「安佐市民病院移転問題について、移転に”賛成すれば目に見える形で恩返しする”と言った」と市議会で名前を挙げられた松井市長
広島県警は6月8日、虚偽領収書を知人女性に書かせ当時の政務調査費を受けとったとされる詐欺の疑いで広島市議会の熊本憲三氏を書類送検した。市議会議長も務めようかという重要人物が詐欺の疑いを持たれている。しかも松井市長支持派のひとり、だ。
本人はかたくなに否定しているが、知人女性はどんな場所で領収書を書かせたか、など詳細に語っており、その証言の信ぴょう性は極めて高い。
この問題は早くからマスコミによってもマークされていた。しかし、捜査は一向に進まず、昨年3月に安佐北区の男性が県警に告発状を提出し受理されたことでやっと進展が見られた。
「安佐北区」で言えば市議会を二分した安佐市民病院移転問題が現在も進行中となっている。
「当初、県警は熊本氏の件をきっかけに、そこから安佐市民病院に関係する不透明なカネの動きに関する案件にも捜査を広げていこうとしていた形跡がある。無論、その先には松井市長もいた」
事情を知るメディア関係者のひとりはそう話す。
松井市長にまつわる「不透明なカネの動き」については、2014年12月12日の市議会本会議で藤田博之議員(市民改革ネットワーク)が…
2011年春の市長選で市長を支えていた市議のひとりが複数議員に現金を配り、さらには藤田議員の自宅を松井市長が訪ね、安佐市民病院移転問題について移転に「賛成すれば目に見える形で恩返しする」と言った…
というにわかに信じがたい発言をして、広く知られることとなった。
これらの発言が不適切であるとして藤田議員への「懲罰動議」を出した議員7人に対し、今度は藤田議員から「懲罰動議」が出され、こちらの方に「懲罰」が下った。要するに最初に松井市長を擁護しようと「懲罰動議」を出した議員らが返り討ちにあった格好だ。
そんな松井市長支持派のひとりが熊本氏なのである。
松井市長は、保守系市長を待望する自民、公明両党の推薦を受け2011年年4月に初当選した。市議会で誕生した21人の最大会派「自民党・保守クラブ」などの後押しを受けてきた。
ところが2014年2月に地元住民らの大方の思いに反する形で松井市長が表明した安佐市民病院の移転、建て替えをめぐって、市議会が真っ二つに割れた。その結果、松井市長と距離を置き始めた「自民党・保守クラブ」から市長支持派の8人が飛び出して別会派と合流、新会派「自民党」はそこで生まれた。
これらの経緯と今回の熊本氏の書類送検は”無関係ではない”、という意味でも松井市長には説明責任がある。
参考文献
産経WEST
www.sankei.com/west/news/150113/wst1501130020-n2.html
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松井市長の不透明なカネの動きを市議会で資した藤田議員への「懲罰」は否決、藤田議員に「懲罰動議」を提案した7議員は「返り討ち」で松井市長ますます窮地(2014年12月17日掲載)
hirospo.com/sanfrecce/11909.html
広島市議会では今回の書類送検を受け、一部会派からは徹底究明を求める声が上がっている。当然だろう。市民をなめるにもほどがある。
熊本氏の所属会派である自民党が県警からの告発を求められても渋るから、「安佐北区の男性」の登場となったわけで、自民党が告発していれば、もっと早くことは進んでいた。
市議会で、市議のひとりが複数議員に現金を配り、さらには藤田議員の自宅を松井市長が訪ね、安佐市民病院移転問題について移転に「賛成すれば目に見える形で恩返しする」と発言した、という話が出た時に、躍起になって臭いものにふた、のような対応に終始した市長支持派の自民党…。
今なお「同じ会派の仲間を信じるしかない」と話している、との報道もあるが、もし本気でそんなことを思っているなら、自浄作用ゼロ、即刻退場!…
…とはならないだろうが、その勢いはかなり弱まることになる。
広島新サッカースタジアム取材班