栗原(後方)の助言を受けスイングする高橋
チームの連敗を「9」で止め、地元での交流戦、残り4試合での巻き返しを図る広島が「起爆剤」として期待する和製大砲を一軍練習に合流させた。
「自分らしさを出してフルスイングする」
プロ2年目の高橋大樹外野手(20)。初の一軍昇格に分厚い胸板を張りながら目を輝かせている。
同期入団の鈴木誠也内野手(19)がルーキーイヤーの昨年、プロ初安打を放つのを寮のテレビで見た。「負けたくない」気持ちはさらに強くなり、昨秋のキャンプではそれまで以上に振り込んだ。調子も上がってきた。
しかしキャンプの終わりになって左手を骨折。しばらくはバットも握れなくなった。
それでも「1年目はあっという間だった。1年は早い。次は必ず一軍へ…」プロ2年目に向け気持ちを強くした。
とはいえ開幕は二軍。そして、再び鈴木誠也の方が先に一軍へ。
しかし、周りのことより自分のこと。課題は山積みだった。
ウエスタン・リーグでは上々のスタートが切れた。3月27日、由宇練習場で行なわれた中日戦では左へ、右へと2ホーマー。開幕から6試合で4発と打ちまくった。
ところがすぐに壁にぶち当たる。その1カ月後、本塁打の数は2本しか上乗せできず、打率の方は2割を切った。
それでも内田二軍監督からは「長打力」を前面に押し出すことを勧められた。実績では申し分のないかつての四番打者、栗原がいつもそばにいてくれたこともプラス材料になった。分からないことは何でも聞けた。一軍で実績をあげるためにどうすればいいか?そのイメージが膨らみつつあった。
5月後半からは打球が再び広角に飛び始めた。打率は2割4分にまで上昇した。加えて54試合で10本塁打はウエスタン・リーグホームラン王争いトップを行く。
チームの連敗が止まり、さあ!これから、という時に一軍に呼ばれた意味は分かっている。中途半端は必要ない。マツダスタジアムでの交流戦残り4試合はDHもある関係で必ず出番がやってくる。
その飛距離は間違いなく一軍レベルでもトップクラス。チームの打点の4分の1をひとりで叩き出すエルドレッドとの”一発の共演”で、交流戦最下位に沈むチームに新風を吹き込むか?