J1王者の座を川崎に持ち帰られる訳にはいかない…
明治安田生命J1リーグ第28節(9月29日、大阪・パナソニックスタジアム吹田)
恐れていたことが起こった。
この”書き出し”は前節、先週の土曜日に1-0で逃げ切るはずの試合を追いつかれ、3位・FC東京と引き分けた時と同じ、である。
今度は降格の危機にあったガンバ大阪に0-1で敗れた。3時間遅れでキックオフの川崎フロンターレがV・ファーレン長崎に2-1で勝ったため、ついに勝ち点で並ばれ、得失点差で首位陥落となった。
前節、先制すれば勝率87パーセントの試合を”落とした”ことが、この日の2位後退に繋がった。”だいたいそういうもの”なのだ。
シュートの数は相手の4本の倍以上の11本。だが、後半39分、CKから失点した。ゴール前で競り合うパトリックの頭をかすめたボールがもう少し違う方向に流れていたら…しかし”たら””たら”言っても愚痴にもならない。最後はこぼれ球への反応で相手に軍配が上がった。
「我々の中では崩れてないけど、周りに広島が崩れたという印象だけは絶対に与えたくない」
FC東京戦の前に城福浩監督はそう話していたが、この先、相手チームはもうそうは思ってくれないだろう。
ここからが本当の勝負だ。もう逃げ切ること、みたいな消極的なことを考える必要はない。(そんなことを考えていたのはひろスポ!だけ…?)まさに1試合、1試合。そこに全身全霊でぶつかる、それは幸せなことだ。
昨年の9月30日、第28節はどうだったか?エディオンスタジアム広島で北海道コンサドーレ札幌相手に1-1の引き分けたサンフレッチェ広島は、6戦を残して15位のまま。
一方、川崎フロンターレはと言えば、同じ日にセレッソ大阪に5-1で爆勝。首位の鹿島アントラーズまで勝ち点5差に迫っていた。
わずか1年で、遠く手の届かなかった相手とラスト6戦でガチンコ勝負だ。もちろんあらゆる要素を含みながら強い方が勝つ、それだけだ。
地方クラブには不利な8月。サンフレッチェ広島は天皇杯3回戦を含む6試合で計15得点だった。
それが9月は1日の第25節、鹿島アントラーズ戦に3-1で勝利したあと、天皇杯ラウンド16も含めた4試合でわずかに1得点、しかも無失点ゲームゼロ。ここ4試合(天皇杯含む)で1分け3敗と急ブレーキがかかっている。
だが、簡単に勝たせてもらえないことは分かっていた。鹿島アントラーズ戦快勝のあと、足立修強化部長はひろスポ!の取材に対してこう応えている。
「これからは上と下の、これまでとは違ったシビアな意識の争いになってもきます。すべのことが混在する残り9節なんですね」
まさにそう。ガンバ大阪はホームでの第21節で3位にいたFC東京を2-1で破り、第25節ではやはりホームで2位の川崎フロンターレを2-0で倒している。ここに来てのホーム3連勝。「すべてのことが混在」するから何でも起こり得る。想定外はない。
それでは、ここからサンフレッチェ広島はどんな手を使ってJ1王者への道を切り拓くのか。
ガンバ大阪に敗れた痛恨のピッチでインタビューを受ける城福浩監督は無念さをかみ殺しているようでもあり、これからの戦いに向けての心構えを自らに言い聞かせているようでもあったのだが…
城福浩監督の話
多くのサポーターが来てくれたので、心強かったですし彼らと勝って帰りたかったので残念です。冷静に内容を振り返りますけど、悪くはなかったと思います。自分たちらしさを攻守において出したと思いますけど、こういう時こそ失点ゼロに抑えないといけないですし、セットプレーから勝負が決まるのがここ何試合か続いているので、いい方へ転がるようにしたいと思います。
自分たちはいつも、今やれることをベストを尽くしてやっているだけなので、その日々の積み重ねというのをスタジアムでしっかり発揮して、サポーターと一緒に喜び合いたいと思います。
第28節第1日終了時点での上位8チームの順位と勝ち点
( )内は前節からの上乗せ。※は昨季の4強でACL出場組
セレッソ大阪、コンサドーレ札幌、浦和レッズは1試合未消化
1位 川崎フロンターレ※ 56(+3)得失点差23
2位 サンフレッチェ広島 56(-)得失点差20
3位 鹿島アントラーズ 45(+3)
4位 コンサドーレ札幌 44(+3)
5位 FC東京 43(-)
6位 セレッソ大阪 41(-)
7位 ベガルタ仙台 41(-)
8位 浦和レッズ 38(-)