画像は広島人の誇り、広島っ子の未来への贈り物…エディオンピースウイング広島
サンフレッチェ広島は3月21日午後、以下のヘッドラインで、AFCチャンピオンズリーグ2における前代未聞の敗退劇に関して、クラブ側の見解や処分について発表した。
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<AFCチャンピオンズリーグ2 2024/25 ノックアウトステージ 準々決勝第1戦 選手の出場に関する懲罰処分についての概要及び再発防止策について>
2025 年3月5日(水)に行われた、AFCチャンピオンズリーグ2 2024/25 ノックアウトステージ 準々決勝第1戦ライオン・シティ・セーラーズ戦においてアジアサッカー連盟(AFC)より懲罰処分を受けた事案に関しまして、サポーター・パートナー企業をはじめとするすべての関係者の皆様に多大なご心配、ご迷惑をおかけしたことを深くお詫び申し上げます。
本事案に関し社内及び関係先との確認作業が完了しましたので、概要及び再発防止策とサンフレッチェ広島関係者の処分を含め下記の通りお知らせいたします。
■対象事案
ヴァレール・ジェルマン選手は、2024年3月11日にAFC規律・倫理委員会により決定されたAFCクラブ競技会における3試合の出場停止処分の未消化により出場資格を有さないにもかかわらず、3月5 日(水)AFCチャンピオンズリーグ2 2024/25 ノックアウトステージ 準々決勝第1戦ライオン・シティ・セーラーズ戦に出場した
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■懲罰内容
・AFCチャンピオンズリーグ2 2024/25 ノックアウトステージ 準々決勝第1戦ライオン・シティ・セーラーズ戦を没収試合(0-3の敗戦)として扱う
・クラブへの罰金USD1,000
・準々決勝における参加報酬USD160,000のうちUSD80,000の支払いを行わない
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■概要
①当該選手は移籍に際し、オーストラリアリーグにおける試合中の違反行為に対し、2試合の出場停止処分を科された状態でサンフレッチェ広島へ移籍。FIFA規則に基づき、当該残存の2試合の出場停止処分について移籍先の日本において消化が必要である旨、オーストラリアサッカー協会から日本サッカー協会(JFA)宛に書面による通知を受け取った。念のため、本件に関しJリーグに照会したところ、本件出場停止処分の消化は国内リーグのみに適用されるため、ACL2に影響がないとのことだった。
②当該選手からUEFAチャンピオンズリーグでの退場についての申告があった。それを受けクラブとしてその後のAFCカップにも出場していたことを確認し、Jリーグから直近のAFCカップ公式記録を取り寄せた。内容の確認を行い退場等の記録はなかったため、問題ないと考えた。Jリーグ担当者からは、懲罰通知は選手や所属クラブが書面で受領しているはずなので、選手・元クラブに詳細を確認するようアドバイスがあった。その後当該選手からUEFAチャンピオンズリーグではなく、AFCでの大会で出場停止処分が残っているのではないかとの訂正があった。しかし、公式記録で出場していたこと、そして退場等の記録がないことを既に確認していたので、引き続き問題ないと判断し当該選手の出場登録を決めた。
③試合日前日のMCM(マッチコーディネーションミーティング)資料内においても当該選手の出場停止の記載はなく、試合当日もAFCから出場停止選手について指摘事項は無かった。
④3月6日にAFCから違反通知(出場資格がない選手を出場させた)の通達があり、クラブとして初めて当該選手のAFC競技会における出場停止処分を認識。試合終了後の行為による出場資格停止処分であったため、AFCカップ公式記録には退場等の記載がされていなかったことが判明。AFCへ弁明書を提出するも、3月8日にAFCから確定した懲罰処分の通達があった。
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■原因
①AFCのレギュレーションでは「AFC事務局による参加選手の登録の承認は、その参加選手が本大会に参加する資格を有することを意味するわけではない。各参加クラブは、資格を有する参加選手のみを試合に出場させる責任を負う。」となっている。このレギュレーションへの認識の甘さがあったこと。
②オーストラリアサッカー協会の出場停止に関する通知義務は、国内の懲罰未消化に限定されること=「国際大会については、懲罰未消化の通知が届くとは限らない」という認識がJリーグを含め、なかったこと。
③当該選手から出場資格停止の可能性について報告を受けた際、AFCへの直接確認ができるタイミングがあったにも関わらず、詳細なヒアリングを怠たり事案の特異性に気づかず、出場停止の公式記録の確認に終始し、出場可能と判断したこと。
④競技会以外(試合終了後など)での事象で出場資格停止処分を受けた場合、公式記録に記載されないという、レアな事例に遭遇してしまったこと。
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■再発防止策
①AFC等国際大会における業務手順の見直しを行うと共に、レギュレーションや参加資格、海外大会ならではの注意点や問題点等を専門家にアドバイス頂きながら再確認を徹底します。さらに、海外(AFC)とのコミュニケーションをとれる体制を構築していきます。
②移籍選手の出場停止処分等のクリティカルな情報については、調査を徹底します。
③海外案件に関してのJリーグ/JFAとの連携について再確認します。日本のクラブが海外大会において失敗を繰り返さないよう、Jリーグ/JFAの相談機能の強化及び相談ルートの確立を働きかけていきます。
今回の事案を厳粛に受け止め、クラブをあげて信頼回復に努めてまいります。
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■処分内容
外部有識者のアドバイスの元、社内懲罰委員会を経て下記の通り処分を決定しました。
代表取締役社長 久保雅義 取締役報酬月額10%の自主返納2か月。但し、本人から申し出があり、期間は6か月とする。
強化本部長 雨野 裕介 基本報酬月額の10%の違約金徴収1か月
強化部長 栗原 圭介 基本報酬月額の 5%の違約金徴収1か月
サンフレッチェ広島からのリリースは以上
スポーツの街、広島において犯すことのできない不文律
こればっかりは、もう起こってしまったことであり今から言っても仕方ない、今後の対応は…では済まされない大失態である。スポーツ王国、サッカー王国広島における21世紀最大の汚点、と言っていい。広島人として痛恨の極み、だ。広島県民もきっとそうだろう。
少なくとも、ひろスポ!取材班はチームや応援する人たち、ステークスホルダーのみなさんのことを思えば、ずっと心が痛い…
なので、てっきり組織のトップである久保雅義代表取締役社長は辞任するものだと思っていた。この調子では、この先もとんでもないことが起こる可能性がある。
なぜ、こんなことになったのか?
ひろスポ!独自の結論は…
サンフレッチェ広島が国内外に誇る新たな舞台装置=エディオンピースウイング広島を”手に入れた”ことにより、その”守備範囲”が以前の数倍にも広がり頻繁な人事異動などの影響で細部まで目が行き届きにくくなったこと
同時に新スタジアム効果により、2024年度のクラブ売上が過去最高のおよそ78億円(前年度のおよそ1・9倍)になり「100億円を目指す」国内トップクラブに向け通常では考えられないスピードで成長する過程においてどこか油断が生じてしまったこと
…だと思う。
2004年の球界再編騒動で当時のダイエー球団に合併されることになっていた広島球団が幸運にも難を逃れ、それを契機に広島の政財界が一体となって瞬く間に完成させたのがマツダスタジアム…やはりその直後から様々な事件が起こった。
マツダスタジアムの供用開始は2009年春だが、同年7月3日号の週刊ポストでは「球団部長、謎の失踪」事件が報じられた。当時の球団部長がその立場を利用して複数のトラブルを起こし姿を消したのである。同時期、球団は労働基準監督署からもレッドカードをもらっている。職員をホテル住まいさせてまで過重労働を強いて「球団に殺される!」の声が上がっていたし多くの職員がその後、退社した。
だからひろスポ!はエディオンピースウイング広島に”移住”したサンフレッチェ広島の動向には注目していたし、実のところ危機感も抱いていた。
余りも急速に変わる環境、必ずある落とし穴
例えば2024年5月11日、エディオンピースウイング広島では「70キロバトン落下」のトラブルがあったが、ひろスポ!ではその5日前にバトンを”そういう目”で見て撮影していた。大勢のサポーターの頭上で、懸垂された形のクラブ旗が揺れる。強風に煽られたらどうなるのか…と…
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サンフレッチェ広島が崇高な使命感を持ち、地域とともにこの広島からその活動を通してJリーグの理念や平和を希求する心を発信し続けていることに対して、何ら疑問の余地はない。あとは日々、片付けていく仕事の量より多い外部からのアクセスや増えていく一方の業務全般をいかに確実にさばいていける体制を作るか…
今回、処分の対象となった3名はいずれも2023年12月以降に現職を拝命し、そのしんがりが2024年12月24日に就任会見に臨んだ久保雅義代表取締役社長だった。
ひろスポ!では多くの関係者に久保雅義代表取締役社長の人となりや、組織トップとしての適性について取材して回り、結果としてその就任会見取材はパスした。話の内容も予想がつくし、何より行きたい気持ちにもなれなかった。それからわずか2カ月ちょっとで大事になった。
玉石混交のネットメディア(ひろスポ!は玉じゃなく石の方…)の中で、今やほとんど消滅寸前のサンスポの元記者らで展開されている「論スポ」はその主張が本質を突くことで知られている。同メディアが3月9日時点で報じたこの件に対する記事の中に<AFCの規定に基づけば、たとえ所属クラブが変わった場合でも、AFCカップを引き継ぐ形で2024-25シーズンからスタートしたACL2のLCS戦で、ジェルマンは出場停止期間中だった。>(そのまま引用)とある。
いろいろな角度からの、いろいろな見方あれど、ポイントはこの1点だし、普通は石橋を壊してでも抑えるべきポイントだろう。だからミヒャエル スキッベ監督も何度もクラブ側に確認した。普通の感覚なら”そんなこと許されるの?”だろう。
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そもそも論としては、ピッチの中であろうが外であろうが、他人を「平手打ち」したりSNSで審判を揶揄するようなキャラクター(今回の事件の中心人物であるFWヴァレール・ジェルマン)は、フェアプレーの精神を最初にして最大の採用条件とする国際平和文化都市のピッチに立っていいのか?という話に行きつく。
サンフレッチェ広島は最初の入り口のところで、クラブ創設期からの「掟」に背いた結果、必然的にAFCから”一発退場”を命じられたことになる。この一件は、この先もずっとついて回る。そう、取り返しのつかないことをやってしまえば、過去を変えられないだけでなく、未来にさえも様々な影響が及ぶことになる。(ひろスポ!広島スポーツ100年取材班&田辺一球)
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(2025年3月15日掲載)