広島サッカー界の重鎮に囲まれる森保氏(トップ画像左から二人目)
W杯ロシア大会も大詰めとなった7月11日午後、今大会ベスト16のサムライブルー、日本代表次期監督に森保一氏が就任することが決定的となった。
この日の”地元”中国新聞一面には「次期監督 森保氏最有力」の、締め切り前ギリギリに突っ込んだ見出しが掲載された。共同通信からの配信記事だ。
この動きと並行してスポーツ各もが取材合戦を展開…
そんな中、7月4日付紙面で「日本8強届かず」の見出しと一緒に「次期監督決定的、クリンスマン氏」の大見出しを打ったスポニチが白旗を挙げた。
日本サッカー協会 田嶋幸三会長の、クリンスマン氏に関する「99パーセントない。決してふさわしくない人ではないし、優秀な人。人柄も素晴らしいが、全くなかった人だから寝耳に水という感じ」というコメントを記事の中で紹介して、「クリンスマン氏」説に自らピリオドを打った形になった。
こうなると、今回のW杯で”結果を出した”西野朗監督の作戦参謀としてフル回転した森保氏が次期監督候補の最右翼になるのは当然の流れ。
Jリーグのスタートで世界を本気で目指すようになった日本は、そこからドーハの悲劇のオフト監督(オランダ)、トルシエ監督(フランス)、ジーコ監督(ブラジル)、ハリルホジッチ監督(ボスニア・ヘルツェゴビナ)ら多国籍監督主義政策?を取り、その間、1998年フランス大会と2010年アフリカ大会では岡田武史監督が指揮を執るという形をとってきた。
こうした過去を検証しつつW杯ロシア大会以前から「日本人の特性を活かすなら、もう今の時代は世界を経験した日本人監督で」の声が関係者の間でも広まりつつあった中で、西野ジャパンの躍進はそれを証明した格好になった。よって、「クリスマン氏」説には首をかしげる関係者もいたほどだ。
とろころで、未曽有の大雨災害に見舞われている広島県、中国地方、さらに全国各地ではその被害状況がいまだに把握しきれていない状況となっている。そんな中、前日(7月10日)には広島県安芸郡府中町で土石流災害が発生した。その被災現場の近くにはマツダの寮もあり、かつてサンフレッチェ広島の選手たちも住んでいた。
森保氏もその中のひとり。森保氏の広島でのスタートはマツダ関連会社からで、そのマツダも今回、長期操業停止に追い込まれている。
そんな現状を目の当たりした森保氏は「たいへん心が痛みます」と言葉を絞り出し、このところの代表関連報道については「情報に惑わされることなく、自分らしく、広島のために頑張ります」と話している。
なお、ひろスポ!では、W杯ロシア大会での西野ジャパンを…
ロストフ・ナ・ドヌーからの風、東京経由でカタールへ…ベルギー戦後半アディショナルタイム、西野監督たちの「小さな奇跡」の終わりに(2018年7月3日掲載)
hirospo.com/pickup/48243.html
…の記事の中で、次のように締め括っている。
ドーハ、マイアミ、サランスクに吹く風と西野監督、森保コーチと…
「小さな奇跡を起こしたい」
大きな決意を胸に森保コーチらとロシアの地に乗り込んだ西野朗監督、日本代表23人は世界の頂を見上げるところまでその歩みを進め「我々にも勝機がピッチのどこかに落ちている」(同監督)という思いでベルギー戦に臨むことができた。
ラストシーンは誰も予想できなかったという「スーパーカウンター」(同監督)。その結果として残された青き炎の火種を、大切に日本へと持ち帰り、ロストフ・ナ・ドヌーからの風にも吹かれながら、今度はどんな形でまた燃え上がらせるのか?
2020東京、その2年後には、またカタール。
日本サッカーの未来を懸けた、終わりなき戦いは、大きなものを背負うその手によって、また振り出しの地、砂漠の街へと戻っていく。
広島スポーツ100年取材班