3度目の日本一へも「自分らしく」真正面から向かい合う、チャンピオンシップ第2戦キックオフまで残り数時間のサンフレッチェ広島・森保一監督へ
とうとうこの日が、やってきました。
昨日、少し長めのミーティングと「頭と体を起こす程度」の短い練習とを終えたあと、報道陣に囲まれ、またこんな話をしていましたね。
「応援してくれるすべてのみなさんが注目する中で試合ができるのはプロとして幸せなことです。ここ2日いい準備ができました。選手にも幸せに思って楽しんでもらいたい」
「もちろん優勝すると強い思いを持ってますし、広島の方々の大きな期待も感じています。我々は広島の代表としていつも戦っています。みなさんに喜んでいただき、我々の活動が地域の活性化にも繋がるし、昨夏の大規模土砂災害で苦しんでいる方々を少しでも元気づけることができたらと思います。一勝一笑、です」
会見の終わりに「4年で3度の日本一…、素晴らしい成果をあげられる理由」を尋ねられるとこう答えましたね。
「選手もスタッフも含めて与えられた責任をまっとうする。当たり前のことを当たり前にやり続けること。特別なことではないけど、それは簡単なことではないですし、ひとりひとりがチームの一員としてチームのために何ができるかということを考え、結果的に自分の価値を高めるこの向上心、それはスタッフもそう。それプラス、組織としてチーム一丸となって団結力をもってやっていこうということ。個の部分と組織の部分。もちろん思いどおりいくことばかりではないけれど、それをみんなで乗り越えてこれたことが今の位置に繋がったと思います」
そのスタイルは森保監督の姿そのもの。だから、きっと昨季三冠の、一番タフなガンバ大阪をコーナーぎりぎりまで追い詰めるハードパンチを、起死回生の一撃を”サンフレッチェ広島の一番長い5分間”に繰り出すことができたのでしょう。
監督就任1年目でJリーグを制し、2シーズン目の宮崎キャンプで「重圧は感じませんか?」と尋ねたとき「自分らしくやるだけです」の一言にすべてが凝縮されているのだな、ともうその時点ですべてが理解できました。
10月14日、天皇杯3回戦、ロアッソ熊本を若手主体メンバーで振り切った日にも、こんなことを言っていましたね。
「負ければ責任は自分にあります。少しでも選手に成長してもらいたいし、若手をけっしてご褒美で出しているわけではありません。時間が限られている中で最善の準備をしてリーグ戦も天皇杯も優勝を目指す。でも、選手の姿勢には確かに変化が出ています。自分たちでやっていく気構えが見える。監督いらず、です」
その3日後、エディオンスタジアム広島で風間監督の川崎フロンターレを2-1で倒し年間首位に再浮上しました。1-1の後半ロスタイムに途中出場した山岸の劇的ゴール…。出番が少ないベテランの「向上心」の賜物でした。
1週間後に「悪いデータ」を跳ね返し、山梨中銀スタジアムでヴァンフォーレ甲府に2-0、理想的な完封勝利、そして万博のガンバ大阪を11月7日に2-0で退け第2ステージ優勝に当確印を出しました。
この試合前日に、ある意味森保監督の分身と言っていい、森崎和幸選手が教えてくれました。
「チーム内での競争が激しく、それが原動力になって今までで一番強いチームになっています。でも監督はこう言うんです。常に野心を持て、現状にとどまるな、と…僕もそう思って今シーズンやってきましたし、やっていきますよ」
中4日で天皇杯、徳島ヴォルティス戦にも勝利。そして11月22日のエディオンスタジアム広島で湘南ベルマーレを相手に「応援してくれるすべての人たち」との約束をまたひとつ果たしたばかりか、勝ち点74の新記録で「J最強クラブ」のチームカラーを紫色に染め変えました。
さあ、この物語のエンディングにはクラブワールドカップの舞台が用意されています。
チームが団結し、戦い続けることでどれほどの「ご褒美」と出逢えるのか。今シーズン、エディオンスタジアム広島ラストゲーム、1時間半後にシャーレを広島の夜空に掲げ「野心」のエナジーを次なるターゲットにロック・オン…
ひろスポ!サンフレッチェ広島取材班