鹿児島県霧島市で1次キャンプ中のサンフレッチェ広島・森保監督、浅野の活躍はチームの誇りでもある
U―23アジア選手権決勝、日本3―2韓国(1月30日 カタール・ドーハ)
U―23代表の“切り札”、浅野拓磨(サンフレッチェ広島)がドーハの奇跡を呼び込んだ。
日本は後半2分に2点目を奪われ0-2、大ピンチ。2012年のロンドン五輪3位決定戦で韓国に敗れ44年ぶりのメダルを逃した。2014年の仁川アジア大会でも準々決勝0-1敗戦。そしてまた今度も…、となれば、日本サッカーの未来を託されたこの世代は「アジアの壁」韓国、の難題を抱え込むことになる…。
後半15分、「ギャンブラー」手倉森監督は”確信”を持って大島僚太(川崎フロンターレ)に代えて浅野を投入した。7分後、矢島慎也(ファジアーノ岡山)のスルーパスを中央から右へ斜めに走り込んだ浅野が加速…。DFを振り切りペナルティエリア内で右足を振り切ると、GKキム・ドンジュンの右脇を通過して反撃弾がゴールネットに突き刺さった。
1分後、矢島のヘディングシュートで同点。すると後半36分の決勝弾も浅野だ。中島翔哉(FC東京)からのパスを受け、自慢の素早い動きで相手DFを振り切った。目の前にはキーパーだけ。今度は左足で蹴り込み、韓国という高く分厚い壁に風穴を開けた。
カタールでの6試合中5試合に後半から投入されたことからも、手倉森監督の浅野に対する期待の大きさが分かる。だが、4戦目まではノーゴール。「韓国には負けられない。(ノーゴールだが)韓国との決勝戦が残っているのは幸せ」。前日、そう話していた浅野は自らの力で「ハッピー」を呼び込み、この世代での存在感をわずか30分そこそこで決定的なものにした。
日本がロスタイムに米国ワールドカップ切符を取り逃した1993年10月28日「ドーハの悲劇」、あれから22年3カ月。浅野の活躍によって今回の「ドーハの奇跡」との時間軸は、紫の糸で完全に繋がった。前回のドーハメンバーの主力にサンフレッチェ広島の森保一監督がいたからだ。
「スーパーサブ」としてではない。森保監督はチームの総合力でシーズンを戦う上で、幾多のシミュレーションを行った結果、そのオプションのひとつとして「後半途中出場だけでJ1リーグ戦8得点」の浅野の「働き場所」を導き出した。だから浅野はサンフレッチェ広島で今季も途中出場ばかり、とは限らない。森保監督は「型にこだわる」ことはしない。
サンフレッチェ広島の取材を続けていると、浅野が森保監督の話と同じようなことを口にすることがよくあることに気づく。そして、チームをチャンピオンシップ勝者に、あるいはクラブワールドカップ3位に導く貴重なゴールを決める勝負強さ。手倉森監督もそこに”賭けた”のだろう。
森保監督に言わせれば浅野はチーム内で「最もストイックな選手のひとり」であり、「自分を追い込み過ぎる傾向さえ見られる」のだという。
だから練習中は常に悲壮な顔で走っている。先輩たちから「もっと明るくやれ!」と言われたりもする。
「でも練習で狭いスペースで難しい動きをやっているから、試合は楽に動けます」とインタビューでの浅野はいつも明るいし、しっかり笑いもとる。そのキャラクターと「スピードスター」としてのポテンシャル。「意外性」「明るさ」「表現力」…。スーパースターになれる素質を十分に備えている。
「絶対に関東の赤いユニホームや青いユニホームのチームが浅野を狙っている」昨年あたりから聞こえ始めた報道関係者のそんな声は、いつしか浅野争奪戦へと変わっていくのだろう。。
そして、この先、この世代がもっと大きな結果を残した時、ドーハの悲劇とワンセットのドーハの奇跡はさらにその輝きを増すことになる。
後半で2点差をはね返しての劇的な勝利。手倉森誠監督は試合後、歓喜の輪の中で選手に3度胴上げされた。
「スリリングで見ごたえのある試合だった。開き直って仕掛けるしかない展開だったが、勝つことになっていたのかな。そんな気持ちです」
試合をそう振り返った手倉森監督は1967年生まれの48歳。森保監督は1968年生まれの47歳。2020年東京五輪の代表監督には、森保監督が有力候補として浮上している。
広島新サッカースタジアム取材班
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