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2022年03月28日
編集部

「ドライブ・マイ・カー」とプーチンのウクライナ戦争と岸田首相と広島の6本の川と…3月27日サクラ咲く日曜日に…

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京橋川
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サクラ咲く京橋川、川向うは比治山(3月27日午前11時前に撮影)

 

「ドライブ・マイ・カー」とウクライナ戦争と岸田首相と広島の6本の川と…3月27日サクラ咲く日曜日に…

ドライブ
広島市中区の広島銀行本店1Fロビーで2月に開催された「ドライブ・マイ・カー」パネル展での様子

……

 

第94回アカデミー賞授賞式が3月28日(現地時間27日)、米国・ロサンゼルスのドルビー・シアターで行われ、「ドライブ・マイ・カー」が国際長編映画賞(旧・外国語映画賞)を受賞した。

 

 

「ドライブ・マイ・カー」は、「不幸な力」と「肯定的な力」を広島の街から感じ取った(ともにNHK広島放送局3月11日オンエア「ラウンド中国」内での発言)濱口竜介監督によって、全編179分のうち作品冒頭の30分以降はほとんど広島ロケによって物語が展開する。

 

 

世界中から賞賛される、ということは、広島の過去と今と未来を下地としたこの作品の深みや魅力は、やはり国境を越える「力」を有する、ということになるだろう。

 

 

戦時下にあるウクライナ支援の活動を行う米国俳優のショーン・ペン(61)がアカデミー賞授賞式前日、2ウクライナのゼレンスキー大統領に演説の機会が与えられなければ「ミスティック・リバー」(2003年)と「ミルク」(2008年)で主演男優賞を受賞して手にしたオスカー像を溶かすと、米映画芸術科学アカデミーに伝えたニュースがあった。

 

 

映画の世界とリアルな世界がオーバーラップする…

 

 

広島はそういう街だ。アニメや映画で都市が消滅するシーンはいくらでも見ることができる。しかしこの地上で実際、一発で壊滅したのは広島と長崎だけ、だ。

 

 

広島の人たちはすでに戦争勃発から1カ月以上が経過したウクライナ戦争を、どうとらえているだろうか?広島市、広島県など行政サイドは、地元企業はどうだろうか?

 

 

ロシアによる軍事侵攻を受けているウクライナを支援しようと、東広島市では3月23日、日本に避難してくるウクライナ人の受け入れ態勢を整えるために市の総務部長をトップとする検討チームを発足させ初会合を開いた。

 

 

同市には世界大学ランキングトップ100を目指す広島大学があり、外国人雇用事業所の数で見ても広島市、福山市に次いで多い。萎み行く日本の未来を担う、労働力にも国境はない。

 

 

「ウクライナの惨状を見るにつけ平和を標ぼうするわが市としては、避難する人の受け入れは非常に大切だと考えました。生活、就業、就学など、総合的に支援できる対応をとっていきたい」(東広島市の高垣広徳市長)

 

一方、広島を“ホームタウン”とする岸田文雄総理は23日、歴史的なゼレンスキー大統領のリモートでの国会演説に耳を傾け、ロシアのウクライナ侵攻からちょうど1カ月の24日(日本時間同)にはベルギーでウクライナ問題を話し合う先進7か国(G7)首脳会議に出席した。対ロシアでかなり明確な対応が目立つ。その分、ロシア軍の艦艇が束になって津軽海峡を通過したり、軍事演習を展開したり…。もう、とっくの昔に平時と非常時の境界線がなくなっている。

 

 

 

岸田首相は“返す刀”で26日午前には広島空港に降り立ち、そこから呉市にある海上保安大学卒業式に出席。沖縄県の尖閣諸島周辺でロシアと“共同歩調”を取る中国海警局の船が領海侵入を繰り返していることにも触れ「ロシアのウクライナ侵略によって、国際秩序と世界平和がおびやかされる事態となっている。平和を次の世代につないでいくことが、私たちに課せられた最も重要な責務だ」と強調した。

 

 

広島の人たちは、コロナ禍3年目を迎えた今を、どうとらえているのだろうか?先行き未だ不透明? なんとかなる? それでも平和? 何も考えないようにしている?

 

 

岸田総理は呉市から広島市に移動して、「自転車で日本中を回りたい」とガッツあふれる心意気を示した米国のラーム・エマニュエル駐日大使と中区の平和記念公園を訪れた。中央からのメディアと広島のメディアが入り乱れ、強い雨の中、取材合戦?が展開された。

 

 

広島県の湯崎知事、広島市の松井市長らに案内され原爆慰霊碑に献花した米国駐日大使はその後、元安川越しに原爆ドームを眺め「世界に平和と正義をもたらさなければならない」「平和において広島ほど重要な場所はない」とした。

 

映画を鑑賞した人ならすぐに分かるが「ドライブ・マイ・カー」のロケ地と同じ空間でのリアル中のリアル発言だ。

 

 

キエフの制圧に失敗したロシア軍はウクライナ東部と南東部の侵攻エリアを拡大することで「南北朝鮮」状態に持ち込みたいようだ。執拗に攻撃が繰り返されるウクライナ東部、ドネツィク州の45万人都市マリウポリは「もう二度と住めない」「ほぼ消滅」「街はちりと化した」(現地の声)。1945年8月6日以降の広島はの“言われよう”に重なる。そのころの広島市は35万人都市で、年内に約14万人が亡くなっている。マツダスタジアムを4度満員にしてもまだ入りきらない数だ。

 

 

ウクライナは、1990年の主権宣言の中で「非核三原則」を発表した。単独で行動してきた日本にとって唯一の”仲間”である。日本は、広島は大切な友人に手を指し述べる義務がある。

 

 

 

米国駐日大使訪問から一夜が明けた27日、日曜日。青空の下で、6つの川に沿って植えられている桜並木が一斉に開花し始めた。

 

 

「ドライブ・マイ・カー」でサーブ900が“巡る”広島には季節柄、桜は出てこない。

 

桜と日本人。

 

 

日の丸をつけた攻撃機が、1トン以上の爆薬を詰めた、着陸用設備なしの特攻兵器を吊り下げていた。一人乗りで敵に突っ込むことだけに作られた。名を“桜花”と言った。サクラのように美しく散れと…

 

 

「言葉」はいつの時代も人々の心を惑わせる。ロシアのプーチン大統領はプロパガンダと歯向かう者への執拗な報復を得意とする。ゼレンスキー大統領は人類史上初の「スマホ戦」で真っ向から立ち向かう。

 

 

「ドライブ」で広島のロケ地巡りをする人は、今回のアカデミー賞受賞でさらに増えるだろう。

 

京橋川
画像の京橋川上空に”飛翔体”の未来…はゼロではない、3月27日午前11時前撮影

御幸橋
絶望の被爆直後の写真で知られる御幸橋東詰め、3月27日午前11時ごろ撮影

 

だが、ドライブ・マイ・バイク(自転車)でも狭い広島市内は満喫できる。

 

 

この記事の冒頭の画像は27日、午前11時ごろ、京橋川西岸からバイクで通りすがりに撮影した。川向うは比治山で、岸田首相の本籍もあのあたり。その頭上600メートルで原子爆弾が炸裂した際には比治山の影になって命を失わずに済んだ人が大勢いる。

 

 

比治山からそう遠くない広電宇品線が京橋川をまたぐ御幸橋。1945年8月6日午前11時ごろ爆心地から約2・2キロの橋の上での光景を元中国新聞カメラマンが撮影した。そこでどんなことがあり、どんな声があったのか、今では想像するしかない。

 

 

想像力が豊かでない者はけっきょく最後に破綻、破滅する。「桜花」などの特攻兵器まで開発した当時の日本もそうだし、明治、大正、昭和と長らく日本の手本となりながら「世界首都ゲルマニア」などの夢に惑わされ最後に地下壕でピストル自殺したヒトラーのドイツもそうだ。

 

 

ところがヒトラーが周辺諸国への「侵攻」を企んでいる頃、ドイツ国民はプロパガンダによって危機的状況を想像できず、普通に余暇を楽しんでいた。ミサイルが空から降ってくるほんの少し前まで普通に働き、学び、暮らしていたウクライナの人々は、日々、不安を募らせながらも日常を守ろうとして「人道危機」に直面した。

 

 

被爆直後の写真が語りかける、あの日と同時刻の3月27日の御幸橋。そばに大型SCもあるから家族連れが行き交い、子どもたちも楽しそうだった。

 

 

もし、そこから見上げる青空に広島目掛けて飛んでくる「飛翔体」があれば、どうなるか?

 

 

 

27日午後8時からのNHKBS1「マイケル・サンデルの白熱教室~民主主義って時代遅れなの?~」で最後にサンデル教授はこうまとめた。

 

「明らかになったのは民主主義はまだ未完成のプロジェクトであるということ」、そして「私たちの希望であるということ…」

 

 

さすがは「白熱」と掲げるだけのことはある。講義は最後をどうまとめるか?にかかっている。

 

 

それは「作品」も同じであり「ドライブ…」のエンディングもそうなっている。

 

 

それではウクライナ戦争やICBM級ミサイル発射の北朝鮮や、“ロシア危機”を横目に自分たちの「革新的利益」ばかりを追求する中国vs未完成の民主主義の戦いの終わりはどうなるか?

 

 

そして広島は何ができるだろうか?

 

(広島スポーツ100年取材班&田辺一球)

 

※この記事は福山平成大学「広島スポーツ学」から一部を引用しています。

 

 

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(2022年3月14日掲載)

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