画像はバルコムBMW野球場の高野連旗、国旗、朝日新聞旗、この下で英数学館が広陵を倒した
第104回全国高校野球選手権広島大会第9日(7月20日)
3回戦6試合が4球場で行われた。
バルコムBMW野球場
英数学館2-1広陵
祇園北6-3西条農
三次運動公園野球場
広島商9―5広島中等教育
エブリイ福山市民球場
呉港4-2庄原格致
鶴岡一人記念球場
崇徳6-1神辺旭
海田10-0尾道東(五回コールド)
広島中等教育が広島商相手に接戦…
昨夏準Vの祇園北が昨夏ベスト4の西条農に6対3で勝ってベスト16に進んだ。祇園北の四番河原稜(3年)は初回に先制2ランを放つなど4安打5打点。チームの安打数はともに8本だった。
広島商に敗れたとはいえ広島中等教育(2014年4月開校、前身は広島市立安佐北中学校・高等学校)はよく食い下がった。初回に6失点も、四回には5対6まで迫った。六回に3点を奪われて5対9のスコアになったが、それでも2年生の山田英温は170球をひとりで投げ切り、被安打7と堂々のピッチング。秋と春の県大会はともに地区大会止まり。「夏1勝」を目標に掲げ、初戦(広島商船戦)を16対3で突破した力を証明して見せたかっこう。
シード校の呉港は庄原格致に4対2で競り勝った。第1シードの崇徳は後半に加点して6対1で神辺旭を押し切った。
大竹との二回戦で延長サヨナラ勝ちした海田は尾道東を相手に10対0で五回コールド勝ち。15安打を放って1安打の尾道東を圧倒した。
打倒広陵!英数学館が大会史にその名を刻む
おそらく104回の大会史に残る1勝を挙げたのが英数学館だろう。優勝候補で圧倒的な戦力を誇る広陵を2対1で”倒した”。
しっかり守って、攻撃では少ないチャンスをモノにして、何より身長も体重も迫力もある相手に押されない精神力でグラウンドに立ち続けなければ、不可能なことをやってのけた。
初回に下宮大和(2年)の先頭打者ホームランで先制して二回にも下位打線で加点。2点を先にとったのは確かに好材料だが、広陵相手の場合、それがアドバンテージになるとは思えない…、それが大方の見方だったはずだ。
実際、広陵と2回戦で対戦した昨夏優勝校の広島新庄は三回に3点を先制したが追いつかれて延長十回にサヨナラ負けした。
だが、英数学館のエース末宗興歩(3年)のメンタルはトレーニングの成果もあってか非常にタフだった。
五回、189センチの広陵の主砲、真鍋慧(2年)に適時打されたのが唯一の失点。
真っ向勝負してくる末宗興歩に対して、知らず知らずのうちにどこか広陵打線は受け身になったのではないか?
九回、一死二、三塁のピンチを招いた英数学館、意地でも追いつきたい広陵…
打席にはプロ注目の三番内海優太(3年)でファウルフライ、あとワンアウトでゲームセット。続く真鍋慧の打球はセンターを守る笹村凌我(2年)がフェンスに飛びつきながらグラブに収めた。
マスメディアは英数学館の勝利を伝えるにあたり、2018年より同校外部コーチを務める北別府学さんとの様々なエピソードも紹介した。
カープのエースとして通算213勝を挙げた北別府さんは2020年1月に自身がレギュラーを務める番組で成人T細胞白血病であることを公表。以来、再び様々なステージで”再登板”する日のために闘病生活を送っている。
「九回ツーアウト満塁のようなピンチでも北別府は乗り越えてきたから…」そう関係者も話すとおり現役時代の北別府さんは「精密機械」と称されるコントロールを武器にチームに勝利をもたらせるピッチングを続けた。
この日、末宗興歩が残した数字…
9回完投135球、1イニング平均15球は現役時代の北別府さんを彷彿とさせるようでもあり、超高校級打線に対して向かっていくその姿勢こそ、北別府さんが大切しているマウンド上での振る舞いなのだろう。(広島スポーツ100年取材班&田辺一球)