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2023年12月31日
編集部

限りなく透明に近いドジャーブルー、大谷翔平、そして山本由伸…黒田博樹も投げたカリフォルニア物語の新たな幕開け(Ⅴ)

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黒田博樹
  • 3

    飛翔会

  • 2

    ダグ

  • レッドヘルメット

画像は2008年7月3日付のロサンゼルス・タイムス スポーツ一面で投げる黒田博樹、右上は2008年ドジャーススケジュール表の黒田博樹

 

NHKからのクリスマスイヴの贈り物、「メジャーリーガー大谷翔平2023 伝説と代償そして新たな章へ」で始まったこの連載。大晦日のTBS特番「WBCザファイナル」でフィニッシュ!です。

 

ドジャーブルーの背番号18、日本人投手の系譜…

 

コイの街のダイアリー|田辺一球|note 連載中の「限りなく透明に近いドジャーブルー」からの、ひろスポ!年末特別企画、大晦日のTBS特番「WBCザファイナル」で、フィニッシュ!です。

 

 

カープダイアリー第8477話「限りなく透明に近いドジャーブルー、広島育ちの”赤の魂”で1年目からポストシーズン2勝」(2023年12月29日)

データ解析ツールのスタットキャスト。2015年以降、メジャーリーグの全スタジアムに設置されたことによって、従来の投げて、打って、走って、守るそれぞれの動きのスピードなどが数値化されるようになった。

現地時間(以下同)の28日にMLB.comが発表した「2023年スタットキャストによるトッププレー」が、さっそくファンの間で今年も話題になっている。

もちろんそこには大谷翔平の名前がある。本塁打の最長不倒は6月30日にエンジェルススタジアムで飛び出した493フィート弾。150メートル超えのリアル二刀流、最高の切れ味となった。

 

 

剛腕の証明。

2008年、ドジャーブルーを身にまとった黒田博樹さん。現在のような数値化された環境とはまったく別次元の戦いに身を置き、広島時代に培った経験とスキルでのみメジャーの打者に向かって行った。

4月4日のサンディエゴ・パドレス戦で初先発初勝利をあげたあとも、確実にキャリアを重ね、6月6日のシカゴ・カブス戦では9回4安打11三振の快投でメジャー初完封を記録した。

ところが、その二週間後には右肩に違和感が生じて故障者リスト入りとなった。

だが、そこから剛腕の本領発揮、となる。

 

 

7月2日のニューストン・アストロズ戦で7回無失点ピッチング。上々の復帰を果たすと、続く7日のアトランタ・ブレーブス戦では七回終了まで完全試合を演じ、八回に唯一の走者となるヒットを許しただけで9回完封勝利をマークした。

当時のロサンゼルス・タイムズ・スポーツの一面には全力投球する黒田博樹さんの雄姿が掲載されている。チームが地区リーグ優勝争いを演じている最中のことであり、その1球1球は正に魂のこもったものになっていたに違いない。

けっきょく2008年のドジャースは84勝78敗の勝率・519で地区優勝を飾り、ポストシーズンへ。デビジョンシリーズ第3戦の先発を任された黒田博樹さんはここでもシカゴ・カブス打線を相手に6回1/3を投げて無失点で勝利投手になった。

さらにリーグチャンピオンシップシリーズ第3戦にも先発してフィラデルフィア・フィリーズ相手に6回0/3、5安打2失点でここでも勝利投手になった。残念ながらチームは第5戦で敗退したが広島育ちの、どんな逆境も跳ね返す“赤の魂”がドジャーブルーに染まるステージでも通用することを見事に証明したのである。

 

 

 

カープダイアリー第8478話「限りなく透明に近いドジャーブルー、左並べた打線vs山本由伸…8回101球8三振の衝撃」(2023年12月30日)

山本由伸の日本国内での移籍会見が大阪市内のホテルであった。その模様はオリックス・バファローズ球団公式YouTubeでも配信された。

会見の中で、“らしい”発言がいくつもあった。

「高みを目指して、向上心をすごく大切にしています」

「ほんとにプロ1年目から取組みは変わっていないですし、やっていることは全部同じなので、そこをしっかり頑張るだけです」

「この7年間、オリックスという球団でプレーできて、ほんとに成長できた7年間でしたし、オリックスだからここまでこれた、というところもたくさん感じてますし、何より7年間どんな時も応援していただいたみなさまに本当に感謝しています」

「僕もほんとに普通の子どもだった、というか、特に昔からすごく優れていたわけでもないので、そこから少しずつがんばって、ここまで来られたので、そういった子どもたちも、本当にすべての方が、そういった方に何かいいものが届られたら、とは思います」

 

 

年明けからは、カリフォルニアの青空の下で、リアル二刀流との距離がこれまで以上に近くなる。先ごろオンエアされたNHKスペシャル「メジャーリーガー大谷翔平2023伝説と代償そして新たな章へ」で紹介された内容と、今回の会見内容はまるかぶり、だった。

同番組の中で、大谷翔平自身は長期的な計画に沿った地道な動きの繰り返しやトレーニングの大切さを強調した、と同時に、日米双方でますます注目度が高まる「ドライブライン」の活用法について触れたパートでは、関係者の口から「強い好奇心と向上心」のキーワードが漏れた。両者を有する者のみがこの世界で成功するのだ、と…

「イチロー」が大阪刷りスポーツ紙一面を連日、飾った時代があった。オリックスの年間集客数は急上昇!しかし1977年の171万2000人をピークに、2002年には109万9000人まで落ち込だ。実数発表ではない、どんぶり勘定での話だ。

 

 

2004年の球界再編を経て、ブルーウェーブからバファローズへ移行。2017年には実数値でも170万人超えを果たし、球団の足腰は強くなった。2016年ドラフト4位入団の山本由伸はこの1年目に5試合に先発して23回2/3を投げ1勝1敗、防御率5・32。確かに「すごく優れていたわけではない」プロとしての第一歩となった。

だがリーグ連覇を果たし日本一にも、世界一にもなった右腕の、NPB7シーズン目のそれは、すさまじいものになっていた。

5月30日の京セラドーム大阪、オリックス-広島1回戦。

カープ打線は…

菊池
龍馬
秋山
松山
坂倉

韮澤
田中
中村貴

…というオーダーを組んできた。右打者は菊池のみ。

 

 

初回、菊池二飛、西川二ゴロ、秋山空振り三振。わずか11球、マウンド滞在時間4分という立ち上がりになった。

二回は松山、坂倉、林を連続空振り三振に仕留めた。三回も3人で抑えた。

四回、2ボールとなった西川に右前打された、が、秋山空振り三振、松山二ゴロ。ともにフォークで料理した。

五回に2点の援護をもらい、1安打ピッチングのまま迎えた八回、一死から秋山にゴロでセンター前に弾き返された。ここでも松山を152キロで遊飛に、坂倉をフォークで空振り三振に仕留めた。

8回101球2安打無四球8三振。三塁を踏ませぬ投球を振り返ってみると、二回以降も球数は14、11、13、12、12、16、12と見事に「デザイン」されていた。

山崎颯との完封リレーを許したカープベンチからは「山本由伸はどうやっても打てない」の声が聞こえてきた。追い込まれると完全に劣勢に回る。勝負できるのは追い込まれる前。よえに積極打法で40%前後を占める真っすぐに絞ってみても、ファウルにしかならない。落差の大きいカーブをカウント球に使われてなおいっそう分が悪くなる。そしてフォークにはカスリもしない…

この日の試合時間はわずかに2時間25分だった。大瀬良を立てての完敗劇によりカープの対オリックス戦連敗は13まで伸びた。中嶋監督と、“広島育ち”の名参謀、水本ヘッドのコンビは、エースに成長した山本由伸を柱に据え、球団の存在をさらに大きなものに引き上げたのである。

 

 

 

カープダイアリー第8479話「限りなく透明に近いドジャーブルー…染まる時、日本最強は世界最強となり、そして大谷翔平は…」

2023年大晦日。TBS系、午後5時からの生番組「WBC・ザファイナル」を“紅白そっちのけ”で視聴する人はどれくらいいるだろうか…

過去のWBC大会をなぞったあと、午後6時を回って栗山ジャパンの話になり、宮崎キャンプでのダルビッシュ有を中心にVTRは進んで行く。

これまで栗山英樹さんに関する特番も、NHKなどが数多く放送してきた。そのチーム作りの軸になったのはダルビッシュ有。指揮官のそんな思いを、TBSも年内最後の6時間45分の長尺特番に込めたのだろう。

 

 

日本時間の12月28日午前8時過ぎ。ドジャースタジアムでの入団会見に臨んだ山本由伸は、その中でこうも話した。

「19歳の時に、ここでプレーオフを観戦して、そこで前田健太さんが登板しているのも実際に見ましたし、やっぱりその時からメジャーへの思いはすごく強くなったとお思います」

カープのマエケンからドジャースの KENTA MAEDAへ。実はその話の原点もまたダルビッシュ有だった。

 

 

高卒2年目の2008年に初めて一軍で投げていきなりの9勝(2敗)。09年8勝(14敗)と足踏みしたマエケンは迎えた2010年、開幕投手に指名されいきなり序盤3回はパーフェクト。8回1失点で白星発進した。

同年5月15日のマツダスタジアムで、すごいことが起こった。

このシーズン最多の3万1842人で埋め尽くされたスタンドの、ファンの視線はマウンドに注がれた。すでにメジャー挑戦を視野に国内頂点に立つダルビッシュ有と、躍進著しいカープの18番の投げ合いが、現実のものとなったからだ。“敵”は連続無失点イニングを、20まで伸ばして広島に乗り込んできた。

カープのスタメンマスクも同じく4月で22歳になったばかりの曾澤。ふたりで2歳上の、推定年俸3億3000万円の大きな相手に向かっていく…

戦況を見守る一塁ベンチのマーティ・ブラウン監督はこの日を前にこう言った。

「ダルビッシュが優れているのは、球速やキレだけじゃない。どういう目的で何を投げるか、1球ごとに考えている。彼ほど自分の球に自信を持っている投手はいない」

試合は1対0、カープのサヨナラ勝ち。マエケンvsダルの勝負は痛み分けに終わった。マエケンは9回121球完封、ダルビッシュ有は8回を投げて記録を28イニングまで伸ばした。さらに、置き土産はもうひとつ。マエケンの打席で、すべての変化球を披露したのである。

 

 

交流戦防御率1・05(12球団トップ)をマークしたマエケンは前半だけで二桁勝利、オールスターゲームファン投票トップで初の球宴出場が決まった。

迎えた7月23日の福岡ヤフードーム、オールスター第1戦。セ・パ両軍合わせて2回を投げた投手が4人いたが、パーフェクトピッチングマエケンだけ。球宴初登板初勝利にベストピッチャー賞もついてきた。

試合後、福岡の夜の街にマエケンは消えた。目的はただひとつ、ダルビッシュ有と食事するため、だった。

 

ダルビッシュ有-マエケン-山本由伸。

TBS「WBC・ザファイナル」には残念ながらマエケンは”出演“していないが、栗山ジャパンWBC世界一への様々なエピソードの中にドジャーブルーに仕舞ったマエケンや黒田博樹さんも絡んでくる。

そして大谷翔平も…

リアル二刀流のデビュー戦は10年前の2013年、6月18日のマツダスタジアムだった。7月が誕生日の大谷翔平はこの時点でまだ18歳だった。でも、すでにマツダスタジアムに隣接するトレーニング施設で、前日入りしたあと独自メニューに黙々と向き合っていた。そんなNPB選手は他にその施設で目撃されていない。

 

 

TBS「WBC・ザファイナル」の番組内では、高校1年生当時の大谷翔平が書いた目標達成シートも紹介された。

「ドラ1・8球団」を中心とした「キレ」「スピード160㎞/h」「変化球」「運」「人間性」「メンタル」「体作り」の8項目に関する具体的な“指針”が書かれたものだ。先日、オンエアされたNHKスペシャル「メジャーリーガー大谷翔平2023伝説と代償そして新たな章へ」の中での、つい最近の大谷翔平はまったく同じことを言っていた。

山本由伸の受け答えをよくよく聞いているとやはり大谷翔平との共通点が多いことがわかる。山本由伸の目標達成シートも、メディアによって様々な形で紹介されつつある。

野球、ベースボールといかに純粋に向き合うか?ドジャーブルーに染まる時、日本最強は世界最強となり、そして大谷翔平は…(完)

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