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2026年08月10日
編集部

広島スポーツ100年…市立福山の挑戦、夏の甲子園にフォレストグリーンの風が確かな一歩を刻む~第108回全国高校野球選手権大会第6日

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市立福山
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画像は3塁アルプス席を埋めた市立福山高校の応援風景

 

広島スポーツ100年…市立福山の挑戦、夏の甲子園にフォレストグリーンの風が確かな一歩を刻む

 

第108回全国高校野球選手権大会第6日(8月10日)

第4試合(午後6時47分開始)
天  理 000 104 101・7
市立福山 000 000 020・2

春夏通じて甲子園初出場の市立福山は初戦となる2回戦で2年連続31度目出場の天理(奈良)と対戦、五回を終わって0対1の接戦を演じたがその後は失点を重ねた。それでも八回には2点を返して確かな足跡を聖地に残した。

3塁側アルプス席をスクールカラーのフォレストグリーンに染め上げた大応援団の熱気はすさまじく、勝った天理の藤原忠理監督も3塁側から発せられる強烈な”圧”に「点差以上に苦しい試合だった」と思わず口にしたほどだった。

 

 

大門中、誠之中、福山城南中…地元から普通科の市立高校に野球をやりたくて集まってきた仲間たちが、今大会でも最高度の応援風景に後押しされ、2時間19分の初舞台を存分に戦い切った。

五回を終えて0対1。名門校を相手に手に汗握る熱戦になった。

初回の無死一塁、二回の無死一、二塁をしのいだ市立福山バッテリー。四回、先頭の四番・金本相有(3年)に初球をレフトスタンドまで運ばれたが、そのあとセカンドの渡辺 雄介主将(3年)とショートの福島悠杏(3年)が立て続けに安打性の打球をゴロアウトにすり替えた。

五回も内野のエラーと死球で一死一、二塁のピンチを招くも3塁側スタンドぎりぎりに上がった難しいフライは一直線で追いかけた福島圭音はここでも見事、スライディングキャッチ。続く、三番・永井仁之丞(2年)の強烈な打球はライト頭上を襲ったが、三谷華輝(3年)が懸命な背走を見せ最後は飛びついてグラブに収めた。

三谷華輝は身長160センチ。4月就任して間もない小田浩監督から外野の一角を任された。武器は俊敏さと脚力。レギュラーとなったこの夏は広島大会全6試合に先発出場して打率・412を叩き出した。

広島大会決勝は八番・ライトでスタメン出場。この日は八番・センターだったがこの回からライトへ。角度の違うポジションにまだ慣れていないのに、ナイター照明の中からとんでもない打球が飛んできたことになる。

監督の眼力と、それに応えようとする選手たち。それが過去ベスト16だった広島大会を制した原動力だ。

 

エースナンバーを背負う来山凌也は広島大会決勝では5回85球、2失点で後ろにつないだ。この日は三番から六番まで打率5割を超える天理打線を相手に1失点で六回のマウンドへ。試合開始から1時間13分。時計の針はちょうど午後8時を指していた。

 

市立福山大応援団が信じて疑わない初出場、初勝利。その可能性が消えたのは、おそらくこの回、先頭の金本相有を歩かせたからだろう。投球がワンバウンドしたり外角に大きくブレたりした。前の打席で許したホームランの残像がそうさせた。

次打者への初球がバッテリーミスとなり一死二塁。2球目もボールとなったところで、あらゆる策を思案していたであろう小田浩監督が投手交代に踏み切った。広島大会での勝ちパターン、DH解除で岩本大輝(2年)が救援マウンドへ。ただ、ワンテンポ遅かった。

結果は振り逃げと送りバントで一死二、三塁にされたあと、左打席の七番・大塚弘登(3年)に外スラを巧く中前に弾き返されて2失点。さらに2本の適時打を許し0対5にされた。

七回にも加点され6点を追いかける八回も連続三振してツーアウト。天理・長尾亮大(3年)の真っすぐと変化球にはキレがあり、ずでに13個もの三振を喫していた。

だが、そこからイッキの3連打で2点を返した。相手のエース右腕がこの日投じた121球目、低めの134㌔を捉えた岩本大輝の一打は左中間真ん中を破り、3塁側アルプスが波打った。

市立福山3人目の板垣心大(2年)が登板した九回にも1点を失った市立福山はその裏、代打・森吉翔舞が告げられると、この日、一番の声援が送られた。福山城南中出身。福山生まれ、福山育ちの選手が地元公立高校の代表で甲子園に立つ。左打席だから目の前に緑色に染まったスタンド…打球は快音とともにセンター前で弾んだ。

 

 

試合後、小田浩監督は「精いっぱい選手たちはやってくれました」と切り出し「いい守りもたくさんあったが、ミスが出ていまいました。甲子園はそこを許してくれない」と振り返った。最後には「アルプススタンド、ものすごい後押しでした。選手たちを勇気づけてくれました。感謝したいですね」と話し、「福山市を驚かせる」を掲げたこの夏をそっと胸に仕舞い込んだ。

勝った天理の藤原忠理監督は「重たい空気だったけど、あのひと振りでベンチが明るくなった」と打ち明け四番の先制アーチと131球完投エースの粘りを勝因に挙げた。

繰り返しになるが1本のホームランが勝敗の行方を決した可能性が高い。それがなければ互いに無得点のまま、投手・岩本大輝の出番となり、小田浩監督と選手たちの描く「終盤勝負」にもつれ込み、さらに劇的なエンディングが待っていただろう。(ひろスポ!広島スポーツ100年取材班&田辺一球)

※この記事は福山平成大学「広島スポーツ学」教材として使われます。

 

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