選手宣誓する安芸南高校の田代主将(トップ画像)
バックネット裏には、まばらな観客の姿。スコアボードには半旗。そして黙とう。日本で一番遅い開会式に、安芸南・田代統惟(たしろ・とうい)主将の選手宣誓の声が響いた。
きょう、ここに大会が開催されること、野球ができることに感謝します。
7月6日、記録的な豪雨が西日本を襲いました。多くの命が失われ、今も被災されている方々もいます。亡くなられた方々に哀悼の意を表します。
私の地元は矢野です。7日の朝、私が見た景色。矢野が矢野でなくなったように感じました。
とにかく行動せずにはいられませんでした。その中でどうにもならない無力感も感じました。今なお困難な状況にある仲間もいると思います。
しかし、私たちひとりひとりにとって、選手権大会は一回きりの、かけがえのないものです。
どんな状況も克服し、それを乗り越えて挑戦します。
…それが、野球だから。
その積み重ねが100回目を迎えました。今回は私たちの成長、私たちの戦いを見てもらう大会です。
被災された方々に勇気と力を与えられるように全力でプレーします。家族、指導者、チームメイト、私たちを支えてくれたすべての人々への感謝を胸にがむしゃらにプレーすることを誓います。
また、選手宣誓に先立ち広島県高等学校野球連盟と朝日新聞社広島総局による「第100回全国高校野球選手権記念広島大会 メッセージ」も読み上げられた。
メッセージは以下のとおり。
ここ野球王国、広島もようやく第100回全国高校野球選手権記念広島大会の開幕を迎えることができました。
100回という歴史を重ねてきたこの記念すべき夏に、私たちは大きな試練に直面しています。
平成最大の豪雨被害で多くの命が奪われ、平穏な生活が失われました。
犠牲になられた方を悼みながら、被災された方に思いを寄せながら、みなさんは栄冠を目指して白球を追うことになります。
選手のみなさんの、夢を追い求める真摯でさわやかなプレーが、被災地の復興に向け、大きな励みになると確信しています。
大正4年の第1回全国中等学校優勝野球大会の始球式には、広島中の一番打者が打席に立ち、第1号の本塁打を放ったのも広島中の主将でした。
あの時代から、不幸な戦争の中断を挟み、100回を数えるまでになった夏の高校野球の歴史は、数々の名勝負を生んだ広島を抜きには語れません。
そうした歴史に、私たちの、今の一瞬一瞬が繋がっています。
困難な時代も苦しい時も、人々は高校野球の灯を絶やさないよう懸命に努力してきました。その伝統をこれからの100年に繋ぐため、この夏、多くの人に支えられて野球ができることへの感謝を忘れず、それぞれの全力を出し切ってください。
本大会を様々な形で支えてくださるみなさまをはじめ、スタンドで声援してくださるみなさま、多くの高校野球ファンのみなさまに心より感謝申し上げメッセージといたします。