黒田がマツダスタジアムのファンに呼びかけたのは…
前夜の両軍合わせて33安打の乱れ打ちから一転、投手戦となった4月23日のマツダスタジアム、広島対阪神戦。3点リードの九回、中崎がゴメスに2ランを浴びたが1点差で逃げ切った広島は一日で阪神を抜き返し、ひとつ順位を上げた。
7回無失点で3勝目を挙げ、日米通算200勝まで残り4勝とした黒田は、お立ち台で自分のことにはほとんど触れず、一方で最後にこう呼びかけた。
「あしたはぜひチームも勝って、そして新井の2000本ですかね。ここでぜひ達成して欲しいんでね、またみなさんの声援で後押しして欲しいと思います」
その新井、守備では1点リードの七回、一塁線を抜けようかという打球をさばき黒田を盛り立てた。打っては四回に右前打。2000本までいよいよあと3本とした。そのあと六回と八回の打席はともに四球…。本拠地での記録達成は黒田にもお願いされたファンの「後押し」を全面的に受けることになる。
ただ、新井自身はかねてから言い続けているように「チームの勝利」が最優先。試合後、緒方監督は「黒田が前の回に球数を投げていた七回、(新井は)打ちたい気持ちの中でしっかりボールを選んでくれた。ほんとにあした、このマツダで達成して欲しいなと、それを見守っています」とその姿勢を褒めあげ、最後に”親心”を見せていた。