風の涼介#2、2011年12月13日
「広島と言えば江藤さん!という感じ…。実際には会ったことありませんけどね。一番が野村で二番は正田。ファミスタⅡです、92年ですよ」
そんなことを素で話す。「一番が野村…」、普通に呼び捨て!?である。
そんな菊池のプレーを見たことがないので想像するしかない。松本スカウトが「エグい肩」と表現するその守備とはどれほどのものなのか?しかし、前評判を聞く限り、「ショート菊池」は、もう“楽しみ”というほかない。
カープのショートと言えば三村敏之、高橋慶彦、野村謙二郎…。キムタクやシーツも守ったが、そのあとを受けた梵が、不調やケガによって未だ完全に定着とまでは至っていってない。チームにとっては大きな誤算だ。
梵のショート。その魅力は何といっても安定感にある。肩と手首が強いから広い守備範囲をカバーして、深い位置からのスローイングでも悠々アウトにできる。決して筋トレ崇拝者ではないが、その下半身の筋肉の付き方は尋常ではない。あの性格なので本人は決して見せびらかせたりしないが「盗塁王はダテじゃない」とただひたすら驚かされる肉体を持っている。
それほどの身体能力を持ちながら、ひざに爆弾を抱え、自打球によるひざ内部の損傷という不運も重なった。
今シーズンは、その梵をバックアップした木村の活躍が球団サイドから大いに評価された。もちろん木村自身も「来年こそレギュラー!」と張り切っている。
今季、スタメンでショートを守った選手はほかにもいる。出番は少なったが小窪、それに松本高明…。菊池はこうした面々に挑んでいくことになる。そして来年2月のキャンプでは、早い段階から結果を出していくことが求められる。
「高校ではセカンドからサードに回りました。大学では最初、サードで1年の秋からショートを守るようになりました。やっぱりサードをやってた頃より視野が広がりましたね。自分の野球観が広がった感じがします。こだわりはないけど、要として(のポジションで試合に)出たい気持ちはあります」(菊池)
「課題」と関係者から指摘されているバッティングの方では高校時代に「20打席ぐらい練習試合で立った」という左打席にも挑むという選択肢もあるだろう。そうなればそれこそ高橋慶彦、正田耕三、山崎隆造以来のスイッチヒッター誕生となる。
守っても打っても走っても、規格外のスケールの選手になりえる気配がある。そして前田智徳のともに汗と泥にまみれて金本と同じ時代に広島の中軸に成長した右の大砲、江藤智の背番号も33。マツダスタジアムを舞台に存分に暴れまくることになる菊池には、なぜか旧広島市民球場の匂いがする。
この連載は、10年以上、一日も休まずに更新し続けるカープ情報携帯サイト「田辺一球広島魂」で過去に連載したコラムから抜粋してお届けします。
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