ジュビロ磐田戦を前に城福浩監督と話をする青山敏弘(トップ画像)
J1開幕3連勝で18チームの首位に立つサンフレッチェ広島は3月17日、エディオンスタジアム広島で前日練習を行った。
18日の対戦相手は開幕2連敗のあと1勝目をホームで勝ち取ったジュビロ磐田。キックの名手・中村俊輔を封じるため、コーナーキック、フリーキックの守り方のチェックに時間を割いた。
アップや練習場の移動も含めて1時間45分ほどのうち、11対11の流れの中での練習は10分ちょっと。セットプレーには攻守両方で25分以上の時間を使った。
城福浩監督は、就任会見の席上でも、そのあとも、守っても攻めてもセットプレーを向上させることが勝ち点に繋がるとも説いてきた。
ここまでセットプレーによる直接の得失点はないが、セットプレーからの得点は2度ある。さらに前節、鹿島アントラーズ戦ではGK林卓人が相手のPKを止めている。
ジュビロ磐田は第1節、川崎フロンターレ戦に0-3で完敗を喫し、第2節、名古屋グランパス戦も0-1と連続完封負け。第3節、FC東京戦で2-0勝ちしてひと息ついた。
一方のサンフレッチェ広島は北海道コンサドーレ札幌戦1-0、浦和レッズ戦2-1、鹿島アントラーズ戦1-0。チームの開幕3連勝は、「ステージ優勝」した1994年以来となった。(1994年は開幕6連勝でステージ優勝)
第4節、ジュビロ磐田戦のあと、第5節まで2週間弱の中断期間がある。開幕4連勝なら、この時間をさらに有効に使える。
サンフレッチェ広島はここまで3戦を消化して得点4、失点1。
失点1は、ほかでは2位の川崎フロンターレ、5位のベガルタ仙台、9位の鹿島アントラーズだけ。
サンフレッチェ広島は、ここまで相手に36本ものシュートを相手に”打たせて”おり、実はこの数字はJ1ワーストだ。
しかし、城福監督が「我々が(相手に)嫌なところに侵入させているか、させていないか?相手が完全に崩してきた状況か、フリーでシュートを打たせているか?ある意味やらせているとも言えるので…」と話すように、「シュート被成功率」では逆にJ1トップの数字を残している。
要するにジャブは打たせても、カウンターパンチや強烈なフック、右ストレートは食らわないように、防御を固めていることになる。
城福監督は開幕に至る過程でずっと「選手の競争」をテーマに掲げてきた。そしていざ蓋を開けてみると、負傷者は別としてリーグ戦、カップ戦でのメンバーをきっちり固定する策を取っている。
選手交代パターンもだいたい一緒。そんな中、リーグ戦ではダブルボランチの位置に、青山敏弘と稲垣祥が入り、リンクマンの役割を果たしている。
やはり就任時に、このチームに老け込むようなベテランはいないと話していた城福監督にとって、青山はキーマン。そして、この二人は「ムーンビングサッカー」の心臓部に当たる。
この日、全体練習のあとも、城福監督と意見交換する青山の姿があった。長らくチームの中心であり続ける青山にとっても、開幕3連勝は格別なものとなっている。
青山との一問一答
-開幕3連勝、カップ戦も2戦全勝、チーム全体の調子がいい時だからこそ、気をつけること、続けていきたい点は?
青山 ブレずにやるだけです。こういう時…結果が出ているのはやるべきことをやってるからだと思うのでそれを続けるだけだと思うし、じゃないと開幕から連勝なんかできないと思っている。それをみんな、思っていると…。それだけですかね。
-短期間で監督の思いなり、戦術が浸透した…
青山 うーん、間違いなく伝わってますね、はい!(監督は)個に合わせてくれている、と言うか、個を尊重したサッカーができていると思う。そこで無理やり、監督のやりたいサッカーというんじゃなくて、選手に合わせているサッカーがしっかりマッチしている証拠だと思います。そこはありがたいですね。
-その点について青山選手自身は?
青山 僕も100パーセント、その通りにできていると思います。
「100パーセント」と言い切る青山、そして稲垣の中盤からパスを供給されるFW陣。カップ戦も併せるとすでにティーラシン、工藤壮人、渡大生がゴールを決めており、残るはパトリック…。3試合連続フルタイム出場とフィジカルは文句なし、本人は…。
前線で鋭い動きを見せるパトリック(右端)、左端は城福監督
練習後のパトリックの話
「今までやってきたことを続ける。自分の特徴を生かして、スペースのあるところにいかに入っていけるか。(開幕から3試合続けてしっかり走れているのは)自分もすごく手ごたえを感じている。今まで練習で積み重ねてきたことがいい結果に繋がっていると思う。さっき、ちょうど話をしていたんだけど、まだホームではゴールを決めていない(昨季4ゴールはアウェー戦)。明日そういうチャンスがあればサポーターの前でゴールを決めて勝ち点3を取りたい」
練習を見に集まったサポーター
城福監督の持つボードの前に集まる選手たち、ここまで3戦はともに1点差勝ち、接戦になれば勝ち負けは紙一重だ…