黒田博樹が広島復帰後、初めて”炎上”し、6回5失点でヤクルト小川との投げ合いに敗れ去った。
超満員に膨れ上がった神宮球場でのヤクルト対広島5回戦。
4連敗中のヤクルトにあってセ・リーグ防御率トップを行く小川は連敗ストッパーの大役を託された。
一方の黒田も負ければチームの借金が今季ワーストの8に膨れ上がるため”必勝”あるのみ。
ちなみに両右腕ともここまで5試合に投げてクオリティスタート成功率100パーセント。故に2、3点勝負が予想された。
ところが黒田は初回、いきなり先頭の山田にフォークをうまく中前打されたことでリズムに乗り損ねた。結果的には四番畠山の三ゴロの間に先制点を奪われた。
防御率0・76の小川と投げ合うはずが初回の1点は黒田にとってあとあとまで尾を引くほどの悔いの残る失点になった。
二回、小川にスリーバントを決められて二死二、三塁。ここで山田にぶつけた際、憮然とした表情で次打者の上田を迎えると、ボール球先行のあと右中間へ走者一掃の三塁打をもっていかれた。
さらに三回には四番雄平にライトスタンドにソロホームランを打ち込まれた。直後の攻撃で梵がスリーランを放ちワンサイドゲームにはならなかったものの相手投手のことを考えれば実質上は5点目を許した時点で勝負あり、だった。
7回3失点で今回もまたクオリティスタートに成功した小川は3勝無敗の成績とともに黒田に投げ勝つ、という誇り高き経験を積むことになった。
試合後には「尊敬するピッチャーと試合ができるということで楽しみながら投げたいと思っていました」と話し、さらに「気持ちでは、絶対に勝つという気持ち」だったことを打ち明けた。
黒田攻略の急先鋒となった上田も「素晴らしいピッチャーなので気持ちで打ちました」とコメントした 気持ちでは負けないはずの黒田だが、ストライク、ボールがはっきりし過ぎていたこの日ばかりはマウンド上での表情にもどこか余裕がなく常に追い込まれているようなストレスが見てとれた。
どのチームからも尊敬の念を持たれ、それと同時に倒すべき目標とされるメジャー帰りの40歳には、こうして”束になって”かかってくる年下の相手に抗うだけの「気持ち」が求められている。
そして最下位に沈んだままのチームは早くも開幕から10度目の1点差負け。あのホームランがなければ…。黒田にとっては寝つきの悪い5月最初の夜となりそうだ。