日本代表アギーレ監督が初の視察に訪れた埼玉スタジアムで宿敵、浦和レッズの前にサンフレッチェ広島は0-1で敗れ去った。
勝てていれば見えた光も、完封負けという現実の前にまた大きく揺らぎ始めた。最後の希望を乗せ、後半ロスタイムに放った柴崎の一撃も西川の両腕の中にすっぽりと収まった。
前半22分、柏木のFKがポストで跳ね返り阿部に先制ゴールを蹴り込まれた。警戒していてやられたことは痛恨、だった。
槙野が、森脇が紫の疾風を抑えにかかってくる。かつてダイヤモンドの原石と言われた面々が大きく成長して、代表入りをアピールするため躍動する。
それでも1点奪えばすべてが変わる。後半14分の皆川投入から、野津田、そしてミキッチと森保監督は次々にカードを切り、攻撃パターンにアクセントを加えたが、とうとう相手のゴールをこじ開けることはできなかった。
前節、鳥栖戦は1-0完封勝ち。この日との2試合で見えてきたもの、まだ見えてこないもの。そして2試合続けてベンチにさえ姿のなかった佐藤寿人の今シーズン…。
およそ4万人で埋まったスタンドをタイムアップとともに見上げたサンフレイレブンの心の中にまだ燃え盛るもの。J1・2連覇、王者の誇り。
仮にひとつ失えば、必ず次の風景が見えてくる。その足を止めることは、ひと時たりともない世界。残された者の屈辱は、誰もがみな、紫の魂の中に刻み込んでいる。
もうすぐ夏が終わり、そしてきっと実りの秋に、
ともに闘おう、広島の誇りを胸に