ここまで日本が圧倒してきた感のある日米野球はきょう11月18日に5戦目となる最終戦を迎える。
日本の先発は日本ハムの大谷翔平。大リーグ公式ウェブサイト「MLB.com」は「米国のファンは前田健太や則本ら日本の有望な若手投手について今回、知ることになったが大谷はまだ少し見ただけ。おそらく日本で最も有望な投手だ」と紹介している。
第3戦ではメジャー打線をノーヒットノーランに封じた日本だが、その流れは第1戦先発の広島・前田健太が作ったと言っていい。
前田健太は5回71球を投げて、2安打2三振2四球。得点圏に走者を背負っても慌てず騒がず、打者19人にほとんど自分のスイングをさせなかった。真っ直ぐでファウルをとれたし、チェンジアップで相手のバットに空を切らせた。
今大会期間中にはオリックス・金子とともに前田健太に対するメジャー評もまた株が上がった。しかし、広島球団は今オフのポスティングを使ったメジャー移籍に”釘を刺す”発言をしており、新聞報道では前田健太の移籍は”ない”ものになっている。
ただ、それなら前田健太の口から「来季は必ず、チームが優勝できるように…」という類の発言があってもいいいようなものだが、まだ一度も”聞いたことがない”。
広島は今シーズン途中、9月の時点ではポスティングを許可するのは、球団に20億円が入るケースに限る方針であることを現に示している。逆に言えばそのころには入札金が20億円を下回りそうな恐れがあったのだろう。
それでは今現在はどうなのか?
そもそも前田健太が2013年開幕前の第3回WBCで3試合に投げ防御率0・80という成績を残した時点でその右腕はすでに”満額回答”の価値を示していたはずである。2013年、2014年シーズンの前田健太は確かにそれ以前と違ってセ・リーグトップクラスの数字のオンパレード!とまではいかなかったが、それには起用法やチーム事情などさまざまな要因も絡んでいる。
前田健太は今季を終えて6シーズン連続で規定投球回数をクリアし、しかも3年連続200回超えもマークしているがそんな右腕は日本球界を見渡してもどこにもいない。
またWHIP(1 イニング当たり何人の走者を出すか、という投手の能力を示す指標のひとつ)では今季も昨季に続いてセ・リーグナンバーワンだ。
最近ではダイヤモンド・バックス、ほかにもヤンキース、レッドソックスを筆頭にカブス、アストロズ、ブルージェイズなどが興味を示し、メジャーリーグ公式ウェブサイト「MLB.com」も、今オフの移籍市場の注目投手10人中5番目にその名を挙げて「契約年数5年で総額1億ドル(約116億3000万円)」との予想もある。
前田健太が先の日米野球先発でスライダーに頼らず、落ちる球チェンジアップを多投したのはメジャーでも通用する球種をアピールするためだった、とも考えられる。
そして本人は「今オフのメジャー移籍は諦めました」とはひと言も口にしていない。