特報！カープキャンプ地、岩国キズナスタジアムを訪ねる、愛宕山地域開発事業編

2018年01月09日: 編集部

キズナスタジアム正面より撮影（トップ画像）

ひろスポ!では国内、並びに世界各地域に”現地取材班”などを派遣し、街の成り立ちや歴史にスポットを当てつつ、その地域に根差すスポーツシーンを追いかけている。

２０１７年１２月には、広島県北の三次市を訪れ「跡地」関連取材を行った。現地での取材報告は今後、連載していく予定だ。

今回、訪れたのは岩国市。広島東洋カープが１月５日、前年には広島県廿日市市の佐伯総合スポーツ公園でスタートさせた二軍春季キャンプを岩国市のキズナスタジアムで行うと発表した。期間はキャンプ第１クールの２月１日から３日までで、ファンも見学できる。

ファンにはもうすっかりお馴染みとなった山口県岩国市由宇町にある由宇練習場はこの時期、芝生の張り替えなどで使えなくなるという。ちなみに由宇練習場までタクシーでおよそ２０分のＪＲ由宇駅からだと山陽本線で…

由宇→岩国、およそ１６分、１５・５キロ、３２０円
岩国→宮島口、およそ２４分、１９・６キロ、３２０円
岩国→広島、およそ５３、４分前後、４１・４キロ、７６０円
※料金は片道

…となり、カープ二軍合宿所の大野寮から最寄の宮島口はちょうど広島－岩国間の中間地点にあることがわかる。

…なので取材班は宮島口で名物のあなご飯を食し、そこからＪＲは使わず車両で移動しながらキズナスタジアムを目指した。

改めて宮島口から岩国市内へと走ってみると、その途中で様々な発見があった。

ここではまず、キズナスタジアムのある愛宕山と”日米関係の今”について簡単は復習をしておく。

米軍ヘリ、米軍機トラブル報道が相次ぐ日本の今…ではあるが、米軍基地のある岩国も戦後の経済発展の中で大きく揺れ続けてきた。

ざっくり言えば…

→基地と言えば危険と隣り合わせ、そして騒音問題は岩国住民にとって大問題

→じゃ、滑走路を沖合に移そう

→山を削って海を埋め、削った平地も使って「山口県東部地域の賑わい」を創出しましょう、削るのは愛宕山（山口県）

→えー！山を削って大工事なんて大変よ、ほんとに大丈夫？（住民の声）

→いえいえ、きっとうまく…あれ、「豊かな自然環境を生かしたニュータウン」を作ろうと思ってたけど、地価が低迷して商売にならん、誰か助けて！

→わかりました、もともとは日米で在日米軍再編に合意しての流れでの話、沖合に滑走路を移転したことで米空母艦載機もやって来る。岩国市さんとはいろいろあったけど、我々の方で米軍住宅地を米側に提案し、山を削り取った「跡地」を引き取りましょう、安部政権とタイミング的に微妙ですが、安倍首相の故郷・山口県の課題には国費を投じ全力で対処します（この部分は小声…）（国）

→えー、米軍住宅なんて聞いてないよ！住民投票でも「空母艦載機受け入れ反対」の声が圧倒的だったでしょ！（岩国市民）

→住宅だけでなく、スポーツ複合施設や消防署、病院その他、日米双方にとってよりよい空間を創ります、…なのでやってみましょう！（国と山口県）

…という流れになった。で、今も愛宕山地区の工事は続く。

…ところで、ここでも結局は「跡地」問題、である。

だが、土地の用途に新たな方向づけがなされたのは２００９年年２月６日、国土交通省中国地方整備局において、それまでの事業認可の取消し告示があった日。それから８年半後の２０１７年７月にはキズナスタジアムは完成した。

そう、広島市がサッカースタジアム建設に向けての場所決めを延々と論じているうちに、”あっという間”に岩国には「愛宕スポーツコンプレックス」のメーン施設、新スタジアムが誕生したのである。

キズナスタジアムだけではない。国費を投入して創り出される愛宕山の新風景はやはり”異次元”ではある。

沖縄県那覇市の北部には、１９８７年に全面返還された米軍牧港住宅地区の跡地を造成した「新都心」があるが、巨費を投じて再開発されたこのエリアもまた従来の那覇の街なみとはまったく別の表情を見せている。

基地問題と街作り、賑わいの創出。イワクニもまたオキナワと同じような構図、である。

広島新サッカースタジアム取材班

関連資料
岩国市・愛宕山地域開発事業の概略
www.city.iwakuni.lg.jp/site/atago/5525.html

岩国市・愛宕スポーツコンプレックス
www.city.iwakuni.lg.jp/soshiki/19/24237.html