リオデジャネイロ五輪第9日、陸上男子100メートル予選(日本時間8月14日午前0時開始)
広島・修道高校出身の山県亮太(セイコーホールディングス)は予選全8組中最後の組でスタート。絶妙のスタートからフィニッシュまで踏ん張り、アカニ・シンビネ(南アフリカ)に続く10秒20のタイムをマークして2位に食い込んで準決勝に進んだ。山県の自己ベストは日本歴代5位の10秒06。
予選には69選手がエントリーしてタイム上位の24人が準決勝に進んだ。予選タイムトップは2組を走ったジャシティン・ガトリン(米国)の10秒01で前回ロンドン五輪銅メダリストは健在。予選突破タイムの最低記録が山県の10秒20。
7組の桐生祥秀(東洋大)は10秒23で無念の敗退。4組のケンブリッジ飛鳥(ドーム)は10秒13で予選タイム8位に並ぶ好発進となった。
男子100メートル準決勝は現地時間の14日午後9時、日本時間15日午前9時に行われる。準決勝は3組あり、2着までと3着以下のタイム上位2人が決勝に進む。日本勢で決勝進出となれば、1932年ロサンゼルス五輪の吉岡隆徳(よしおか・たかよし)以来となる。
「暁の超特急」の呼び名で知られる吉岡隆徳は島根県出身。東京高等師範学校(現筑波大)に進み、現役引退後は広島高等師範学校(新制広島大学に継承)で教べんを執った。戦後は1950年の広島国体開催にも尽力した。
こうした戦前戦後の広島スポーツの歴史の「今」に立つ山県は準決勝ではウサイン・ボルト(ジャマイカ)と同組の2組を走る。ボルトの持つ世界記録は9秒58、前回ロンドン五輪でのオリンピック記録は9秒63…。
ロンドン五輪に続く準決勝進出で山県がどんな走りを見せてくれるか?
「少し自分のレースが崩れたけど全体的には悪くない。この場に立てていることをすごく幸せに思う。あすも頑張りたい」(山県)
なお、ケンブリッジ飛鳥はロンドン五輪銀メダルのヨハン・ブレーク(ジャマイカ)、同銅メダルのジャスティン・ガトリン(34=米国)と同じに3組に入った。
★山県亮太 (やまがた・りょうた) 広島市西区出身、177センチ、小学生時代に陸上競を始め、修道中・高校時代には恵まれた環境とは言い難い中でもチームメートに恵まれて国体、インターハイで活躍。慶大に進み2年時の2012年、織田陸上男子100メートル予選で10秒08をマークして同年のロンドン五輪A標準記録を突破した。2015年4月、セイコーホールディングスに入社。今年6月、鳥取市で開催された布施スプリントで向かい風(-0・5)の中、自己ベストを更新する10秒06を記録した。この記録は向かい風では日本歴代最高タイム。