広島の投手陣の屋台骨を長らく支えてきた横山竜士がDeNA戦の前にマツダスタジアムで突然、引退会見を行った。
「ケガばかりでまわりに迷惑をかけたけど、ケガの前よりもっとよいパフォーマンスができるよう気持ちを持てたのが長くできた秘訣かな」と話し「「誇れるものは何もないけど、やり残したこともないです」と言い切った。
この日、前田健太と投げ合ったDeNAの三浦がプロ23年目の四十歳。横山はプロ20年目の28歳。まだ、現役としての選択肢もあっただろうが、若手が次々に台頭してくるチーム事情なども考慮したのかもしれない。
1999年、達川カープ元年にはあの黒田博樹とともにローテーション投手として活躍した横山は2000年以降、中継ぎに回り、第2次山本政権、マーティー・ブラウン監督、そして野村監督の下でその役割をまっとうしてきた。
ちなみに入団は1994年で一軍デビューは1997年、いずれも三村監督の時代である。
2009年には中継ぎで69試合に登板。2011年には腰の手術をしたためわずか2試合に登板したのみだったが、昨年は37試合に投げて防御率3・23。チーム初のCS出場に貢献してCSでもいい働きをした。
ただ、昨シーズン7月中旬におよそ3カ月ぶりに一軍に戻ってきた時には「悔いのないよう投げるだけ」とすでに引退を覚悟したかのような雰囲気で、それでも勝負どころの8月13試合で8ホールド、チームが勝負をかけた9月も9試合で1勝3ホールド。けっきょく無敗のままチームのAクラス入り決定の日を迎えることになった。
2009年の契約更改。3年契約を提示されながらも金額面での開きに納得できず、最後の最後で赤いユニホーム一筋を決断した、あの日の会見は今も印象深いものがある。
昨年は前田智徳、今年は横山。コイ焦がれた長い“春”の終わりはいつも秋空が広島上空に広がっている。