広島新サッカースタジアム取材班は当然、グリーンフェスタも取材して、人の流れ、イベント運営状況もチェックした。(トップ画像説明)
このところ関連報道のなくなった広島のサッカースタジアム問題で、実質的には行政側が唯一の建設候補地として絞り込んでいる広島市中央公園そばにおいて、小学生が巻き込まれる重大な交通事故が発生した。
中央公園に隣接する基町高層アパート群などの住民からは「だから、言わんこっちゃない」「最初からスタジアム建設には反対だが、さらに反対」の声も上がっている。
事故は中央公園北側の片側1車線の車道で発生した。車道の北側には市立基町小学校があり、唯一信号機と横断歩道もある。が、小学生はそれより西よりの横断歩道のないところで車と接触した。地元住民は「屋台が出ていて(車道も)混雑していたからスピードが出ていなかったけど、そうでなければもっと大事になっていた」と話す。
事故は「春のグリーンフェア」の期間中(4月7日から4月16日)に起こった。同イベントは毎年、この時期に開催され多くの人で賑わう。
フリーマーケットも人気で、4月9日(日)には小学生などを対象にした「冒険遊び場」事業も開催された。
この「冒険遊び場」は、広島市こども未来局からNPO法人セトラ広島(若狭利康理事長)が受託した事業であり、グリーンフェア自体も広島市緑政課に「春のグリーンフェア実行委員会事務局」が置かれている。
いわば広島市のお墨付きイベントで小学生が交通事故に遭遇したことになる。
何よりも最優先されるのは「安全」であり、広島市においてはその最優先課題が頻繁に軽視されている。
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広島市では、中央公園へのスタジアム建設案について当初から「全面的反対」を表明している基町地区住民に対して、「サッカーの試合開催日には全面車両通行止めにする」との対策をすでに示している。
しかし、「全面」は無理である。
物販・飲食販売業者や大関係者車両、VIP車両、報道関係車両、中継車両、チーム関係車両、緊急車両や警察車両、ハンディキャップのある方たちの車両等々…、現在、Jリーグの試合が開催されているエディオンスタジアム広島を一日でも「調査」すれば、そんなことはすぐに判明する。しかも、試合当日だけではなく、車両の運行はその前後にもまたがる。
だいたい「全面」通行止めは広島県サッカー協会やサンフレッチェ広島とよく話し合ってのものなか?そういう話はぜんぜん聞いていないし、これを読んだ関係者からどんな反応があるか、また調べてみる必要がある。
居住区域のすぐそばに3万人規模のスタジアムを持ってくることは、常識では考えられない。閑静な住宅地に、道ひとつ隔ててパチンコ屋やカラオケ店が突然やってくる風景にも似ている。もちろんカラオケ店などが悪いのでない。この組み合わせが拙いだけだ。
中央公園スタジアム案を進めるためには、基町小学校など教育施設の移設や根本的な中央公園周辺の道路網整備、徹底した人とモノと車の動線の充実がその引き換え条件になってくる。当然、その予算は10億円、100億円単位でスタジアム建設費用と拮抗するだろう。
が、今の広島市の言動を見ていると”単に中央公園の一角にスタジアム単体をはめ込んで、一丁上がり”となりかねない。周辺整備などは当面「計画」だけされて、やがて「計画倒れ」になる可能性が高い。
供用開始からすでに9年になるマツダスタジアム周辺の現状を見ればよく分かる。
この不安が的中するか否かは、現在進められいる「中央公園広場の調査検討」中間とりまとめ以降に、市側が基町住民に対して行う説明の中で明らかになってくる。
だが、その場で小学生交通事故に対する説明などは、よほどのことがない限り行われないだろう。そういう状況は一般的に「机上の空論」と言われる。
広島みなと公園へのスタジアム建設に湯崎知事がまい進した時期がまさにそうだった。
それにしても小学生ひとりの安全も守れずに何が、「中央公園広場におけるサッカースタジアム整備の影響等に係る調査・検討業務」か?
「調査」する予算をもっと有効に使ってみてはどうか?国内と世界のスタジアムでは、試合当日にどんな「運営」をしているか?今の広島市のレベルなら、まずそこからだろう。
広島新サッカースタジアム取材班
ベルリンのオリンピアシュタディオン、試合前のスタジアム内から、ひろスポ!ベルリン取材班が2月に撮影。スタジアムの目の前まで各種車両はやって来る。さらに画像奥にはテロ対策の警察車両ほか、各種関係車両がびっしりと止められている。