リハビリを続ける村上駿斗(右)にアドバイスする広島ドラゴンフライズ、寛田チームドクター(トップ画像説明)
アンドリセビッチHCを迎えて広島ドラゴンフライズが新たなスタートを切った。8月14日からは福山市内で5日間の一次キャンプを行い14日から全体練習を広島市内で再開した。
広島ドラゴンフライズは8月18日まで福山合宿を行った
選手、スタッフともに新メンバーが加わり、B1昇格へもう待ったなし!のチームは今、どんな状況で、この先どう成長していけるのか?
そこでカープ、サンフレッチェ広島を始めとする広島スポーツ界との関係も深く、広島ドラゴンフライズのチームドクターをチーム発足当時から務める寛田司さんに話を聞いた。
-広島ドラゴンフライズ、B1昇格はやはり甘くはないですね。
寛田 今思えば5月の松江、ですね。プレーオフ準決勝、最後に島根スサノオマジックに2点差で負けて悔しい思いをしました。でも、向こうの勝久マイケルヘッドコーチも言ってましたよ。「最後のシュート1本が決まるかどうかだけの差だった」と…
ただ、プレーオフに進むまでのレギュラーシーズンで確かに取りこぼしもありました。それを考えればまだB1に上がるのはちょっと早いよ、とバスケットボールの神様に言われたのかもしれません。
でも、実力的にはダントツだったと思うんですけどね…。コンディションも含めてうまくいっていなかった部分があったのかもしれません。だから今回、メディカルスタッフも増やしましたし、ストレングスの方も充実した体制を取れるようにしました。
これまでも森田憲吾トレーナーがよくやってくれていましたが、新たに水野彰宏トレーナーが加わりました。
右から寛田チームドクター、森田チームトレーナー、新加入の水野チームトレーナー
水野トレーナーはリンク栃木ブレックス、横浜ビー・コルセアーズの専属トレーナーでした。先の福山合宿では、先ごろ腰椎椎間板ヘルニアの手術をした新加入の村上駿斗選手のケアも担当していました。経験豊富なトレーナーですからこちらも安心して見ていられます。
村上選手の方は根治治療ですから再発の心配もありません。焦る必要はないので、しっかりリハビリしながら動きの質を高めていって欲しいですね。
村上駿斗のチューブトレを補助する水野チームトレーナー
-新ヘッドコーチはどんな方ですか?
寛田 今回チームを率いることになったアンドリセビッチヘッドコーチはとても規律を重んじる人です。私はサッカー(サンフレッチェ広島)やバレーボール(JTサンダーズ)も見てきましたが、やはり規律を重んじるようでないとチームはうまく回りません。
新チームになって、そうした部分がしっかりできていると感じています。練習前、練習後に選手が自主的にやるべきことをやっている姿などはその最たる例です。
5月、6月、Bリーグ元年の最後に悔しい思いをした選手がほとんど残ってくれていますから、それもいい方向に働いているでしょう。そこに新戦力が加わり、まだ日は浅いのですがうまく融合し始めています。
あとは外国人選手ですね。まあ、その中のひとり、クリント・チャップマンはこのチームの初代メンバーのひとりですからね。昨季は新潟アルビレックスBBで活躍、B1得点ランキングの4位でしたから期待できますよ。婚約もして、精神的にもさらにタフになっているはずです。
※クリント・チャップマン 米オレゴン州出身、1989年3月生まれ、身長208センチのフォワード/センター。2014-15シーズンは広島ドラゴンフライズ、2015-16シーズンは千葉ジェッツ、2016-17シーズンはB1の新潟アルビレックスBBに所属。
戦力的には今回、さらに充実しましたね。戦術的なことはタナー・マセーアシスタントコーチがしっかりと指導してくれるはずだし、チームをイチから作り上げた佐古賢一前ヘッドコーチの意思を引き継ぎつつ本当に魅力あるチームになっていくと思います。
タナー・マセーアシスタントコーチ
-寛田ドクターらスタッフのみなさんのバックアップでさらに充実ですね。
寛田 チームドクターの立場から言わせていただくな、チームの状態がさらに上向いてきてそこでいかにコンディションをいかにうまく維持し続けることができるか?さきほど、取りこぼしがレギュラーシーズンにあったと言いましたが、そういう時には風邪をひく選手とかがやはり出てしまっているんですね。長いシーズンを戦う中ではろいろある訳ですが、今からはすべての面でしっかりやっていきたいですね。
自己啓発の意味も含めて、選手には管理栄養士さんの話を聞いてもらったり、新チームからヘッドマネージャーになった宮本望さんにもいろいろと選手のフォローをしてもらうようにしています。
宮本さんはリンク栃木ブレックスの名物マネージャーで、昨年7月のFIBA男子オリンピック世界最終予選でも日本男子のマネージャーとして活躍した貴重な人材です。山口県出身なので、広島ドラゴンフライズには縁あって来てもらった訳ですが、スタッフが充実したことでさらに戦う集団になってきましたね。
準備に余念がない宮本ヘッドマネージャー
私もずっとこのチームを見てきていますが、現段階で言えば今年ほど希望の持てるチームはありませんね。毎年、何かしら不安材料がありましたが、今年は穴がないんです。ヘッドコーチも選手を観察する段階から徐々に選手をコントリールする段階へと移行していきます。
そのためのミーティングもこまめに行われ、メディカル面の情報などもラインを使って頻繁にやりとりしています。カープ、サンフレッチェ広島、JTサンダーズ。広島スポーツの大先輩たちがしっかりやっているバックアップのシステムに広島ドラゴンフライズも追いついてきた感じです。
アンドリセビッチヘッドコーチはとにかくよく選手と話をします。選手の思いも受け止めています。昨シーズンのデータを分析した上で、選手の意向にも沿えるものなら沿っていくという部分も出てくるのではないでしょうか?これまでだと、選手間の出場時間に偏りが出ていました。勝っていくためにはベストメンバーで行くことも必要ですがケガや故障を考えたら、ある程度、出場時間の配分を変えていくことも必要になります。全体のバランスがよくないチームはやはり苦戦しています。
朝山正悟に話をするアンドリセビッチHC、右手前は新加入の小野悠真アシスタントマネージャー兼通訳
-ありがとうございました。まずは8月25日に広島サンプラザホールで開催されるB1、京都ハンナリーズとのプレマッチ、アンドリセビッチヘッドコーチの地元デビュー戦ですね。
寛田 はい、午後5時開場、午後7時TIP-OFFです。私もアリーナで選手の動きに注目したいと思います。応援、よろしくお願い致します。