サンフレッチェ広島は3月15日、ACL2(AFCチャンピオンズリーグ2)における前代未聞の敗退劇について、サポーター、パートナー企業などステークスホルダー、広島県民ほか、クラブを応援するすべての人たちに向けて、久保雅義代表取締役社長名でお詫びの声明を発表した。
内容は以下のとおり。
2025年3月5日(水)に行われた、AFCチャンピオンズリーグ2 2024/25 ノックアウトステージ 準々決勝第1戦ライオン・シティ・セーラーズ戦においてアジアサッカー連盟(AFC)より懲罰処分を受けた事案に関しまして、サポーター・パートナー企業をはじめとするすべての関係者の皆様に多大なご心配、ご迷惑をおかけしたことを深くお詫び申し上げます。
現在、本事案に関する事実確認及び原因究明を行っております。
つきましては、原因究明が完了し次第速やかに経緯説明並びに再発防止策についてご報告いたします。
本事案がAFCチャンピオンズリーグ2 2024/25敗退に多大な影響を及ぼした事実を厳粛に受け止め、クラブとして信頼回復に努めてまいります。
株式会社サンフレッチェ広島
代表取締役社長 久保 雅義
……
今季のサンフレッチェ広島はビッグクラブへと飛躍するはずだった…
2月8日、シーズン開幕を告げるFUJIFILM SUPER CUP 2025を制したサンフレッチェ広島が目指すタイトルは…
明治安田J1リーグ
JリーグYBCルヴァンカップ
天皇杯 JFA 全日本サッカー選手権大会
そして…
AFCチャンピオンズリーグ2 2024/25
…のはずだった。
サンフレッチェ広島はアジア勢を相手にピッチ上では一度も負けることなくホーム&アウェー方式の準々決勝まで進み、3月5日のライオン・シティ・セーラーズ(シンガポール)をホームゲームに迎えて6-1で大勝。しかしその3日後、AFC(アジアサッカー連盟)から、第1戦に出場したFWヴァレール・ジェルマンの起用について規則違反とし、0-3敗戦の没収試合となることが発表された。
ヴァレール・ジェルマンは2月28日にエディオンピースウイング広島で新加入会見を開いたばかり。その時点で前所属のマッカーサーFC(オーストラリア)時代に科された出場停止処分を消化していなかったことは周知の事実となっており、その対応には最高度の繊細さが要求されていたのだが…
あり得ない展開…の現実を受け入れるしかなかったサンフレッチェの選手らとミヒャエル スキッベ監督は、2戦合計での逆転勝利を目指して3月12日、敵地に乗り込んだ。結果は1-1の引き分けに終わり、2戦合計1-4のスコアでの準々決勝敗退が決まった。
本当なら新設されたACL2での初代王者に手が届くところまで上り詰めていたはず…
それを想うと選手たちの気持ちやサポーターの無念をどこにどうぶつけていいのか?その答えは見つかりそうにない…
サッカー王国に求められる崇高な精神…
オリジナル10として産声を上げたサンフレッチェ広島。その創世期にはユニホーム忘れの遠征先でガムテープで貼った背番号で公式戦ピッチに立ったり、あるいは川淵三郎チェアマン(当時)から渡されたチェアマン杯をそのあとすぐに関係者の転倒によってバラバラにするなど、今となってはにわかに信じがたいような”珍プレー”を重ねてきた。
しかし、30年を越えるクラブ史を有する令和の時代である。特に今シーズンに関していえばおよそ1年前に供用開始となったエディオンピースウイング広島の魅力と機能とコンセプトを追い風に、Jリーグビッグクラブとしての歩みをさらに確かなものする極めて大切なシーズン…のはずだった。
今回の謝罪の声明文の中に…
「原因究明」「経緯説明並びに再発防止策」の文字があるが、しかしそれだけでは済まないかもしれない。
Jリーグ、日本サッカー協会への影響も考えれば「責任の所在」や「責任の取り方」もまた具体的に示される必要があるだろう。
今回のトラブルにはいくつもの複雑な案件が輻輳する、という特殊な環境が生じていた。それでも最終的にはクラブ側が責任をもって選手の出場資格を確認しなければいけない。それが大原則だ。
サッカー王国と言われた広島は、スポーツ活動を通じて豊かな社会、活力ある暮らしの実現を目指す。廃墟の街からの復興へ、スポーツ力を活用したことは広く知られている。第6回の国民体育大会は1951年1月から10月まで破壊の跡や瓦礫の残る広島市を主会場にして開催されたし、アジアの国や地域との交流、発展を願い1994年10月には広島アジア大会も開催された。
広島スポーツを100年スパンで考えた場合、ACL2にも際めて大きな役割や意義が存在する。
広島をホームとするスポーツクラブ、とりわけプロリーグ所属の団体には、崇高な使命感が求められる。(ひろスポ!広島スポーツ100年取材班&田辺一球)