世界の約30万1000クラブで3位、J1の4シーズンで実に優勝3度、サンフレッチェ広島がついに旧広島市民球場跡地で、新サッカースタジアムに関して明確な意思表示をした。
これは、反対派がよく言う「クラブの単なるエゴ」ではない。
平和都市であると同時にスポーツ都市でもある広島にとって、街のかけがえなのないソフトにふさわしいハードを用意して、カープのマツダスタジアム移転以降、空洞化の激しい紙屋町地区、そして広島市中心地に賑わいと求心力を呼び戻す。カープ移転が決まったのは2004年夏。すでに11年以上が経過しても、単なる空き地でしかない旧広島市民球場跡地で、久しぶりに”魂”のこもったイベントが開催された。
3年ぶりに平和大通りで優勝パレードが開催された。沿道にはおよそ5万人が集まった。そのあと優勝報告会のある旧広島市民球場跡地に向け人の流れができた。
大移動する市民、サポーター。紙屋町地下街シャレオの中でも一番、歩く人の少ないシャレオ西通り、旧広島市民球場跡地方面への地下街に人の流れが生まれた。
サポーターがいなければ祝日の午後でもガラガラのシャレオ西通り。シャレオを運営する広島地下街開発(株)の片平 靖社長は、元広島市都市活性化局局長。しかし100万都市のど真ん中にあるシャッター街(画像)の現状を見れば、カープのマツダスタジアム移転後、いっこうに上向いていないことが分かる。地下街の行き着く先が「空地」ではダメなのだ…。
サポーターはコンビニで買い物もする。かつてカープファンでいっぱいだった地上への階段も久しぶりに賑やかになった。
シャレオ西通りのコンビニで買い物するサポーター
かつてカープファンが市民球場へと向かった階段をサポーターが上がっていく
そして雨の中、集まったサポーターたちの前で優勝報告会が始まった。主催者紹介の時、広島市の室田哲男副市長の名が呼ばれると会場からブーイングが起こった。
森保一監督に続いて選手会長の千葉和彦選手が挨拶する番になった。トーンが上がったのは当然?だが、跡地中に響き渡る声で選手会長は”宣言”した。
「きょうは、雨の中、この市民球場跡地、いや、新スタジアム建設予定地にお越しいただき誠にありがとうございます!」
会場が一番盛り上がったのがこの話題の時だった。ひろスポ!ですでに紹介したように、この場にはスタジアム建設のキーマン、ツートップの広島市松井市長も広島県湯崎知事もいない。
さらに千葉選手はサポーターに次のように呼びかけた。
「今年はみな満足した?選手はぜんぜん満足してねーぞ!まだ天皇杯あるからな!まだ、まだ優勝するぞ!」
「おー!」
「そして…、まあオレらにはわからない、難しいスタジアムの問題があるでしょう?しぶっている人もいるでしょう?」
会場にが笑い…。
「でも、その人たちの心を動かすことを、俺ら、結果論で証明しようじゃありませんか、みなさんどうですか?」
「オー!」「ワー!」
「みんなでその人たちの心を動かしましょう」
「オー!!」
「きょうはこの、新スタジアム建設予定地にお越しいただき誠にありがとうございました!」
右手奥に原爆ドームが見える、世界でひとつ、世界平和を訴える世界遺産が見えるスタジアム…
新サッカースタジアム取材班