広島市などに対して、急きょ浮上した「中央公園案」に不信感を抱き「裏取り引き」の有無を資した連合自治会の中村和正副会長
広島のサッカースタジアム建設候補地に「中央公園を加えるため」の最大の課題である地元住民との実質上、一度目の話し合いが1月24日に行われた。
基町地区の役員らで構成する「基町の明日を考える会」から広島市の担当者らに直接、言い渡された質問項目は次のとおり。
・広島市民、とりわけ基町地区住民にとってなくてはならない中央公園を消去する積極的意義は何かお示しください。今後の基町地区の街づくりに関して、高齢化福祉、多文化共生、住宅施策等の面から県、市において具体的に考えている項目があればお示しください。
・広島みなと公園が候補地と報道された後に、中央公園自由広場が再度、候補地になった理由を説明してください。
・二番、中央公園自由広場は災害時の広域避難場所です。地下には10トンの飲料水が貯蔵されていますがどうなるのですか?
・三番、騒音対策はどうするのですか?
・四番、渋滞はどう考えているのですか?
・五番、不法駐車はどうするのですか?
・地元居住区の影響についてどう考えているのですか?
・小学校、保育圏に対する騒音、交通渋滞、遊び場などどう考えておられますか?
・八番目、中央公園自由芝生広場の利用者に対してどのように考えておられますか?
会議ではここまでの質問が出たところで一度、基町地区住民との話し合いの”矢面に立つ”広島市の杉山朗文化スポーツ部長が次のように答えた。(太字はひろスポ!による、以下同)
杉山 すいません、まずこのような形で申し入れ書と質問書をいただいたことに、地域の中で話し合っていただいて出していただいたことには感謝申し上げます。ただ内容については、非常に私どもにとって厳しい内容が含まれておりますけれども、いただいた内容につきましてはきょうすべて答えることはできないと思いますけど、やりとりを若干させていただき、答えるものは答えていきたいし今後、県・市・広島商工会議所で内容についてはしっかり検討させていただき、いつになるかはわかりませんができるだけ早く2月にでも回答できるものは文書でさせていただきたいと思っております。
手前が基町地区住民側、奥には行政・商議所関係者10人が座るが実質的な責任者は前列一番右の広島市・杉山部長
報道陣も会場に入れての、事前打ち合わせなし、ガチンコ会合で住民側からの質問事項に目を通す杉山部長
この時点ではまだ、両者お手柔らかに、という空気も残っていたが、しかし、このあと”先制攻撃”を受けた杉山部長は、やがて首をかしげたくなるような発言を繰り返すようになる。
住民側の質問はさらに続く。
・反対運動をする用意はしております、果たして反対運動をすれば行政の方はやめるんですか?どう考えているのか知りたい。
・地域の声とすれば旧広島市民球場跡地ではどうしてダメなのか?広域公園ではどうしてダメなのか?という声も根強いんです。
・連合自治会副会長の中村でございます。先ほどから聞いていて、だいたい、サッカー場を早くそこへ、というふうに聞こえたんですが、一番納得できてないのはなぜ、サンフレッチェ個人が、サッカー場について口出しするのか。本来は体育協会がやることになってますよね。その具体的な理由を教えて欲しい。それから、中央公園には堀川もあり相当の税金を使った構造物がある、税金を無駄にするんですか?市の、特に中区の人のことも考えて!中区、広島市の人のことも考えてますか?
・体協(基町学区体育協会会長)の本田です。騒々しくなったなというのが率直な思いです。スタジアム建設の経緯ですが市長さんが「もう1回優勝したら造りましょう」、で優勝しました、で(サッカースタジアム検討協議)会ができましたよね、その方たちが一生懸命一年半、話合ったものがまったくご破算になりましたよね。で2カ所に絞られ、サンフレッチェ広島のスタジアム案が出て、年間20試合、天然芝。造ったとしても貸し出しがほぼできない。そういうものを、なぜ大金かけて、場所が3回も4回も変わって、挙句の果てに急にバタバタしだしたというのが疑念です。
・そしたら、そこに今まで市民球場ありましたよね、そこが一番いいと思います。カープの球場がいろんな意見ありましたが向こう(貨物ヤード跡地)にできて栄えてますよね。こっちは今、動線が死んでますよね。で、旧広島市民球場跡地に造れない理由というのを、どなたもひと言もしゃべられてないですよね。中央公園は住民がそんなに文句言わんだろうというような気持ちから言われてきたんなら、やっぱりそれは違います。市や県は横の繋がりがほとんどない。その都度その都度出でこられてもあまり繋がりがないから、基町が何を求めているか、基町は30年間おんなじことを(行政に)言い続けていることがまったく変わらないのに、なぜこんな話が出てくるのか、という気持ちじゃないかと思います。
・最後に言いますと、ここまで揉めるんだったらもう今のところでやればいいかなと。これから20年先、大きな国際大会はまずない。ここまでたくさん考えて来た人たちの考えを踏みにじって、ぱっとこの2、3カ月で降ってわいた中央公園になぜ、市や県が寄ってこられるんかな?と。前からそういう方向性があれば真剣に考えたんじゃないかと思います。
・サンフレッチェ広島、一企業…どうも納得できん。杉山部長から前回、説明があった。昨年3月にサンフレッチェ広島が旧広島市民球場跡地に建てるよ、という話を出した。これは税金かけず個人がやりたいならやればいいですよ。それを広島商工会議所と県、市が話をして、いったん消えとった基町にまた返ってくる。こりゃ、おかしいんじゃないか?裏取引があったんじゃないかというのがうがった見方なんで、そこが知りたいと言っている。
※続きは次回記事で
ひろスポ!では、どこもよりも詳しく、またなるべく「生の声」を活かしながらサッカースタジアム問題を報じてきたつもりだが、基町地区の「声」の多くは完全にひろスポ!で報じた内容と重なっている。
失礼ながら、ご年配の役員のみなさんがスマホなどでひろスポ!を読んでいるようにはとても思えない。
しかも、ひろスポ!では一度も使っていないが、今後、使う予定だった「裏取り引き」という言葉も飛び出した。すでに今回の話し合いの前にこの場で記しておいたように「想定問答集」的な回答では基町地区の住民はおそらく納得しないだろう。
この状況は、広島みなと公園案の時の港湾関係者のリアクションと一緒。そこに確たる「理」がない限り、表向きの「想定問答」だけでは説得材料にならない。よって、杉山部長が「文書で回答」としたのは失敗で、「文書」を乱発するほどに火に油を注ぐことになる可能性大、そのたびにスタジアム着工の槌音は遠のいていく。
…ならば、もともと中央公園を再浮上させた広島商工会議所・深山会頭の責任は重い、ということになる。
なお、今回のおよそ1時間の話し合いで広島商工会議所メンバーの2人は挨拶以外、発言なし、だった。
広島新サッカースタジアム取材班