画像は現在の大野二軍施設
カープ球団は、現在、廿日市市の宮島対岸、瀬戸内海沿いにある寮や屋内練習場などの二軍施設を、目の前の国道2号線を使い車で北西方向に数分のところにある中国新聞社の「ちゅーピーパーク」に移転させると発表した。 移動距離はおよそ500メートル。2029年末の完成を目指す。あと6年…はちょっと長い。
この日、カープ球団と地元の廿日市市、中国新聞社が廿日市市内で締結式に臨み連携協定を結んだ。
かつてはファンの出入りが可能だった大野二軍施設はトラブル(選手の車に傷がつくなど)発生により出入り禁止となり、さらに施設入り口での出待ちも制限されるようになった。敷地面積がおよそ2・4倍になる新たな施設では、ファンが気軽に見学できるような導線やスペース作りが期待される。駐車場などについてはまだ不明だが、国道2号線、JR山陽線沿いの好立地。
チーム黄金期の1980年に開設した現在の施設は、その後、手を加えながら運用されてきたものの老朽化が進んだことに加え、屋内練習場は他球団に比べて見劣りするものになっていた。
また、動作解析システムなど選手を取り巻く環境が日進月歩、という中にあって、最新の練習、リハビリノウハウを導入していくためにも新たなハード作りが必須となっていた。
土地取得代を除く事業費およそ40億円の大型投資になる。敷地面積はおよそ2ヘクタール。
瀬戸内海の釣りも雪山スキーも楽しむことのできる廿日市市は、ベッドタウン機能も有し、人口およそ11万3000人。宮島ほか観光産業も盛んで、カープ二軍の新たな拠点施設は集客の面でもプラスになる。
移転先の土地は、1886年(明治19年)設立のチチヤスが所有していた。同社は1917年(大正6年)に国内初のヨーグルトを発売した。
広島県民は、乳製品とともに「チチヤスハイパーク」にも慣れ親しんできた。1964年(昭和39年)、工場施設などが点在する敷地内に遊園地、プールが完成しれ、以来、昭和、平成と家族連れで賑わう一大レジャーゾーンとして子どもたちに愛されてきた。
しかし、スキー場、ゴルフ場など経営の多角化を進めた結果、2000年代に入ると経営が傾いた。結果、投資ファウンドからの出資を受け事業再建を目指すこととなり、乳製品などの生産部門は2011年に伊藤園に買い取られた。
チチヤスハイパークはそうしたタイミングで中国新聞社に譲渡された。中国新聞社はゴルフ練習場があった場所に最新鋭の印刷工場を建設した。この施設と2007年大々的に告知してスタートさせた「ちゅーピープール」で新たな賑わいを目指した。
しかし期待されたほどの集客は望めず、しかもプールは運営開始早々に死亡事故を起こして問題になった。今回の連携協定によりプールは営業終了となる。けっきょく新聞社がレジャー運営に手を出してもうまくはいかない…ということで最大のキラーコンテンツ「CARP」の出番となった、という見方もできる。