画像は小園海斗、後方に矢野雅哉
8月22日 〇2ー1巨人(延長10回)(東京ドーム)
広島 000 000 001 1・2
巨人 000 001 000 0・3
広島通算107試合58勝44敗5分け(首位キープで2位巨人と2差)
18時2分開始・3時間21分、41,634人
相手先発 戸郷8回1/3、5安打1失点
広島本塁打 -
巨人本塁打 -
広島登録抹消 △アドゥワ
広島スタメン
一番センター野間
二番ショート矢野
三番サード小園
四番ライト末包
五番キャッチャー坂倉
六番ファースト堂林
七番レフト中村奨
八番セカンド菊池
九番ピッチャーアドゥワ5回2/3、88球10安打1失点(自責1)
塹江
森浦
黒原
〇島内(47試合8勝6敗)
S栗林(49試合4敗33S)
クライマックス・シリーズを見ているかのような1プレーが1球が重い展開になった。痺れるようなせめぎ合い、そして1対1同点で迎えた延長十回、巨人三番手のケラーから八番菊池が四球を選び、コンディション重視でベンチにいた秋山が代打で二塁打を放ち一死二、三塁。
一番には九回、同点のホームを踏んだ大盛。ベンチはここで代打上本のカードを切ったが浅い中飛でアウトカウントが増えた。二番矢野も初球の154キロを空振りすると、155キロのボール球を挟み155キロをまた空振りした。
受ける大城卓は中腰になりながら高目いっぱいのラインでミットを上げ下げしていた。4球目154キロファウル、5球目155キロファウル。ベンチで見守る新井監督も思わず身を乗り出すような場面になった。そしてボールになる見せ球カーブのあとの7球目で154キロを一握り短く持った矢野のバットが見事、レフト前に弾き返したのである。
巨人ベンチにとっては受け入れがたい一打になった。八回まで二塁も踏ませぬ圧倒的な投球で、3試合連続完封勝利まであとアウト2つだった戸郷は2ストライクナッシングと追い込んだ小園に同点打を許した。自軍の打線はまったく逆で、初回から四回までアドゥワを攻め続けたにもかかわらず得点圏に走者を置いてあと1本が出なかった。
2対1、逆転勝利がただの1勝ではないことを、試合後の新井監督は具体的に語った。
新井監督
(小園は)難しい球だったと思うんですけど、技術というより気持ちで食らいついていった、そんな素晴らしい一打だったと思います。(矢野も)彼の成長を感じますね。追い込まれるまでは高目の真っすぐに振り遅れて空振りしてたんですけど、追い込まれてから対応の仕方を変えて、打席の中で修正できた。若い選手がこうして力をつけてきているなというふうに感じます。
アドゥワは前回もそうだったんですが、きょうも粘り強くいいピッチングだったと思います。彼の一番いいところは動じない、メンタル。
(首位攻防3連戦勝ち越しは)すごく大きいと思いますね。勝負はまだ先にあると思ってるんですけど、こうしてビジターで劣勢の展開を逆転勝ちできたというのは、間違いなくチームに力がついてきている証拠だと思います。
最後まで諦めない姿勢をどの選手も見せてくれました。自分たちは戦いながら強くならないといけないといつも言ってるんですが、強くなっていると実感した試合でした。
阿部監督の談話も先を見据えていた。
「うちの勝ちパターンでいった訳だから仕方ないね。(前半の拙攻は)タラレバを言っても仕方ないので…。ただ(アドゥワから六回に先制適時打率した)浅野の1本のみなので…」
「こっちも何とかと思って戦っているし、相手も必死。こういう戦いがずっと続いていく。マツダでやり返すチャンスはある」
放送席で監督談話を聴いていたプロ野球解説の山本浩二さんに、実況アナがリーグ優勝に向け広島が加速しそうな気配…と振った。新井監督のことも最もよく知る、そして優勝の何たるかを知るミスター赤ヘルの締めコメは次のようなものだった。
「こういう勝ち方があるんだ、というぐらいのね。監督も言ってましたけどチームが力をつけた証拠ですね。選手が新井監督の思っていることを感じ取って、何をすべきか、それを勉強してきてますね。楽しみなんですが(本当の優勝争いは)これからでしょう。気を抜いちゃいかんとみんな思ってるでしょう…」