先週の日曜日、アウェーで今季無敗を誇る浦和レッズを撃破!前日、ホームであった横浜Fマリノス戦にも快勝して、年間勝ち点で浦和レッズに代わってトップに浮上したサンフレッチェ広島は7月26日、安芸高田市の吉田サッカー公園で練習を行った。
メンバー全員を前にまず森保監督がチームの目指すべき方向性を再確認。故障者が出て、さらにコンディショニングの難しい季節に入っていく中で「変わらぬ準備をして1戦1戦に力を出しきろう」と話し、その後、主力組は軽めのランニングとストレッチで切り上げた。
真夏の陽射しの下、仕上げのライニングを続ける主力組
ところで浦和レッズ戦では前半を0-1で折り返し、後半22分に浅野が、39分に青山がゴールを決めての見事な逆転勝利を飾ったが、その”引きがね”となったのがハーフタイムの森保監督とイレブンのやりとりだったことがこの日の取材で判明した。
ハーフタイムの控室。残り45分をどんな心構えで戦うか?まず森保監督がイレブンに聞いた。
「みんな、何を目標に戦っているのか?」
開幕当初の目標は「2部降格圏内回避の勝ち点40以上」と「優勝」。すでに勝ち点は前節で40に到達していた。
となれば残るは「優勝」。選手ももちろん、そう答えたという。
すると間髪入れず森保監督がイレブンに告げた。
「浦和はすでにチャンピオンシップの出場権を得ている。我々が優勝するには、チャンピオンシップに出て、浦和を倒す必要がある。しかし、このまま負けてしまえば向こうは今度対戦する時には”組みやすし”という気持ちでピッチに立つだろう」
次第に厳しい口調になる指揮官の話にみな黙って耳を傾けた。そして最後には部屋中に響く声がイレブンの闘争心をかきたてた。
「本気で優勝を目指すならここで浦和を倒せ!力を出しきれ!!」
浦和レッズを相手に45分間で2点を奪うことがいかに困難なことであるか?それはこれまでのペトロヴィッチレッズとの対戦成績を見れば明らかだった。
森保監督対ペトロヴィチ監督のJ1リーグ対戦成績
2012年3月10日・H 1-0○
2012年11月17日・A 0-2●
2013年3月2日・H 1-2●
2013年8月3日・A 1-3●
2014年3月15日・H 0-2●
2014年8月16日・A 0-1●
2015年3月22日・H 0-0△
過去の戦績とスコアから見て限りなく0パーセントに近い「後半だけで2得点」、その分厚い壁をこじ開けて埼玉スタジアム2002に詰めかけたサポーターと喜びを爆発させた。
選手の「優勝」したいという強い意思と、森保監督のピッチに立つその基本姿勢が不可能を可能にした、と結論づけてもいいだろう。
控えメンバーの練習を見守る森保監督
リカバリー練習を終えたあと、サポーターに囲まれてサインや記念撮影に気軽に応じながら森保監督が言った。
「我々が勝つことでみなさんが笑顔になってくれます。この方たちのTシャツにある”一勝一笑”。まさにそうです。どんなにいい内容の試合でも負けてはダメ。5月に等々力であった川崎フロンターレ戦のように、ずっと押されっぱなしでも勝てばサポーターのみなさんが喜んでくれる。笑顔がたくさんあることは、平和な時間と空間が存在することの裏返しでもあります。サッカーはアジアに、世界に繋がっています。この広島に根を張る我々が勝つことで、笑顔が世界に向けても広がっていく。サンフレッチェ広島の存在が、今現在はもちろんですが、未来に向けてもそういう役割を果たすものであって欲しいと、そう思っているんですよ」