画像は広島商校旗
第108回全国高校野球選手権広島大会準決勝(7月26日)
マツダスタジアムで準決勝2試合があり、ノーシードの広島商と市立福山が決勝に進んだ。広島商に敗れた広陵は大会史上”令和初”の4連覇に挑んだが届かなかった。
28日の決勝(マツダスタジアム)は21年ぶりとなる公立決戦になる。
広島商 200 501 001・9
広 陵 022 000 000・4
ノーシードの広島商は4回戦まで順調に勝ち上がると、準々決勝では春の県王者・呉港を5-3のスコアで振り切り2年ぶりの決勝へあと2勝…春の県大会では広陵にコールド負けしており、もう一度鍛え直してきたことを試す一戦になった。
シード校の広陵は4回戦までの3試合をコールドで勝ち進み、準々決勝では、昨夏の決勝の相手・崇徳に対して、前回対戦と同じように九回二死から逆転勝ち。その勢いに乗ってこの日の伝統の一戦を迎えた。大会4連覇まであと2つ…
試合は初回から動いた。
五番・中島悠陽(3年)、六番・中本拓志主将(3年)の連続タイムリーで広島商が2点を先制。死球と四球で出た走者を迎え入れた。
しかし広陵は二回に2点、三回にも2点取って試合の主導権を握りかけた。二回には七番・藤崎大翔(3年)が左中間に適時三塁打。三回、四番・加藤海尊敬(3年)が放った左中間三塁打も左中間真っ二つ。いずれも広島商のエース左腕・小池遼太郎(3年)のスライダーを完璧にとらえた。
だが、勝負を決定づけたのは四回の広島商の攻撃だった。
中島悠陽、中本拓志主将の連打で無死一、三塁として1年生の谷浦和馬が低目に入ってきたスライダーをマツダスタジアム左翼スタンドへ叩き込んだ。
広陵は5試合連続で先発した広陵の片山翔伍(3年)から11番の田中光志郎にスイッチ。しかし広島商は攻撃の手を緩めず、相手のミスにも乗じてさらに2点を加えた。
バッテリーミスも含めてバタついた広陵にとっては悔いの残る大量5失点になった。中井哲之前監督の下で数々の激戦を制してきたことを思えば、”球際の強さ”や”ここ一番での集中力”に陰りが…?夏の甲子園史上初の大会途中辞退というトラブルから1年…その影響がまったくないとは言えないような光景だった。
特筆すべきは7対4、3点のリードとなって以降の小池遼太郎のピッチングだろう。厳しい暑さの中、球数が増えても大して汗をかくこともなく120㌔台の真っすぐや変化球をクールに投げ続けた。
五回の一死二塁では加藤海尊にスライダーを続けたあと最後は内角の真っすぐで左飛に打ち取った。味方打線が中押ししてくれた六回も一死二、三塁のピンチで一番・曽根丈一郎主将(3年)を3球で打ち取った。崇徳戦九回逆転打のヒーローをここで抑えたことは大きかった。七回の一死二塁も加藤海尊を外角いっぱいのスライダーで見逃し三振に仕留めた。
終わってみれば9回136球完投。10安打されても最後までグラつくことはなかった。
広島商・中本拓志主将
広商の全員で勝ち取った勝利、とてもうれしいです。集中力だったりり、我慢強さだったり、精神面で(チームは)成長できていると思います。この準決勝を勝利したことでチームとしてもいい経験ができたので、決勝戦も広商野球を全員でやっていきたい。
広島商・荒谷忠勝監督
春の県大会で情けない負け方をして、そこからもう一回、自分も含めて選手と夏に向けて鍛えなおしていこうということでやってきました。それに見事選手が応えてくれましたし、スタッフにも恵まれ広島商の組織力できょうは勝たせていただきました。
やはり広陵高校さんですので、一時期逆転された時はどうなるかなと思ったんですけども、選手が監督よりも落ち着いてしっかり攻撃してくれたことがひとつの勝因だと思いますし、小池がしっかり投げてくれたというところですね。
なかなか力がないチームなんですけど、広陵高校さんという目標がありますので、広陵高校さんのおかげでしっかり鍛えることができました。全国に近いチームが広島県にはたくさんあります。ほかのチームさんのおかげできょう勝てたと思いますので、決勝戦、しっかりよい準備をしたいと思います。
市立呉 010 001 010・3
市立福山 000 001 03 X・4
この日の第1試合は広島商が勝利。第2試合、「優勝」を目標に掲げる市立呉の三浦謙二郎監督と「福山市を驚かせる」を掲げる市立福山の小田浩監督も、ともに広島商OB。どちらが勝っても決勝は広商対決になる…
試合は八回表終了時点まで、”表面上”は終始、市立呉ペースで進んだ。
二回には相手の守りのミスに乗じて三塁ゴロの間に先制。六回にはヒットと死球の走者をバントで進めて市立福山の先発・來山凌也(3年)を降板に追い込むと、市立福山二番手の岩本大輝(2年)から五番・中田晴琉(3年)の遊ゴロの間に加点した。
1点リードで迎えた八回の1点も似たような流れになった。四球と内野安打のあと四番・渕野幹樹(2年)送りバントで一死二、三塁として続く中田晴琉がここもセカンドゴロ。これが野選となってリードは2点に広がった。
だが、試合後の小田浩監督によれば「試合は後半勝負。そういう意味では六回に挙げた1点が大きな意味を持っていたことになる。
一死から打順がトップに還りヒットと連続バントヒットで満塁として、途中から救援マウンドに上がった四番・岩本大輝の打球は右中間へ。センター斉藤奏太(3年)に好捕されたがこれが犠飛になった。
迎えた八回、市立福山打線は球数90台になった市立呉先発の岡村優大(2年)を一気に攻めた。内野安打と代打・森吉翔舞(3年)の中前打で無死一、二塁。大方の予想は送りバントだったが、代打起用で強硬策…それが小田采配だった。
森吉翔舞がとらえたのはカーブ。初回から何度も味方打線が打ち取られた球だった。
打順は一番に戻って打席に渡辺雄介主将(3年)。今度は1ボールから2球続けてスクイズがファウルになり、さらにファウルのあとの4球目…強く引っ張った打球はレフト前で弾み試合は振り出しに戻った。
市立呉はここで迷わず3年生の河野廉をマウンドに送った。
ところが勝負はわずか4球でついた。市立呉バッテリーに態勢を立て直す時間を与えなかった。
まず二番・福島悠杏(3年)が初球でバントを決めて一死二、三塁として、続く途中出場の西山結翔(3年)は1ボールからスクイズ成功、勝ち越し。岩本大輝も初球ライト前タイムリーで決定的ともいえる2点目を叩き出した。
打っても2打点の岩本大輝は九回をピシャリと抑えて初の決勝進出へ。
市立福山の3年生メンバーにとって、次は特別な意味を持つ戦いになる。入学した時点では名将・迫田守昭監督で、同監督退任の2年夏からはコーチから昇格した長門功前監督の下で指導を受けた。そしてこの春からは甲子園監督でもある小田浩監督とともに”福山市を驚かせよう”と練習を重ねてきた。両軍無失策の好ゲームを勝ち切り、あとひとつ。
「すばらしい高校なので広島商業の胸を借りて自分たちはチャレンジャーとして1球1球、全力でいきたいと思います」渡邉雄介主将の声が響くとスタンドからまた大きな拍手が送られた。
(ひろスポ!広島スポーツ100年取材班&田辺一球)
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