風の涼介#6、2012年2月12日「秘密特訓の成果」
沖縄キャンプで一番の注目を集めたのはドラフト1位で即戦力右腕の呼び声が高い野村祐輔だった。
新戦力では地元広島の広陵高校出身ということもあり土生もよく記事になり、ローカル局の取材も受けた。
新外国人は四番候補のニックと2メートル5センチの長身右腕・ミコライオ。当然、ランチタイムなどに行われるテレビ局取材でもこの二人に対するリクエストは多かった。
菊池はというと相変わらず明らかに「異次元」とも思えるような動きでショートの守備練習を続け、文字通り休む間もなく体を動かし続けていた。
ただ、日を重ねるにつれ「体はだいぶん楽になりました」「もうバッチリです」と威勢のいい言葉も聞かれるようになってきた。
全体メニューの中に組み込まれている守備練習以外にも新人には当然、基礎的な動きを身に着けるための別メニューが用意される。みんなと一緒にノックを受けるのも、もちろんプレッシャーもあって相当ハード…。しかし、別メニューでは下半身の細かな使い方などがさらに要求されるため見た目地味でも内容はさらに厳しいものになる。
若手の守備指導にはコーチ兼任となった石井琢朗も当たった。自らノックバットを持ち、時にはグラブの使い方や足さばきなど模範の動きを示したりもした。
石井琢朗の引き出しは豊富で、若手が興味を持って練習に取り組めるよう次々に“新ネタ”を披露した。
その中には石井琢朗が「九九」を問いかけ、選手側はその「答え」を返してからノックを受ける、というものがあった。外界からの「刺激」に瞬時に反応して打球を追う、という意図があるのだろう。
庄司や安部らと一緒になってこの練習に取り組む菊池…。どうやらこの「練習」だけはあまり得意ではなかったようだ。なぜか?は本人の名誉のためにも具体的にはここでは触れないことにする。