「鹿島を叩いて自分たちの力を確認したい」と話す森保監督
鹿島アントラーズがスター軍団を土俵際まで追い詰めたことで世界に衝撃が走った。クラブワールドカップ決勝はJリーグの力量をアピールするまたとない機会となった。
相手の”本気度”や欧州でのこの大会の知名度などはこの際、問題ではない。レアル・マドリード、ジダン監督を焦らせ、ポルトガル代表、クリスティアノ・ロナウドのハットトリックを”引き出した”。ロナウドは4度目となる「バロンドール」を受賞したばかり。そんな相手と120分以上も同じ土俵で、6万8000人の大観衆の前で闘った。
「来年こそ、ここで王者になりたい気持ちになった」(鹿島アントラーズ・小笠原)
「ほんとうに悔しい思いでいっぱい」(同・石井監督)
アジア勢初の決勝進出で何にも変え難い経験をした鹿島イレブン。浦和レッズとのチャンピオンシップを大逆転で制したのもそう。大きな舞台になるほどに、守りをきっちりと固めてワンポイントの攻撃で確実に仕留めにかかる鹿島スタイルはやはり深みがある。
そのおかげで、サンフレッチェ広島にとっては、大きな大きな”チャンス”が巡ってきた。
「その鹿島」を撃破すれば、ある意味、レアル・マドリードとの土俵にも近づくことができる。昨季の今頃はサンフレッチェ広島もクラブワールドカップの話題をさらった。3位決定戦で巨大資本の中国・広州恒大に2-1のスコアで逆転勝利を収めたからだ。
広州恒大戦のあとサンフレッチェ広島・森保監督は「われわれは広島の代表として、全世界に中継される中、平和都市・広島を勝利を持って発信できたと思います」と話した。今回の鹿島アントラーズもやはり、自分たちが「Jリーグ10番目の、小さなクラブからのスタート」であることを自覚して、ホームタウンへの思いを口にした。
稼ぐおカネに何十億円、何百億円もの差があっても、ピッチに立つのは11人。そこで大きな相手を倒すからこそ、世界中がこの戦いに熱狂する。
昨季のJ1王者、サンフレッチェ広島も、今季はここまでカップ戦も併せて優勝争いができないまま、12月に至っている。
だが、幸いなことにまだサンフレッチェ広島の、カープ25年ぶりのリーグ優勝に沸き返った広島の街の「シーズン」は終了していない。ACLとその先のクラブワールドカップに繋がる、天皇杯が残っている。
ここまでノックダウン方式で勝ち上がってきたのは、最近10年間で6度も決勝に進み4度優勝のガンバ大阪と、横浜F・マリノス、大宮アルディージャ、湘南ベルマーレ、FC東京、川崎フロンターレ、そして鹿島アントラーズ。
その準々決勝、サンフレッチェ広島は今週末、茨城県立カシマサッカースタジアムに乗り込み世界2位のクラブと激突する。
かねてから「元旦の吹田で戦う」ことを今季最後の目標に掲げるサンフレッチェイレブンにとって、ベスト4進出を懸けたこの戦いも単なる通過点に過ぎない。
前身のマツダサッカー部からサンフレッチェ広島となって以降、これまで5度、決勝の舞台に立ち勝てていない。森保監督になってからだと2013年の元日決戦で、やはり横浜F・マリノスの前に準優勝に終わっている。
その大きな壁に挑む残り3戦は、佐藤寿人や森崎浩司に惜別の思いも込めて声援を送り続けるサポーターとともに前進!その中で、これまで以上に手ごわい相手に成長した鹿島アントラーズと対峙することにより、サンフレッチェイレブンもまだ見ぬ自分たちの力にどれだけ出逢うことができるか。
広島から世界を見据える、クリスマスイブ午後1時キックオフのひと足早い”プレゼント”。天皇杯ベスト4に名乗りを挙げるためには、走り続ける相手のタフな心臓部を射抜くための、研ぎ澄まされたチーム力が求められる。
森保監督の話
今シーズンはタイトル争いができていない。我々は元日の決勝で勝つことを前提にやってきた。次はアウェーで厳しい戦いになる。しかし、この先もJリーグのトップグループを走るために、鹿島を叩いて自分たちの力を確認したい。相手もクラブワールドカップでいいゲームをしているが、我々も自信を持っていい準備をしようと思う。ここから先、負ければ終わり。強いチームはたくさんゲームをする。クラブワールドカップ準優勝の相手、チーム一丸となって臨みたい。
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