画像は2024ファン感(5月12日、猫田記念体育館)撮影会でポーズを撮る井上航、新井、西、川口選手
2023-2024 V.LEAGUE Division 1 MEN ファイナルステージを、最終4位で終え、3/30でVリーグの戦いは幕を下ろした。
この時点で、ラッセル、チュアン、ロサノ監督の退団が決定していた。
JTサンダーズ広島は、他のチームと比べてチーム退団者・引退選手のアナウンスが遅く、海外からの選手とはいえ、シーズン内に発表されたのは珍しいことだった。
この時点では、チームとしてのシーズンはまだ続いており、最終が5/1〜6に大阪市で行われる「黒鷲旗全日本選抜バレーボール大会」だった。
ラッセルとチュアンは4/30退団となっていたので「黒鷲旗」は不参加。ロサノ監督は5/31退団となっていたので黒鷲旗では指揮を取るのかと思っていたが、2人の外国人選手と時を同じくして帰国。黒鷲旗の指揮はコーチ陣に託されることが決まった。
毎年この時期は各チームの退団者や引退の情報が飛び交い胃が痛くなる。今年は来季から新リーグということもあるのかシーズン中から異様に退団選手の報道が多く、JTは?うとはどうなる?と戦々恐々のこころ持ちだった。
そしていざ発表されたら、JTファン界隈〜その余波もかなり遠くまで「激震」が走った。
今シーズンJTの退団者は1人。でもその選手が、地元広島の星⭐️井上航選手だったからだ。
どうして?!
いやだ!!
航、やめないで!!
悲鳴があちこちから上がっていた。
JT公式サイトにコメントが載っても、まだ信じられなかった。黒鷲旗が最後になる、と聞いて、頑張って駆けつけたファンも大勢いた。5/12に猫田記念体育館で行われたファン感も同様だった。
黒鷲旗で華麗なるジャンピングバックトスを披露する井上航選手
同じく相手のフェイントをうまく拾い上げる
同じく体勢を崩しながらもレセプションをAパスで上げる井上航選手
黒鷲旗は、グループ戦最終戦と決勝トーナメント初戦準々決勝しか現地観戦できなかった。
監督は平馬コーチが務めていた(坂梨コーチの来季は明言されていないが退団の情報もない。全日本男子の合宿も開始されているので、高橋アナリスト同様に向こうに合流しているものと思われる)。
黒鷲旗に向けた練習で、航は、「辞める僕ではなく、若手を使ってやって」と言っていたらしいが、平馬監督は撤収徹尾、航に預けるつもりでいたようだった。
結果は、グループ戦を全勝で1位通過し(最終戦のジェイテクト戦も3-1で勝利)、Dグループ2位通過の東レと対戦。ここでフルセット戦って敗れて、今シーズンのJTは本当に終了した。試合中、バレーボールではあまり見たことがない乱闘騒ぎになるのか、というくらいの荒れたシーンもあった東レ戦。
試合の後、ありえない高さまで胴上げされていた航の空中姿勢がチョー美しいことに、泣けてしまった。
黒鷲旗準々決勝の試合後、井上航選手の体が3回宙を舞う
直接日本のリーグ戦には関係ないように思われるかもしれないが、海外の移籍市場の話題で、石川祐希がイタリアトップのペルージャに移籍するという報道があった。関連の記事が出て、移籍を決定づけた要因の一つに、今のペルージャの監督の元でやりたいという発言があった。
実はこれと同じ言葉、JTファンは聞いたことがあるはずだ。イタリアへ単身渡欧していた加藤陽一が日本に復帰する時に「パルシン監督の元でやりたい」とJTに入団したではないか。
それほどに、監督の手腕というのは重要なのだ。
才能もセンスもある選手がいても、策が柔軟でなければ、それを生かして勝利できるチームを作れない、ということだろう。
井上航という選手が登場した時期、JTには、自分が監督としてこのチームにいなくなった後も、常勝JTになれるように、と考えてチーム作りをしてくれていた名将がいた。
航の「気がつけばそこに居る」才能を、『バレーボールをするセンス』と認め、監督が決めたセオリー外のところに位置していたとしても、ボールが繋がっていく様を見てそれを認めてくれた監督だ。
この時期、規格外な選手はたくさん入団しており、みなに共通することは、守備が固いことと1つのことしかできないやつはいない、ということだ。そういうバレーボールセンスのある選手をコツコツ集めてきて、世代交代をして、5年経っても揺るがない基盤を作った、と監督が言っていた。
だが、結果としてJTのその後5年の中でファイナルに行けたのは、監督が率いてくれた2018-19シーズンを最後に徐々に順位を下げていくことになる。
チームとしての「策」として、将来像を継承できていなかったことも大きな要因だと思う。
2021年3月に井上航の左アキレス腱断裂の大怪我もあった。
主将を中心にチームとして纏まるということがなかなかできずにいたように思われ、それはチームの中で各人がバラバラに努力をする有様に見えた。
2022-23シーズンに世界的プレーヤー2名を補強し、外国人監督に交代しても、JT低迷は止まらなかった。
2017/18シーズン、新人らしからぬプレーでチームを支えた
2017/18シーズン、リーグ3位のメダルを受け取る井上航選手。この年、最優秀新人賞も受賞
2020/21シーズン、井上航選手のナイスレシーブ
「脇役なんかいない」というチームコンセプトを出していた時期、スタッフ、コーチ陣、チーム運営側は、選手一人一人の個性を捉えようと努力していたと思う。そういう姿勢が好きだった。一人一人特徴があり、得意なこと、苦手なことがある。コートの中に立つのはリベロ含めて7人だが、チーム全体でまとまっていなければ、練習での成果もままならないだろう。
この時期、JTの主将は絶対的な感じで、その次はどうするのかという問題を抱えていた。それを鮮やかに解決してくれたのが、移籍組の将平さんだったことに本当に感謝している。
それは今シーズンにも当てはまり、主将&主力が抜けた後の主将には誰が立ってくれるのか、という現実問題を、慎さんが解決してくれ、将平さんが陰に日向に支えてくれたことにも感謝しかない。今年のファイナル行きの切符をつかめたのは、慎さんと将平さんの力が大きいと思っている。
井上航はバレーボールをするセンスの塊、天才だ。
アキレス腱が切れた時ですら、叫び声一つあげずメンバーに抱えられて退場した航。
新人らしくない、と登場時から言われてはいたが、航の信念として、リベロは得点でチームに貢献できないからこそいつも一定な感じで安定してプレーすることで雰囲気作りで貢献する、というものがあった。「そこにいてくれる」だけでどれだけ安心できたことだろう。
航が大怪我から復帰してくれた時期、JTのコート内では「声で鼓舞する」人材が不足しており、年長者であることもあってそれをL唐川が担っていた。航と唐川はよく2人で話をしていて、後ろから支えるということも考えてやっていたようだ。声を良く出す唐川と違って航はみんなに声をかけに言って、タッチして、という手法をとっていたように思う。
規格外な才能に理解を示さず、自分の理解の範疇に嵌めようとされることが、どれだけやる気を削ぎ、どれだけ影響を及ぼしたのか、本人でないとわからない部分だろう。
ファン感の時の航は、やはり広島愛を隠そうともせず、終始明るい感じでいてくれた。
そして、最後の挨拶で、JTに戻ってくる!と言ってくれた。
選手の気持ちがわかる、長期的に広島愛でチームを見てくれる、そういう運営側、できれば指導者になって、もう一度私たちと一緒にやってほしい。
2018/19シーズン、西日本豪雨からの復興を願って「がんばろう広島」のTシャツを着て試合後のファンサービスをする井上航選手
でも。正直なところ、航にはグリーンのユニフォームでまだまだプレーしてほしかった。
航がいてくれた、この時期のJTが1番好きだ。何者にも代え難い。
来季は、SVリーグ初年度。わからないことが多すぎるし、移籍情報もあり過ぎて何が何だかわからなくなっている。JTに入る外国人選手も総交代する予定だが、実際にこの広島の地に来なければチームメイトになってくれるかどうかはわからないので、本当に来季はまだまだ不明な感じだ。
シーズンオフに、三好院長が急死され、大分三好ヴァイセアドラーがチーム活動休止になったり、と色んなことが起こっている。
パリ五輪が終わった後、各チームの選手の顔ぶれは一体どういう感じになっているのだろうか。
JTサンダーズ広島 改め 広島サンダーズ としての1年目になる来季2024-25シーズン。コートにはどんな風景が広がっているだろうか。
また来季も選手と一緒に走っていきたいと思います。
今シーズンもみんなみんなありがとう!
井上航は永遠に不滅です!航、Forever!
来シーズンに続く。
頑張ろう!広島!
頑張ろう!NIPPON!
頑張ろう!能登!(ちゃこ)