あす9日、エディオンスタジアム広島でサンフレッチェ広島と対戦するサガン鳥栖の尹晶煥監督の契約解除がクラブ側から発表された。
あすのJ1第19節の試合は吉田恵コーチが指揮を執る模様。来季の契約に関して話がまとまらず、Jリーグ上位争いの真っ最中に異例の「決裂」に達した。鳥栖は人口7万人強の鳥栖市をホームタウンとしており、Jの全51クラブ中でも“最も小さな本拠地での戦い”を強いられるクラブのひとつとなっている。
にもかかわらず前節では得失点差で浦和レッズを抜きJ1首位へ浮上。関係者の間からは「レッズより戦いが安定している」、あるいは「全員で走り、守る、鳥栖のサッカーが本来広島のやるべきサッカーでは?」などの声があがっている。
こうした背景を踏まえると、尹晶煥監督の高い要求水準に対してクラブ側が応えきれなかったという図式も見えてくる。
尹晶煥監督は2007年に鳥栖で現役を引退しコーチなどを経て2011年に鳥栖監督に就任。J2だったチームを就任1年目でJ1に昇格させ翌12年にはJ1で5位とチーム力を引き上げた。その手腕を見込んで既に韓国代表コーチや韓国の複数クラブから打診が届いることが今回の「決裂」にも繋がった。
クラブ側にとっても監督問題はチームの今後を考えた場合、課題山積だが背に腹は替えられない事情もある。
7月22日、Jリーグは2013年度の全クラブのクラブ経営情報を開示した。2012年からJリーグに「クラブライセンス制度」が導入され、 2012年度から2014年度まで3期連続で赤字となるか、2014年度末の時点で債務超過となると、審査でライセンス交付が取り消されることになった。
2013年度の経常利益の単年度赤字は12クラブでJ1の赤字クラブは、鳥栖、名古屋グランパス、清水エスパルス、湘南ベルマーレ、ベガルタ仙台の5クラブ。 なかでも鳥栖は2億9900万円の最多の赤字額を報告する事態となっている。
また債務超過はJ1が3クラブ、J2が8クラブとなっており、J1は鳥栖、大分トリニータの九州勢と横浜F・マリノスとなっている。
鳥栖の“走力サッカー”が今後どうなるかは別として、仮に鳥栖の“快走”にストップがかかるとしたら上位争いを続けているチームにとっては再加速へ向けてのモチベーションにはなる。現在、勝ち点37で鳥栖と浦和が並び、その後ろに勝ち点33の川崎フロンターレ、さらに同30の鹿島アントラーズ、同28のFC東京、同27で並走するガンバ大阪、広島、柏レイソルの「賞金圏内」までが逆転優勝可能圏内。
あすの広島対鳥栖戦はJ1後半戦の流れを占う上でも、Jリーグの経営問題を考えていく上でも注目の一戦となる。