画像は河田ヘッド(#79)、なんとなくチームとの一体感に欠けているように見えるのは気のせいか…
10月2日午後5時過ぎのマツダスタジアム。3年間、広島を率いた佐々岡監督がファンに向けて辞任を伝えた。それからほどなくして河田雄祐ヘッドコーチの退団が球団から伝えられた。本人が辞任を申し出た。河田ヘッドは2016年から一軍外野守備・走塁コーチを務め17年まで緒方孝市監督の下での2連連続リーグ優勝に貢献した。
2018年から20年まではヤクルトの一軍外野守備・走塁コーチ。2021年から広島に“返り咲き”佐々岡監督補佐役のヘッドコーチを務めた。
察するに佐々岡監督1年目のチーム状況から球団サイドは“ヘッドの補強”を急いだの
だろう。
その結果佐々岡監督1年目、2020年にヘッドを務めた高信二コーチが二軍監督に異動となり、河田コーチの復帰となった。
ここでは多くは触れないが、やはり守備走塁コーチとヘッド格では役どころが異なる、ということだろう。投手出身の佐々岡監督を攻撃面で支えるのがヘッドの役目。
その攻撃面で言えばリーグナンバーワンのチーム打率を誇りながらも佐々岡カープは勝負強くなかった。
佐々岡監督、河田ヘッドの辞任からおよそ4時間後、オリックスが奇跡の逆転優勝を決めた。最終戦前の142試合を戦った時点で首位に立ったのは1日だけ。ソフトバンクに優勝マジック1がついた状態でこの日、143試合目を迎え、しかもソフトバンクと同時進行の痺れる時間を乗り越えてラストゲーム終了から3分後に優勝が決まるというエンディングになった。
その瞬間、オリックス中嶋聡監督が抱き着いた相手は水本勝己ヘッドコーチだった。
新生、中嶋オリックスに入閣していきなりの2021年リーグ優勝を支えた補佐官はその思いを東スポに語っていて、10月3日午前7時、「水本勝己ヘッドコーチ 〝ボス〟のコロナ離脱は“正直、ヤバいぞ”と…」のヘッドラインでネットニュースにアップされた。
その「ヤバい」緊急事態もうまくハンドリングしてメディアからは「歴史的1勝」と持ち上げられた。
中嶋監督のコロナ離脱で監督代行を務めた8月26日以降の6試合を3勝3敗で乗り切った訳だが、27日の西武戦(京セラドーム)6対0完封勝ちは、一軍出場の経験のない指揮官による54年ぶりの白星だったのである。
この時、水本ヘッドの残したコメントも気が利いていた。
“この3勝3敗があとになって効いてくる”と…。その通りになった。
河田ヘッドもやはり佐々岡監督がコロナ陽性となって代行監督を務めた。8月16日からの10試合で結果は3勝7敗。3位争いをしていた広島は5位争いに転じた。水本ヘッドが3位をキープしたのとは対照的だ。
この話には落ちがあって、長らく広島でブルペン捕手から二軍監督まで務めた水本ヘッドは2021年限りで追われるように?広島を出て行かざるを得ない状況となり“就職活動”をする中でウエスタン・リーグでも一緒だった中嶋オリックスが受け入れ先となった。
ついでに言えば、やはり古巣の広島にはつれなくされた?梵英心氏も打撃コーチとして中嶋オリックスに受け入れられた。2022年から広島の野手総合コーチになった東出輝裕コーチは、梵コーチと旧広島市民球場時代に二遊間コンビを組んだ仲で、ともに1980年生まれ…左打ち右打ちの差はあるが、キャリアが完全に重複している。
まとめると、広島で2020年まで二軍監督を5年間務めた水本氏がオリックスに“転籍”したため、佐々岡監督1年目でヘッドを務めた高コーチが二軍監督に回り、高コーチの抜けたところに河田ヘッドが収まったけど2年続けて結果は出せなかった、ということになる。
なお水本ヘッドを“貴重な人材”として見出したのは広島で1994年から98年まで広島の監督を務めるなどした三村敏之氏である。
三村氏には組織をマネージメントするためのノウハウが綴られた「超二流のススメ」の著作がある。水本ヘッドはカープV1戦士のひとりで”広商野球”を原点とする三村氏から多くのことを学んだはずだ。
三村氏は2009年11月3日、楽天の編成部長だった時に心不全で亡くなった。水本ヘッドはその意思を継ぎ、着慣れた赤いユニホームではなくオリックスネイビーで持てる力を存分に発揮していることになる。
水本ヘッドは長らくエース佐々岡の球を受けてきた”人材”だった。佐々岡、水本コンビなら広島のこの3年間はどうなっていただろうか…
(広島スポーツ100年取材班&田辺一球)
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