黒田、ジョンソン、大瀬良で最下位・中日に連敗の広島、優勝確率０パーセント接近でも被爆７０年、大規模土砂災害から１年目に必要なこと

2015年08月19日: 編集部

画像は昨年8月20日の大規模土砂災害で大きな被害を受けた八木地区（2015年7月撮影）

前日の試合を黒田で落とした広島が今度はジョンソンを先発に立てながら結果的には１対８の完敗を喫した。三回にはレフトのエルドレッドの守備がジョンソンの足を引っ張り２失点。１点のビハインドでわざわざ二番手に大瀬良を継ぎ込んだ八回にも、バッテリーミスと菊池のエラーなどが絡んで大量６点を失った。

これで広島は中日戦６勝11敗となり、７勝12敗のＤｅＮＡと合わせて下位２チームに借金10という致命的な状況に陥った。そのため球宴前に「４」だった借金はまたしてもその上を行く「５」に増えて、３位ヤクルトまでのゲーム差は３に拡大。優勝どころの騒ぎではなくなり、クライマックスシリーズ進出さえも怪しくなり始めた。

広島は開幕前、優勝候補筆頭だった。黒田、新井貴浩の復帰や充実した先発陣、菊池・丸の存在が評価され、広島を軸としたペナントレースの展開が期待された。

だが実際は地元での開幕３連戦を２勝１敗と勝ち越したあと、「マツダスタジアムビジターパフォーマスでのベイスターズファン締め出しの問題」が水面下でくすぶる中、横浜スタジアムでＤｅＮＡに３連敗。そのあとナゴヤドームでも３連敗してこの時点で借金５。さらにマツダスタジアムに戻って巨人との初戦に敗れ、連敗が７まで伸びたことがけっきょく今になっても尾を引いた形になっている。

その後は一度も勝率５割に届いたことはなく、また大混セと言われる中で、ただ１チームだけ一度も首位に立っていない。

それどころか５月１日には借金が８に膨れ上がり、以後５月２回、６月は４回も借金８の危険水域に達した。

過去に借金７で優勝したのは１９６３年の西鉄、１９８８年の中日だけ。借金８で優勝したのは２００７年、ヒルマン監督の日本ハムだけ。

以上のような理由から「ひろスポ!」ではすでに５月２日の時点で次のような記事をアップしたが広島の置かれている現状はこの時からほとんど改善されていない。

ひろスポ!記事

「黒田復帰にマエケン、大瀬良…「優勝」信じスタジアムに押し寄せるカープ女子＆男子、しかし広島の優勝確率はほとんどゼロに…」

hirospo.com/pickup/17659.html

その原因を端的に言うなら「安定した戦いが投打ともにできていない」ということになる。長らく得失点差がせ・リーグダントツナンバーワンの理想的な状態にありながら”持ち駒を有効に使いこなせなかった”緒方監督の責任も当然、問われるだろう。

戦後７０年の今年、世界最初の被爆都市である広島では「カープは戦後の街の復興のシンボル」「とともに歩んできた市民の宝、街の象徴」という考えが広く浸透している。

丸はそのことを「カープは広島そのもの」という言い方で表し、確かに選手たちはその誇りを胸にプレーしているのだが、なにぶん相手もあることだから簡単には思うようにいかない。

それでもあす８月２０日には広島市の大規模土砂災害からちょうど１年目を迎える広島では、その被災地から「わしらがカープ」に声援を送り続ける市民やファンがたくさんいる。

例え優勝確率が限りなくゼロに近くても、「１球の重み」を胸にもう一度ファイティングポーズをとってこその赤いユニホーム。仮に優勝ラインを「貯金１０」と低目に設定した場合、それでも26勝11敗の超ハイペースが必要になる。それは終わるまですべて起こるということを証明するにはまたとないチャンスでもある。