島だったが、ポゼッションを取れずきっかけを作れない。39-55で最終Qへ。

第4Q
大きな点差をひっくり返すべく、3Pを狙っていく広島。しかしこのゲームで3Pが決まったのはわずか2本。ゲームを通して成功率9.5%と最大の武器である3Pが不発。主導権を掌握した横浜は逆にいけいけドンドン状態。両外国籍選手選手が内外から打ってくる。それでも広島は北川が気迫を見せ、ディフェンスでも積極的にプレスを仕掛けるが点差を詰める展開にはならず万事休す。早る気持ちから雑になった部分からカウンターを受けるなどトドメを刺された。昇格をかけた最終決戦はB1の壁の高さを見せつけられる53-74と悔しい結果となった。

残念ながらB1昇格を逃し、来シーズンもB2で戦うこととなった。非常に残念な結果だが、これも大きな財産、糧にして次シーズンにつなげていきたい。挑戦者として横浜以上の気迫、エナジーを出し切れたのか、逆境をパワーに変える強さを見せられたのか、大事な局面で前に出られたのか、メンタル面で遅れをとったゲームに広島の若さが露呈した。

しかしこの日本中が注目する大舞台に立ち、堂々とB1クラブと戦った経験は広島ドラゴンフライズの歴史にとって大きな一歩となり、選手個々にとっても大きな経験となるに違いない。Bリーグの歴史も、広島ドラゴンフライズの歴史もまだ始まったばかりだ。待ってろB1。次シーズンに再びB1へ挑戦する!

【主なスタッツ】
広島ドラゴンフライズ
◆得点
#21コナー・ラマート11点

◆リバウンド
#21コナー・ラマート 12リバウンド
#0アジーズ・エンダイ 7リバウンド
#12ダニエル・ディロン5リバウンド
横浜ビー・コルセアーズ
◆得点
#42ジェイソン・ウォッシュバーン27点
#4ジェフリー・パーマー17点
#25竹田 謙12点

◆リバウンド
#42ジェイソン・ウォッシュバーン13リバウンド
#4ジェフリー・パーマー7リバウンド
#10ファイ パプ月瑠7リバウンド

広島ドラゴンフライズ・佐古賢一HC

残念。選手のポテンシャルを引き出せなかった。ゲームの出だしがコントロールできなかった。ゴール下でのタフショットの確率、ペイントエリアに入っていくことができなかった部分、そういうところが敗因。覚悟をもって臨んだが1Qでこのゲームに飲み込まれてしまったところは経験の無さであり、今シーズンやってきたことができない結果となった。

苦しい時間こそボールを前にプッシュしていく、ファウルをもらう、そういうゲームを作る感覚が足りなかったのかなと思う。我々にも最後チャンスもあったと思うが、展開として常に劣勢だった。今シーズンの経験を財産にして、Bリーグを盛り上げていけるようにまた次のシーズン頑張っていきたい。

広島ドラゴンフライズ・朝山正悟

残念。悔しいの一言。今日負けたことで一層、苦しく長いシーズンとなったが、この悔しい気持ちを糧にしっかり前を向いて進んでいきたい。

横浜ビー・コルセアーズ・尺野将太HC

試合を終えてホッとしている。1週間準備してきたものがしっかりと発揮することができた結果、コートに立った全員が良いプレイをしてしっかり勝ち切ることができた。

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