画像はサヨナラ3ランの菊池を出迎えるナインらを映し出す映像装置
8月14日 〇4x-3DeNA(マツダスタジアム)
DeNA 100 200 000 ・3
広島 010 000 003x・4
広島通算102試合55勝42敗5分け(首位キープ、2位巨人に2差))
18時1分開始・2時間59分、31,495人
相手先発 ジャクソン6回4安打1失点
広島本塁打 菊池7号3ラン
DeNA本塁打 -
広島登録抹消 △田村▼松山▼野村
広島スタメン
一番センター秋山
二番ショート矢野
三番ライト野間
四番サード小園
五番キャッチャー坂倉
六番レフト中村奨
七番セカンド菊池
八番ファースト堂林
九番ピッチャー床田5回88球8安打3失点(自責3)
黒原
森浦
〇塹江(39試合2勝)
お盆休みのマツダスタジアムは、17年目となるピースナイターとも重なり3夜連続のチケット完売、超満員…1対3のまま試合は動かなくなり、向かえた九回一死一、二塁で打席には菊池。初球ボールのあと3連続ファウル、そして5球目の真っすぐを前で捌くと大きな放物線を描いた打球はそのままレフトプレミアムテラスに飛び込んだ。
7号サヨナラ3ランに歓喜するカープファン、そして一斉に飛び出してきたカープナインから手洗く祝福された菊池は最後に新井監督とガッチリ抱き合った。
「自身2度目のサヨナラホームランなんですけど、きょうこういう特別な日に、こういう形で終われて嬉しいです」
「…いいところでみんながつないでくれました。僕の思いだけでなく、みなさんの思いが乗ったんじゃないかと思います」
お立ち台に上がったヒーローの、そのコメントはいつになくシリアスなものだった。その前の七回の打席では通算300二塁打(プロ野球78人目)をマークした。プロ13年目でそのうち5シーズンと半分は「新井さん」とともに戦ってきた。だから「みなさん」という言い回しで新井監督にもその思いを伝えた。
矢野とのコンビで結成された赤い忍者部隊のディフェンスは鉄壁。一方で打率は2割2分そこらで、規程打席到達者の中ではずっと最下位で推移している。
それでも休み休みではあるがスタメンに名を連ねるからにはやるしかない。
2週間前、7月31日のDeNA戦に2対1で勝利した時もお立ち台に上がった菊池の第一声は「まずはここに立つのがお久しぶりです」だった。横にいた矢野は「俺が夏男だぁ!」と叫んだ。
やはりあの日、一緒にヒーローインタビューを受けた床田は5回8安打3失点で試合を作れないまま、五ウラのピースナイターセレモニー前に降板した。開幕から19戦目にして初のクオリティースタート失敗だった。
特別な日の戦いを前に、幼少期から平和の大切さと向き合ってきた新井監督は「とにかく勝ちに向かってひたむきにやっていく」と話していた。だから劣勢の展開でも常に全員で反撃の機会をうかがった。
九回にはDeNA5人目の森原の初球を小園が叩いて二塁打にした。続く坂倉がストレートの四球で歩くと流れはイッキに傾き始めた。
首脳陣も3試合続けてスタメンに起用した「六番・中村奨」に「打て」と伝えた。結果は左飛だったが、ネクストバッターズサークルの菊池のハートに火が点いたことは想像に難くない。
この日、朝10時過ぎ、日本列島を揺るがすニュースが駆け巡った。岸田文雄首相が9月の自民党総裁選挙に立候補しないことを表明したのである。3年に渡る在任期間中にはG7広島サミットも開催され被爆地の声も各国首脳らに届いたはずだが、世界情勢はますます混迷の度を深めている。
そしてあす8月15日は「終戦の日」。
3万1495人の来場者に配られたピースナイターポスターには「原爆ドームの高さ25mと同じ位置にあたる席に赤いピースラインを表現し、歴史の継承と平和への願いを球場から発信します」と記されている。