このたび、広島市内でカープ本の元祖ともいうべき月刊誌が見つかった。
発見者は広島市南区で中華料理店「華楽飯店」を営む「はるさん」(ハンドルネーム)。
はるさんは、休日などを利用してバイクでフリーマーケットや古本屋、カープのお宝グッズなどが眠っていそうなショップをパトロールしているが、このたびほとんどのカープファンが目にしたことのない貴重な一冊を探り当てた。
発見場所は広島市中区千田町の大学堂書店。
店頭の”おいしそうな”ディスプレーに長年鍛えた”カープレーダー”が素早く反応!表紙に記された「40円」に魅かれ「ビニールに入れられて飾ってあった一冊」を店主に頼んでさっそく手にしてみたのだという。
大学堂書店の入口はこんな感じ…
雑誌名は「月刊CARP」。 しかしロゴにはかなりの年季が入っている。
続いて背表紙をチェック…
ここで心拍数がイッキに上がってきた。
昭和三十四年五月十五日発行 第三巻第5号 毎月一回発行
目を凝らしたが確かにそう記されている。
胸を躍らせながら中をパラパラとめくってみると、10ページまでは青色インク刷りで写真が中心。11ページが目次、12ページは「広島の戦力を探る」、18ページからは「期待の選手、田中捕手と興津三塁手」、24ページには「白石監督と新旧選手の和」、26ページには「二軍強化策について語る門前二軍監督」。
何というハイレベルな編集内容…。戦力分析はあっても驚かないが、この時代ですでに「新旧選手の輪」を掘り下げたり、二軍情報まで網羅されている。
表紙をめくるとしっかりグラビアページ
読者プレゼントも充実!
驚いたはるさんは店主にこの雑誌の入手経路や細かいことを訪ねたが、もう長年店を続けているという年配の店主も詳しいことはわからずじまい。
大学堂書店はその名の通り、かつて広島大学の本部があった正門の道路を隔てた反対側にある。
この店に通ってくる人は年齢層も幅広い。いったい誰が持ち込んだのか…。
さらに背表紙を見ると…
発行所 カープ通信社 広島市鷹匠町一三六
鷹匠町?そんな町名は聞いたことがない…
その時、はるさんは大事なことを思い出した。 昭和34年に「第三巻」ということは発行開始は昭和32年ということになる。
そう昭和32年(1957年)は戦後復興の最中にあった広島市民にとっては忘れられない年のひとつ…。
7月22日に完工式が執り行われ、その夜、待望のナイター照明点灯。
人々の心にまで希望の灯をともした夢の新球場完成の年と月刊CARPの誕生は見事に重なっていたのである。(つづく)
注)雑誌(定期刊行物)の発行は「巻号」だてや「号」だてで表示される。例えば「1巻2号」ならその雑誌が発刊された年の2回目の発行ということになる。裏表紙などに記してある。
取材・ひろスポ!なんでも探偵団、構成・田辺一球、取材協力・大学堂書店(電話082・241・9491)、華楽飯店(電話082・261・8882)
はるさんが収蔵するカープお宝が陳列してある華楽飯店、ひろスポ!なんでも探偵団も、昭和50年代に旧広島市民球場界隈で”発掘”した衣笠祥雄の折れたバットを寄贈、丁寧に補修、ブラッシュアップされて店内に飾ってある。
店内に飾ってある月刊CARP
お知らせ
広島野球ブックフェア開催 2014年7月12日(土)、13日(日)、午前11時から午後7時
会場 旧広島市民球場跡地、入場無料
www.yakyubook.com/#!untitled/c1rr7