第13回サッカースタジアム検討協議会が広島市中区の広島市民球場跡地に隣接する広島商工会議所で行われた。会議は午後1時から2時間以上続いたが、この間「自由に市民らに使用してもらうため」(広島市)開放している広島市民球場跡地を通過、または訪問した市民はわずかに5人だった。
会議では前回の協議会の決定事項についての確認、今後のスケジュール、候補地の絞り込み、スタジアムコンセプト、アンケート調査などについて、議事進行役の三浦浩之会長(広島修道大学人間環境学部教授)を中心に議論が進められた。
候補地の絞り込みに関しては前々から交通アクセスの問題や隣接するヘリポートの関係でサッカースタジアム建設候補地としては難しい、という考え方が協議会の中でも大勢を占めていた「西飛行場跡地」が外された。
その後、残る候補地3つについての現状報告やスタジアム・コンセプト案などについての意見交換が行われた。
残る候補地は以下の3カ所。
便宜上一カ所として検討候補地になった「旧広島市民球場跡地とその北側の中央公園」
宇品地区の海の玄関口「広島みなと公園」
前回の話し合いで複数の委員が様々な理由から「候補地の対象外」と意見したにもかかわらず、三浦会長らの判断で残された「広島広域公園」
ただ、その話し合いの最中に高木彬子委員(株式会社アンデルセン・パン生活文化研究所相談役)がこの協議会がはらむ矛盾と方向性の甘さをズバリ指摘する場面があった。高木委員の発言の要約は以下の通り。
「ここまできてこの内容をやるのですか?今までお互いいろいろ言ってきましたが、言いっ放しできた感じなのでしょうか?今になってオンリーワンかまたは無難に目の前のものを作るか、というようなレベルの話し合いをしなくてはいけないのでしょうか?もう少しやり方があったのではないでしょうか?でも、ここまでやったのでやるべきだとは思いますけど…」
昨年6月8日に第1回が開催されてすでに1年が経過したにもかかわらず今回の議題の“目玉”が「候補地絞り込み」や「スタジアム・コンセプト」であることに対する鋭いけん制球が投げられたかっこう。
なお冒頭にあった「アンケート調査」の「目的」には「サッカースタジアムに対する市民・県民の意識の基礎調査を行うとともに、サッカースタジアムの整備をする際に市民・県民が重要とする視点を把握することを目的に実施する」と記されている。
1年間の話し合いのあとに実施するアンケートの内容は、そのまま先の田中氏の“けん制球”の裏返し、ということになる。