田中聡(たなか・さとし)専門学校・美術予備校で講師をするかたわら、広島を中心にイラストレーターとしても活動中。カープやサンフレッチェのイラストを中心に、日々のあれこれをブログに掲載しています。tnksts.jugem.jp
マツダオールスターゲーム2014第1戦はファン投票選出のカープナインが打って、投げての大活躍で、全セ7対0圧勝の原動力になりました。一方、西武ドームのスタンドで一番目立ったのもやはり赤色でした。
「赤ヘル」、そして「赤ヘル軍団」や「赤ヘル旋風」
こうした言葉を一気に世に知らしめたのが1975年、広島が悲願のリーグ初優勝を遂げたシーズンのオールスター戦でした。
甲子園で開催された第1戦で、当時の広島の不動のクリーンアップだった山本浩二、衣笠祥雄の両スラッガーがなんと、2打席連続の計4ホーマーを日本中の目が集まる中でかっ飛ばしたのです。
この年の阪急との日本シリーズではNHKのベンチレポーターを務めた島村俊治さんはその年の球宴について次のように語っていらっしゃいます。
「それまでオールスターゲームの主役と言えば巨人、阪神であり、王、長嶋でした。球界を代表するチームもセ・リーグでいえば巨人、阪神。パ・リーグで言えば黄金期を迎えていた阪急、そして優勝は出来なかったけど西本幸雄監督がチームを率いて、エース鈴木啓示がいた近鉄でした。こういう中にあって山本浩二、衣笠の二人が大舞台で2打席連続ホームランの共演をやってのけたのです。市民球団であり、赤ヘルと呼ばれ、球界の中で苦しんでいたカープが脚光を浴びるキッカケとなったのがこのオールスターです。今までセ・リーグの中でも脇役的な存在だったのに、オールスターに出場できなかった選手も含めてそれぞれ自信をつけていったのです」
あれから39年が経過して、その輝きを今に伝える「赤ヘル」と赤い応援風景。島村さんの言葉を借りれば、この夜、その大舞台に立った8人のカープナインの雄姿は、チームメートのみなさんにとっても、全国のカープファンにとっても忘れられない夏の思い出に、そして今後に向けての大きな自信になったことでしょう。