11対11の練習で選手の動きをチェックするヨンソン監督(白いビブスの後ろ姿)
サンフレッチェ広島は12月1日、翌日(2日)のJ1最終節、柏レイソル戦(日立柏サッカー場)に備えエディオンスタジアム広島で移動前練習を行った。
かなり冷え込む中、ピッチには選手の明るい声が響き、前節、サポーターに別れの挨拶をしたミキッチも元気な姿を見せた。
ボールゲームで声を上げるミキッチ
また、前日(11月30日)に森保ジャパン入りが日本サッカー協会から発表された松本と大迫も短時間の練習の中でしっかりと動いた。
11対11で後半からサブ組に入った松本
林や中林らとゴールキーパー練習に参加した大迫
ところで、気になる来季へ向けての体制については最終戦後、ということになる。
前節、J1残留を決めたヨンソン監督は”その手の質問”に関して「次の試合にフォーカスする。シーズンが終わってからクラブと話をする」と話し、この日の練習後にはそういう話題は出なかった。
サンフレッチェ広島がJ1残留を決めた翌日の中国新聞コラム内には、この日、スタジアムのサポーターから起こったブーイング、補強策の失敗、中心選手の年齢が高くなり一方で若手の台頭が少ないクラブの実情などをひっくるめて「クラブへの不満や不信感だろう」との文言が見てとれた。
リーグ戦折り返しの時点で降格圏内に甘んじ、その時点での「残留確率」は10パーセント。それを見事に跳ね返したのは選手、クラブ、それを支える人々、イコール「広島魂」(ヨンソン監督)、広島の総合力の勝利である。
が、最後の2節はライバルたちがコケてくれるという強烈な追い風にも助けられた。
おそらく「これですべて、いいね!」とはサポーターも、広島市民も広島県民も、もちろん関係者も思っていないだろう。
それどころか「大きな改革が必要で、このままではジリ貧になる」とすでに4年で3度もJ1王者になった頃から、今季の大苦戦を予期したかのような指摘も実際、関係者の間にはあった。
端的に言えば”ほっとしている暇などない”ということだろう。
地方のクラブにあっては確かに常時、優勝争いというのは難しい。
だが、サンフレッチェ広島としては「常時、トップ6争いできる戦力」(クラブ関係者)を目指している。
それがわずかな隙が生じることで、その方向性は大きく下方にブレてしまうことが証明された。
広島はサッカースタジアム問題という大きな難問も抱えており、ピッチの内外で正念場の戦いがまだしばらく続くだろう。
森保、ヨンソンのバトンリレーで生き残った今季をどう来季へ繋げるのか?
選手、スタッフの移籍問題、”フロント力”の強化も含めて、この1カ月の動きが大いに注目される。
移動前練習のあと、横内コーチ(右)と言葉を交わすヨンソン監督(左)、中央は一色クリスティアン通訳