画像は海田-竹原、1対0リードの海田は八回、二番・後藤亘(1年)がレフト線に勝ち越しタイムリーを放つ
第106回全国高校野球選手権記念広島大会第10日(7月21日)
4回戦8試合があり、シード組の広陵、崇徳、海田、国際学院、尾道、総合技術と”夏の”広島商、古豪復活に燃える呉港が8強入りした。
この酷暑下での連戦となるあす22日の準々決勝の組み合わせなどは以下のとおり。
<電光石火きんさいスタジアム三次>
午前10時から 国際学院-尾道
午後0時30分から 崇徳-呉港
<ぶんちゃんしまなみ球場>
午前10時から 海田-広島商
午後0時30分から 総合技術-広陵
7月21日結果
<電光石火きんさいスタジアム三次>
市立呉 000 000 000・0
広 陵 300 100 00X・4
広陵は19日の観音戦、三番手で2回と2/3、22球を投げた高尾響(3年)が今大会初の先発マウンドへ。その立ちあがりで二死二、三塁のピンチを迎えた。打席には市立呉の五番・中屋原大翔(3年)。結果は内角ストレート見逃し三振。高校生ではちょっと手が出ない、プロ注目右腕さすがの1球だった。
その裏、広陵は二死満塁として六番・世古口啓志(2年)が高目の球を叩き、ライトフェンスを直撃する走者一掃の三塁打。観音戦では満塁でも犠飛…など1点ずつの5点止まりで大量得点とは遠藤かった強力打線がいきなり火を噴いたかっこう。早々に打線の援護を受けた高尾響は六回途中まで72球2安打ピッチング。
しかし、その後は市立呉のエース、九十九裕貴(3年)も立ち直り、エラー絡みの失点のみで7安打126球完投。ただ、広陵の継投策の前に市立呉4安打に終わった。
国泰寺 200 000 000・2
広島商 100 001 003・5
国泰寺が広島商を最後まで苦しめる好ゲームになった。初回に2点を先制した国泰寺はその裏1点を返されて、六回には追いつかれたが、終盤になってもどちらに転ぶか分からない展開に…。両校とも中盤で二番手投手に切り替えて、2対2同点のまま九回の攻防へ。
国泰寺のマウンドには六回途中から広島商打線を抑え込んできた11番をつける小坂陸弥(3年)。一死一、二塁で打席に広島商の四番・米田歩生(3年)。結果は劇的な左越えサヨナラ3ラン…国泰寺は大日本帝国憲法が発布された1889年(明治22年)部創設、広商は1899年(明治32年)。百有余年の広島野球の歴史に、また新たな1ページが刻まれた。
崇 徳 300 030 110・8
広島新庄 204 000 000・6
大方のゲームが2時間20分までには終了する中にあって、灼熱の太陽の下、3時間5分の激戦になった。勝った崇徳の放った安打数13で一、二番がともに3安打、広島新庄は12で一番から三番がともに2安打。「打点」はともに6だった。
一方、投げる方では崇徳は2年生エースの脇本晃寿が116球完投。許した四死球数2。4人でつないだ広島新庄は与四死球数9で3年ぶりの夏優勝に届かなかった。
<ぶんちゃんしまなみ球場>
近大福山 000 000 020・2
尾 道 120 000 30 X ・6
2試合連続のコールドで勝ち上がってきた尾道は9段安打で6点。追いかける展開となった近大福山は7安打を放ちながら八回の2点止まりだった。
尾道は初戦の賀茂戦で1番をつけた田原永遠(3年)が6回70球、菅将遙(3年)1回18球。19日の並木・忠海・加計連合戦では1年生の松谷竜雄2回35球、同じく1年生の大坪龍緋2回26球、守内滉人(3年)2回27球、菅将遙1回18球、そしてこの日が田原永遠7回2/3の87球、菅将遙1/3の9球。決勝を見据えながらの分業制トライが続く。
瀬戸内 010 030 010・5
総合技術110 003 001x・6
同点の九回、総合技術は一死二、三塁で西森晃太主将(3年)がサヨナラ打。総合技術は2日前の如水館戦でも九回に3点を奪ってサヨナラ勝ちしており、これで3試合続けての1点差勝ちとなった。
瀬戸内は総合技術の9安打を上回る12安打。サヨラナ打されたエースの内藤綾祐(3年)は熱投及ばず131球目を痛打された。
呉 港 000 000 003・3
尾道商 000 101 000・2
尾道商は三回途中でエースの佐原伶旺(3年)をマウンドに送り、中盤のタイムリー2本で流れを引き寄せるという願ってもない展開になった。
だが九回、呉港は内野ゴロの間に待望の1点をもぎ取ると、打席には先発して2点を失ったあとライトに回った小野寺澄司(2年)…自ら試合を決める2点三塁打でチームをベスト8に導いた。
<鶴岡一人記念球場>
府 中 東 100 001 100・3
広島国際学院102 010 01 X ・5
広島国際学院は三回、五番・柴田大輔(3年)の2ランで勝ち越しに成功。その後は互いに1点ずつを奪い合う接戦になった。勝った広島国際学院は5失策が反省材料。
竹原 000 000 001・1
海田 010 000 03 X ・4
春の県大会準優勝で第1シードの海田に、3試合連続コールド勝ちの竹原が挑んだ一戦は、七回までスコアボードに1点のみ、の緊迫した展開になった。
竹原の先発は背番号3をつけた左腕の村上耀(3年)。初回は15球で3人を打ち取る上々の立ち上がりとなった。が、二回、先頭の四番・光井健志郎(3年)に死球を与え、その後二死二塁からの内野ゴロ失点した。ただ、これはセカンドの大隅颯真(2年)の足元が悪かったのか、足がもつれて難しい体勢から投げた送球がワンバウンドするアンラッキーなものだった。
竹原は直後の三回、二死二塁のチャンスで大隅颯真が、今大会3試合とも先発マウンドを任された1年生左腕の澤秀太からチーム初ヒット。次打者・竹森夢月(3年)の時に大隅颯真は二盗も決めて一打、逆転…二、三塁まで攻めたがあと1本が出なかった。
三、四回にも得点圏に走者を背負った村上耀は自らの好守もあって海田に追加点を許さない。
試合が動かないまま竹原、五回の攻撃もツーアウト、ランナーなし。すると、ここで海田は145キロ右腕の松本遼太(3年)をマウンドに送り込んできた。平崎直樹監督、ほぼ予定通りの投手交代…だっただろう。
竹原の八番には一発長打のある寺戸暖(3年)。4球目で空振り三振…
竹原も七回、一死二塁のピンチを迎えてエースの原田迅(3年)を投入した。結果は空振り三振と中直だった。
竹原の八回の攻撃が10球で終わったその裏、海田は一番からの攻撃でヒット、二盗、パスボール、タイムリー。勝ち越しに成功すると、さらに2点を加えた。
八回までわずか2安打の竹原は九回、最後まで諦めない姿勢を見せた。先頭の竹森夢月が内野安打で出塁。続く福田海翔主将の打球は快音を残してライト前に弾んだ。このあと相手のバッテリーミスと死球で一死満塁として六番・石本彬(2年)がレフトへ犠牲フライ。試合後にベンチ前に整列した竹原の選手たちのそばで、昨年12月に亡くなった迫田穆成前監督の遺影が穏やかな表情を見せていた。
勝った海田ナイン、その後方に竹原ナインと…
竹原の山村心部長の手には迫田穆成さん、右は天野耕平監督
竹原・天野耕平監督の話
後半勝負というところで、前半1点取られたんですけどそこまでは想定内で、最後に絶対チャンスがくるから、というところで選手はほんとによくやってくれたんですけど…
すいません、ちょっと…はい、よくやってくれたと思います。
-前監督のあとを引き継ぐことになり、重圧もあったと思います。引き継いでみてトライしようとしたことは?
やっぱり3年生が中心になって、新しい伝統と言いますか、そういうものを作っていってくれているので…。前半しっかり守って、後半勝負というスタイルを目指してきましたし、きょうもそれを3年生中心にやってくれました。迫田監督の思った通りの野球ができてたと思います。最後、勝てなかったのは僕の責任で、申し訳ないことをしたなと思います。
-ひろスポ!は長らく迫田穆成さんと交流がありましたが、きょうは迫田さんでも同じ結果だったとは思います。
…そうですか。
-きょうまでの3戦はだいたい、先を見ながらの戦いだったのでしょうか?
はい、ほんとに予定通りというか、3回戦もエースを投げさせないで行けましたし、きょう投げた左の先発の子も(2戦目のみの登板で)1イニングしか投げていないという理想的な野球ができていたかなとは思います。
-きょうの試合の中でまずひとつだけ…あげさせていただくと海田もよく研究していたようで、初回、竹森君が四球で塁に出た時に、4連続牽制球を投げてきて、結果、刺されてしまいました。あそこで先制していれば…というそんな場面でした。
そうですね…あそこで初戦(安西戦)では(初回に)牽制球が逸れてうちに流れが来たんですが、やはりそこが春準優勝する力なんだなと…そういう丁寧なきめ細かい野球を、うちもやっていかないと、エラーで点を取られたところはうちと海田さんの大きな差かなとは思います。
-監督さんご自身も悔しい展開になりました。今大会、1、2年生も活躍しました。来年夏に向けて、どうでしょうか?
3年生が残したものがあるので、さきほども言いましたように、もっと丁寧にできるように…。そうすれば今回はベスト16でしたがベスト8にも行けると思っているので、今の1年生にはそういう3年生の姿をしっかり見て、自分たちで考えながらやっていって欲しいなと思います。
(ひろスポ!広島スポーツ100年取材班&田辺一球)