画像は酷暑の中、給水する尾道ナイン
第106回全国高校野球選手権記念広島大会第12日(7月25日)
最高気温が36度前後となった尾道市の、ぶんちゃんしまなみ球場で準決勝2試合があり、広島商と広陵が27日にマツダスタジアムである決勝に進んだ。
1899年創部の広島商と、1911年創部の広陵の100年以上続くライバル同士…野球王国広島の礎を築き今に至る広島野球の原点だ。そう、ライバルの存在が広島をスポーツ王国へと導いた。
両校の決勝は2年連続で、広島商は5年ぶり24度目、広陵は2年連続25度目の甲子園まであと1勝…
広島商 110 002 200・6
尾 道 002 000 010・3
構図的には第1シードの尾道に広島商が挑む形だったが、試合の流れは終始、広島商サイドに傾いた。
広島商は、尾道のエースで四番の田原永遠から初回の盗塁を絡めて築いたチャンスに、内野ゴロの間に先制。二回にも下位打線で加点した。
追いかける尾道は三回、一死一、二塁で田原永遠との”黄金バッテリー”で甲子園を目指す三番・富島海翔主将が左越えに二塁打を放ち試合を振り出しに戻した。
五回を終えて2対2、そして給水タイム。この10分間の過ごし方が試合の行方を左右するとしたら…
六回、3イニング続けて3者凡退に終わっていた広島商の攻撃は二死二塁。打席には背番号16をつけた真田樹季(3年)。追い込まれながらも四球で出塁して二死一、二塁となり、このあと六番・山崎玄太(3年)と七番・小田健登(2年)に連続タイムリーが出た。若いカウントで連打された尾道バッテリーにとってこの一連の流れはどうだったのか?
この夏の広島商打線は一度つながりだすと止められなくなる。七回は一死無走者で一番に戻り4連打などで大きな2点を加えた。
尾道は逆に六回の無死一、二塁、七回の二死一、二塁であと1本が出ず、4点を追いかける八回に3安打を集めたが1点止まりだった。
尾道応援スタンド
呉 港 000 100 000・1
広 陵 200 000 020・4
両校の夏の対戦は、昨年の準決勝以来。その時のスコアは広陵10-呉港0だった。両者の差はどこまで詰まっただろうか?
プロと社会人野球での豊富な経験を指導方法に落とし込む呉港の片岡新之介監督。就任5年目の夏を迎えてチームは一段と洗練された。初回に2点を先制され四回に1点差に詰め寄ると、八回に2点を許すまで、どちらに転ぶかわからない展開になった。
呉港にとって悔やまれるのは六回の攻撃。一、二番が倒れて四回途中から7者連続三振。しかし三番・中迫昴己(2年)が四球で出塁すると、さらに死球と四球で満塁となり、打席には六番・池田玲陽(2年)。ここで広陵は高尾響(3年)にスイッチ…
最大のヤマ場で初球ファウルのあとの2球目を捉えた打球は快音を残してショート前でワンバンド。二塁走者の木曽悠伸(3年)は走りながらジャンプ!打球はレフトへ…同点の走者がホームを踏んだあと、審判団協議の結果、打球が走者に当たったとして守備妨害でアウトになった。
七回にも微妙な場面があった。一死二塁で九番・小野寺澄司(2年)の打球はショートゴロ。深い位置からのファースト送球は、プロ野球のような「リクエスト」でもない限り、難しいタイミングとなりジャッジはアウト。このあと一番・伊藤翔也(3年)は高尾響の投じた7球目、アウトローいっぱいいっぱいの真っすぐを見逃して三振に倒れた。
高尾響は3回1/3、37球を投げたが、ベストコンディションとは言い難く、また受ける只石貫太主将(3年)の打撃も上向いてこない。それでも呉港の5安打の倍以上の11安打で、守ってもノーエラーで最少失点で4季連続の甲子園へ王手をかけた。
なお、この日、酷暑のぶんちゃんしまなみ球場での第1試合、広島商-尾道は3時間ジャスト、午後1時47分からの呉港-広陵も2時間31分かかったが4校とも失策ゼロだった。