地方球場(群馬県立敷島公園野球場)のマウンドも不安材料のひとつ。細かい感覚を重視するのが”マエケン流”で、うまくスパイクの葉が”かみ合わない”マウンドだと制球に影響が出たりもする…。
そんな戦前の予想通りの、悲しい結末が首位攻防第2戦で待ち受けていた。
群馬県立敷島公園野球場は試合開始1時間半前から雨に見舞われ、プレーボール直後は弱まっていたものの、五回の表あたりから次第に本降りになった。
迎えた五回裏、巨人の攻撃は六番・ロペスから。盛んにスパイクの裏にへばりつく泥を気にしながらこの回を迎えた前田健太は簡単に左前打されると、前の打席、スライダーで空振り三振に仕留めた村田にも右中間を破られて無死二、三塁の大ピンチを迎えた。
続く片岡は空振り三振。ここで巨人ベンチが動き、先発の小山に代打・井端。ボールカウント2-2、勝負球は内角へのシュート…。
完全に詰まった打球は前田のやや左へ、ツーバウンド目でグラブを伸ばしたが届かず、ファーストの松山も前田の動きを見て打球を追いかけるのを躊躇、さらにセカンドの菊池はファーストのカバーに入っており、打球がライト前に達して一気に1対2と逆転された。
苦笑いで取り繕う前田はしかし内心、複雑な思いだったに違いない。その証拠に続く長野には完璧に左翼席へと持っていかれた。内角を意識していた長野の見事なさばきと、落胆も加わり威力半減のシュート…。1対4になりこの時点で勝負あり、となった。
スパイクの裏に泥がつくとどうしても下半身が浮いた感じになる。人一倍、雨天を気にする前田ならなおさらで、ピッチングはもとより井端の打球にしても通常のグラウンドコンディションならもっといい動きができていたはずだ。
ああいう状況で無理をすると、必ずと言っていいほど足の故障を起こしたりする。四回まで1安打ピッチングの前田は“またしても天にも見放された”ということになる。
雨男マエケン…。8月15日のマツダスタジアムでもやはり巨人打線を相手におよそ試合開始不可能な雨天下でプレーボールがかかり、初回には坂本に、二回には高橋由にスタンドまで運ばれた。
さらに三回には2四球4連打で4失点KO降板。「雨を気にしてあの態度はエースじゃない」ファンやカープOBからそんな声が相次いだ。
だからこの日は努めて雨に関わる行動を封印して、初回の立ち上がりから巨人打線を圧倒するピッチングを続けていた。
しかし、足場が緩むにつれて打倒・巨人の思いだけが空回り。力みや、早くこの回を終わりたい、という焦りが大量4失点に繋がりチームは直接対決、2連敗となった。
そして「巨人、優勝マジック22へ王手」。広島の23年ぶりリーグ優勝は、降りしきる雨のカーテンのせいで視界不良になり始めた。