黒田に大声援を送るカープファン(マツダスタジアム)
セ・パ両リーグが5月1日、ホームとビジターの対戦が一巡した4月30日時点での観客動員数を発表した。
前年同時期と比べて両リーグとも8パーセント台の増加率とプロ野球人気の根強さが証明された。
中でも32・8パーセント増の広島の突出ぶりが目につく。かつて12球団で最も動員力の弱かったチームは、マツダスタジアムの完成(2009年)やカープ女子人気、そこに輪をかけて話題を集めることになった「男気」黒田博樹の復帰などで巨人、阪神、ソフトバンクに次ぐ第4勢力にまで台頭してきた。
特に地元広島では緒方新監督、新体制の下で、年明けから「カープは今年こそ優勝じゃ」というムードが広がり、その期待度の高さもあってマツダスタジアムは連日の大賑わい。
チームもその期待に応えようと本拠地では8勝6敗と健闘しているのだが、昨夜の神宮で黒田を立てながらヤクルトに敗れたようにロードでの成績はなんと1勝11敗。
そのため最下位に沈んでいるだけでなくパ・リーグのオリックス同様、”一弱”の様相を呈し始めている。
ここで非常に気になるのが、昨夜の1敗でチームの借金が「8」に達したこと。
実は過去のプロ野球の歴史を見ても、借金7以上で優勝したケースは1963年の西鉄、1988年の中日、2007年の日本ハムだけ。そのうち借金8は日本ハムのただ一度で、当時のヒルマン監督は前年、チームを日本一へと導いている。
…ということは1年目の緒方監督率いる広島が公約通り「優勝」を成し遂げる可能性は限りなくゼロに近いと考える方が自然だろう。
広島は1991年に山本浩二監督の下でリーグ優勝して以来、23年も優勝から遠ざかっており、中日から移籍の久本ら一部を除いて優勝を知らない選手が大半、ということも大きなマイナス材料となる。
コイの季節を待たずしてコイわずらいの広島。それとも神宮でも横浜でもスタンドを赤く染めるファンの声が、赤いユニホームに再び袖を通した黒田や「四番・新井」の奮闘が、奇跡の扉を押し開くのだろうか…。