28年ぶりの大舞台に挑む福山大学野球部
第63回全日本大学野球選手権があす10日、代表26チームを集めて開幕する。期間は6日間、神宮球場と東京ドームの2会場。
広島県内からは、広島六大学勝者の広島経済大学(2年ぶり13度目出場)と、中国六大学勝者の福山大学(28年ぶり4度目)が全国の強豪に挑む。前回優勝の亜細亜大学など6校はシードされ2回戦から登場する。
ノーシードの広島経済大学は10日の東京ドーム第4試合で九州産業大学(福岡六大学)と当たる。
同じく福山大学は10日、神宮球場第3試合で道都大学(札幌六大学)と当たる。
二枚看板で連戦勝ち抜く力量備える福山大学
28年ぶり出場の福山大学。春のリーグ戦を3季ぶりに制して待望の“春の全国切符”を手にした。優勝の原動力となったのが4年生エース右腕の山本翔大郎(宇部商業)と3年生右腕の桑木拓磨(玉島商業)。計10試合に登板したのはこの二人だけで9勝をあげ、失点はリーグ最少の9だった。
蔵田修監督は今回のリーグ戦優勝について「年々、少しずつ振る量、捕る量を増やしてきて、今年はチャンスに強い選手が揃っている」と手ごたえを強調。全国大会に向けては「上背があり角度のあるストレートが持ち味の山本にはリーグ戦と変わらず、向かっていって欲しい」とエールを送る。
初戦を勝ち上がれば翌日には愛知学院大学(愛知リーグ)と苫小牧駒澤大学(初出場・北海道リーグ)の勝者とあたる。さらに勝ち上がれば準々決勝まで休みなしの3連戦。「だから特別なことを考えず、チームとしてもリーグ戦同様にやっていく」と蔵田監督は自然体を貫く構えだ。
全国大会を控えた山本投手の話
「リーグ戦(6試合に先発して5勝1敗、5完投)で、終盤になっても球速が落ちなかったことに手ごたえを感じています。真っ直ぐとカットボール、フォークを低目に集めることがポイント。神宮のマウンドでも冷静に、ただしここぞという場面ではギアをあげていきたいと思います」
同じく桑木投手の話
「3年になり責任感が出てきたことがリーグ戦での結果に繋がったと思います。左バッターの内角への真っ直ぐとカットボール、この投球スタイルは神宮でもしっかり続けたいですね。あとはスライダー、チェンジアップ、ツーシーム…。強気の攻めが自分の持ち味だと思うので神宮でも変わらず自分らしいピッチングを目指します」
もう一度、全国の舞台で自分たちの野球を
福山大学には悔しい思い出がある。2011年、秋の明治神宮大会で初戦の相手、明治大学の前に0対19の大敗を喫した。今のメンバー25人にはその時のメンバーが7人残る。
一番を打ち、リーグ戦でも先頭になってチームを引っ張った木村真登主将(宇部商業)もそのひとり。個人的にも八番を打ち2三振と“不発”に終わり全国の壁をその肌で感じたという。
木村主将の話
「僕らは“団結~心をひとつに~”のキャッチフレーズのもと、リーグ戦を制しましたが全国の舞台でもそのスタイル、その気持ちは同じです。確かに前回の全国大会では雰囲気にのまれたけど、今回はもうそんな心配もありません。僕自身はボールの見極めをしっかりして、どんどん塁に出て攻撃のリズムを作りたいですね」
蔵田監督も、両先発右腕も木村主将も揃って「リーグ戦と変わらぬ姿勢」を、全国を勝ち抜くためのポイントにあげた。
28年ぶりの大舞台でも自然体で…。前回、秋の神宮大会よりひと回りもふた回りもたくましくなったその姿で、まずは初戦突破を目指す。