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2015年07月22日
編集部

松井市長、湯崎知事らトップ会談でサッカースタジアムは”筋書き”通り「宇品へ…」とはいかない切実な事情、このままでは空中分解の可能性大

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松井市長
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サッカースタジアムの検討に係るトップ会談が7月22日、広島市中区の広島商工会議所で行われた。

4月の市長選で松井雅市長が再選後、初のトップ会談。

これまでの主な動きは次のとおり。

2014年11月19日 官民11人でつくる「サッカースタジアム検討協議会」が1年半もの長期に渡って話し合いを重ね最終報告となる「提言書」を松井市長、湯崎知事、広島県サッカー協会の小城会長、広島商工会議所の深山会頭あてに提出。最大のテーマで最初に決めるべき建設候補地に関して「旧広島市民球場跡地」「広島みなと公園」の2つを併記。

2015年1月13日 提言書を受け、トップ4者がこの広島市役所で初会合。小城会長が「スタジアム建設をお願いする当事者なので、候補地が絞り込まれるまでメンバーから外れた方がいいと考えます」と発言して4者会談を離脱する旨、発言。話し合いに参加しても自分たちの思いは伝えきれない、との本音が見てとれる。「すみやかに作業部会を設置して、前半で候補地を絞り込み、事業主体を決め、トップ会談。そののちスキームを決め来年、トップ会談で結論を出す」とまとめ役の松井市長。

1月17日 4月の広島市長選に松井市長の対抗馬としてサンフレッチェ広島社長の小谷野薫氏が立候補することを表明。「旧広島市民球場跡地へのスタジアム建設はサポーター、関係者、多くの市民の総意で広島活性化の起爆剤」との立場を明確に打ち出す。

1月28日 広島市の都市機能向上対策特別委員会で広島市は今後、サッカースタジアム検討協議会がスタジアム建設候補地として残した旧広島市民球場跡地、広島みなと公園(宇品地区)の絞り込み作業を進め、仮に跡地での建設が決まった場合には”両者をすり合わせて結論を出す”と市議会側に説明。しかし同委員会副委員長の石橋竜史議員が、「もう宇品しか考えておらん」と先週、松井市長が県サッカー協会の関係者に直接、発言したことを指摘して市側の「二枚舌」を追及。

3月28日 「ひろスポ!」に広島みなと公園のある宇品・出島地区の港湾関係者から「宇品にスタジアムを建設することについての核心的問題を提起する」メールが届く。広島市並びに松井市長、広島県関係者に向けた港湾関係者の切実な思いとその理由は次のとおり。

貴誌を時折読ませていただいております。

さて、サッカー場建設候補地に「広島みなと公園」が、旧球場跡地と共に残されておりますことについて、昨年の誌面において、「みなと公園1本に絞ると市長が発言」との記事、われわれ港湾関係者は、かなりの衝撃を受けています。

その後、われわれも様々なルートで確認を取り、現実的に県、市、広島商工会議所が密かに結託しているという情報を得ました。

しかしながら、これも確証はないまま現在に至っています。

統一選挙後には、宇品出島で決めるとのウワサもキャッチしています。

さて、広島みなと公園は、埋め立て地の出島地域の入口に位置しており、出島自体は、物流、海上・港湾・港湾倉庫・トラック事業の会社も多くあります。

海上を経由してくる船舶輸送貨物は、出島地域の岸壁に寄港し、貨物の積み卸しを行い、倉庫、上屋、保管庫、野積み場を使用します。

また、出島の東南には平成15年に供用開始した、「広島国際コンテナターミナル」があって、海田のターミナルと併せて、年間約20万本のコンテナを取り扱っています。

全国62港の国際コンテナ港で、平均10位に位置するコンテナ港です。

広島港の管理者は広島県知事です、市長ではありません。

広島港は政令・港湾法2条2号に指定された旧・特定重要港湾であって、2011年の改正で「国際拠点港湾」と名称変更されました。

出島ターミナルは、SOLAS対応の岸壁と海域で、保税地域にも指定されており、多くの輸出入コンテナ貨物が寄港して、荷役作業され、各荷主に配送されています。

船会社や港湾業者のいう広島港コンテナターミナルとは、出島のコンテナターミナルと海田コンテナターミナルを指します。

一見すると離れていますが、一元的な業務を行っているのです。

そのため、港湾物流途上の、しかも出島入口に位置する「広島みなと公園」に、不特定多数の集客施設を造るということは、世界の港湾事情から見ると類を見ない愚行であると考えています。

実現した際には、世界中の港湾有識者から笑いものになるのは必至です。

12月に県、市、商工会議所に対し、その点を述べた反対陳情書を提出したところです。

広島市は港湾管理者になったことは無いため、港湾事情に見識のある役人は皆無です。広島港の管理者である知事が、一向にこの事態収拾をしないということは、港湾労働者から見ると港湾管理者としての執務懈怠と解釈されことでしょう。

いずれにしても、もしどうしても広島みなと公園に建設する場合には、400億円を投じて造った出島のコンテナターミナルは、物流に支障が考えられる港と判断されるため、寄港は無くなるか、減少して、閑古鳥が鳴くことになります。

そうなるとほとんど国の費用で造った国際コンテナターミナルですから、数年後には、数百億円を国庫に変換せざるを得ない状況になります。広島県は市に請求するでしょうから、実施者の広島市に払えるのでしょうか?

港湾に引き続き、倉庫協会、トラック協会有志による陳情書も提出されていますが、御誌上ですら、海上・港湾業界の対応については論じられていません。

スタジアム検討協議会の議事録を読みましたが、海上港湾業界については欠落しています。

議論にもなっていません。有識者なる方々の選別は誰がどのように行ったのでしょうか。

選定した方々の見識不足が悔やまれますし、あれで有識者とはさすが広島です。

7月には決定と言うことでなので、もう時間が有りませんが、港湾に携わる、一読者の声として投書させていただきました。

長文となったことをお詫び致します。港湾についても注視しておいて下さい。

※以上、「ひろスポ!」に届いたメールをそのまま掲載

4月12日 広島市長選で小谷野候補に大差をつけた松井市長が再選を果たす。

こうした経緯を踏まえて1月13日以来、半月ぶりに行われた(4-1=)3者会談は、話合いの形式はとっているとはいえ最初から結論ありき、で進められたように見えた。

用意された資料に沿って、広島市と県の事務レベル担当者が旧広島市民球場跡地の抱える問題点7項目と広島みなと公園の抱える”今後の調整によってクリアされる可能性のある5項目について説明。最後に後者においては「円滑な交通アクセス」について「交通混雑は否定できない」とこの1項目のみがネックであるともとれる言い回しで報告を終えた。

実務レベルの検証報告に盛り込まれた検証項目

旧広島市民球場

1)地盤掘り込みに必要特殊工事が必要で54億円もかかる
2)地下埋没物移設にも12億円程度かかる
3)スタジアム周辺の安全確保に課題がある
4)3万人規模が確保できない
5)地面を掘り下げたピッチになると芝の育成に課題
6)試合日以外のイベントが開催しにくい
7)「多機能」にも制限がかかる

※1)はバファーゾーンに関連するが、さらに検討すれば安価な方法もある可能性が高い、3)はカープ試合時には「何の問題もなかった」と当時の広島市関係者が発言、4)は建て替え検討が水面下で進む広島商工会議所ビルを組み込んだスタジアムにすれば問題解消、6)、7)は工夫しだい(新サッカースタジアム取材班)

広島みなと公園

1)MICE(国際会議、招待旅行、展示会ほか大型イベント)施設の併設などに対応できそう
2)候補地にスタジアムを建設すると国から国庫補助金の返還を求められる可能性があるが、やり方しだいで返還が「一部」不要になり得る
3)今は防災拠点としている空間にスタジアムをもってくるとなると代替する土地が必要になるがこれも防災部局と協議してクリア(したい)
4)円滑な交通アクセスは課題が多い。シャトルバス200台など様々な手段で対応、宇品地区の交通が混雑する場所を調査して自家用車乗り入れ制限や交通規制を検討、今後、詳細な交通量調査を実施
5)宇品・出島地区の街作りに関連し広島港港湾計画との整合性を図る

※1)大型イベントを積極誘致する方針だとすると、サッカーの試合のない日にも港湾関係者の言う「愚行」に拍車がかかる可能性が高い、4)は夕方のラッシュ時にさらにシャトルバスというのは甚だ疑問…、そもそも「広島ビッグアーチ(現エディオンスタジアム広島)は日本一アクセスが悪いJ1スタジアム」だから、ということが発端になって新スタジアム構想がスタートにしたはずなのに、またアクセス問題の発生する場所にスタジアムを検討するのは本末転倒。(新サッカースタジアム取材班)

 

事務担当者の説明を受けた3者は”シナリオ”通りに広島みなと公園の優位性を説き、そして結論に至ったようだったが、しかしそれでも「建設場所は広島みなと公園でキマリ!」とはならなかった。

それはもちろん、旧広島市民球場跡地とは対照的に「5項目のうちの1項目」にしかマイナス要素が記されていないとはいえ、広島県の港湾物流の根幹にかかわる問題について何ら解決策を見いだせないまま、すでに半年が経過したことの裏返しでもある。

今回の3者会談の終わりにこんなやりとりがった。

松井市長
「旧広島市民球場跡地については適正規模であるとか、3万人を下回るということとか、県警等から観客の安全確保ができなんじゃないかという指摘をいただいていますので、みなさんの意見を付して作業部会の結果報告を踏まえ、候補地については広島みなと公園が優位と、言う意見で整理できると思いますけどいかがでしょうか?」

松井市長
1月の時点で「宇品しか考えておらん」と発言した松井市長が3者会談の司会役

湯崎知事
「あの、その通りなのですが、先ほども申しましたように宇品についても課題があり、交通対策を進めないといけないと思いますので、それについてきちんと検討する必要があると考えます。したがって広島みなと公園が相対的に優位だと思いますけど、きちんと交通対策について検討して、その上で最終的な判断をして決定するのがいいのではと思います」

湯崎知事
湯崎知事は時折、厳しい表情に

そして最後に松井市長
「広島港公園が優位というところまできょう決まりました。しかし候補地最終決定をするために最終的な検証作業そして課題である宇品地区の交通量の調査を行うと同時に事業主体の役割分担、資金調達、スキームなどの実現可能に向けての調査も引き続き行った上でその結果をもとに今年度、再度3者会談を開いて進めます」

1月の4者会談で「前半に候補地を絞り込む」とした松井市長がまた結論を先延ばしにしたかっこう。「早期実現」を目指して集まった署名はすでに40万件を超えているが、3者会談のやりとりの中ではついに一度も「署名」の話も「早期実現」の4文字も出てこずじまい。

なお、3者会談のあと広島市、広島県の担当者に確認したところ現在の状況は「港湾関係者との歩み寄り」については「なかなか進展は見られない、今後も話し合いを進めていくし、調査などを進めて提案できるものは積極的に進めていく」というものだった。

また担当者は、宇品エリアが高層マンション群などによる閑静な居住区となっているため今後、説明会などを行う予定だというが、「ひろスポ!」には広島みなと公園へのスタジアム建設には否定的な地元住民の声が多数届いている。

(新サッカースタジアム取材班)

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